ドラマ「美男＜イケメン＞ですね」で演じたドSキャラで、一世を風靡した“グンちゃん”ことチャン・グンソクがついにカムバック！ 約2年の兵役期間が終わり、復帰が待ち望まれるも、コロナ禍で活動再開がなかなかできずにいたが、今年7月には約4年半ぶりの来日を果たし、ファンミーティングを開催。8月31日には新曲「Beautiful」をリリースし、完全復活を果たした彼が、生きづらさを感じた体験、兵役期間中に感じたこと、大切に思う日本やファンについて、熱い想いをオール日本語でたっぷりと語ってくれた。
※新曲「Beautiful」
ELLE 約4年半ぶりの来日ですが、日本は何か変わりましたか？
日本も、日本のみなさんも、何も変わっていませんでした。変わったのは僕のほうです。まだやれるのだろうか。そもそも僕のことを待ってくれている人はいるのか。とても怖かったんです。Ａ型なので、一人で考えすぎてしまったんですね。ステージに出る直前まで、ステージ勘を取り戻せるか不安で、緊張していたんですが、いざ出たら、全身鳥肌バーン！ ちょっと照れくさくもあって、以前は「オレについてこい！」って自信満々な感じだったけど、今回は「こんにちは～、チャン・グンソクです」みたいな感じでしたね（笑）。でも、以前と変わらず、ファンの方々と心を通わせることができて、すごく嬉しかったですし、ここが、僕が生きる場所なんだと改めて感じられました。
ELLE ファンミーティングも大盛況の内に終え、8月31日にはニューシングル『Beautiful』がリリースされました。エモーショナルなボーカルが心に響きました。
ありがとうございます。キーが行ったり来たりする難しいメロディなんですが、ストリングスが使われていてサウンド的に一番盛り上がるサビで感情を一気に爆発させたくて「いける、いける」と思いながらレコーディングをしました。集中できたからか、今までで一番短くて、1時間半くらいで終わったんですよ。
ELLE 作詞はグンソクさん自身です。この曲に込めたメッセージは？
「みんな愛されるべき存在だよ」ということです。それは、僕が僕自身に届けたいメッセージでもありますね。「変わらない今日なら 目覚めたくなんてない」という歌詞で始まるんですが、僕もそういうことを思って
いた時期があります。昨日と同じ日が始まるならなら、太陽が出ても何の希望も持てないって……。僕の存在にどんな意味があるのか。そんなことを考えては自分で自分自身を追い詰めて、逃げ出したくなってしまっていたんです。でも、そんなダークなチャン・グンソクも、幸せなチャン・グンソクも、その時々のありのままの自分自身を愛することが一番大切。そう気づき、自分を取り戻せた経験を正直に綴り、みなさんと共有したかったんです。僕がダークな気持ちに襲われたのは、本当に突然でした。つまり、今は違っても、誰しもが、いつそうなってもおかしくない。そうなった時にこそ、この曲に込めたメッセージがリスナーの心に届くといいなと思っています
ELLE どんなふうに作詞をするのか、教えてください。
作詞は必ず深夜です。何も思い浮かばなかった時点でギブアップして、2時間くらい仮眠をとると、いろいろなキーワードが浮かんできますね。今回は夜中の3時半くらいにタイトルの「Beautiful」が出てきて、ありのままの自分が美しいというテーマが浮かび、コレだ！と。急いで起きて書き始めたら、15分で作れました。デッドラインがその日の夜12時だったので、少し遅れてしまったんですけれど（笑）。
ELLE 夜中に書いたものは、日記や手紙しかり、翌朝読み返して恥ずかしくなりませんか？
「うわ、最悪……」ということもあります（笑）。感情を解放させるために、少しだけ、お酒を飲みながら書くので、正直な言葉が出ますから。SNSも、夜に書かないほうがいい。自分でも何を書いちゃうかわからないから、夜は絶対にログアウトします（笑）。
ELLE さきほど、作詞について話してくださった時、ペンを走らせるアクションをしていましたが、デジタルデバイスではなくアナログ派？
作詞は、韓国で一般的に使われている黄色い、消しゴム付きの鉛筆とノートで書いています。でも、その消しゴムは使いません。消さずに鉛筆で「知らない、知らない！」ってぐちゃぐちゃして、書き続けるのが僕の作詞スタイルです。
※チャン・グンソク公式Instagramより
ELLE タイトルにかけて、「Beautiful」だと感じるのはどんな人ですか？
目に光がある人はとても美しいですよね。自分だけのこだわりや夢のために一日一日頑張っている人だけが持てる光に惹かれます。僕は、5歳で子役からキャリアをスタートさせて30年間、一般の方々の生活をほとんど知りませんでした。兵役に入って初めて、隣にいる方々を見てみると、それぞれが自分の世界の主人公として生きていて、輝いていたんです。そんな姿を見て、いかに僕が自分のことしか見ていなかったか、気づかされました。「常に最高のチャン・グンソクでいなければ」としか考えてこなかったんですね。これからは隣の人の声を聞ける人になりたい。ファンのみなさんやスタッフから「大人になったね」と言ってもらえるので、少しは成長できているのかな。
ELLE 兵役期間で大きな学びと成長があったんですね。
入隊していた約2年間は、仕事をすることでしか満足することができなかった自分が、自分自身を見つめなおす本当に大事な時間になりました。仕事以外の過ごし方の大切さを知った今は、幸せなチャン・グンソクも、気分が落ち込んだチャン・グンソクも、ありのままに受け止めることができるようになれましたね。
※新曲「僕らは今日も」
ELLE どんな時が、「幸せなチャン・グンソク」ですか？
今、こうして日本に帰って来られたことです。
ELLE 日本に来ることを、「帰って来る」「戻る」という表現を使ってくれますよね。その言葉に、グンソクさんの日本に対する想いが感じられます。
もちろん韓国は、僕が生まれ育った大切な国です。ただ、韓国では俳優活動がメインで、作品のために悩んで悩んで、カメラの前でその作品のキャラクターになりきらないといけなくて。日本では歌手としても活動して、バラエティ番組にも出て、“チャン・グンソク”をストレートに表現できます。
ELLE 今、ハマっているアーティストはいますか？
藤井風さんです。ご自身の想いを自由に、ダイレクトに表現できる、本物のアーティスト！ ファンのひとりです。
ELLE 最新の日本音楽シーンにも詳しいんですね。
日本の文化や感覚を忘れないように、日本ではどんなことが流行っているのか、日本の若い子がなぜTikTokにハマっているのか、アーティストとしてずっと勉強していました。日本のドラマもたくさん見ましたよ。今、日本でも韓国でも流行っている90年代、2000年代の作品を中心に、「GTO」や「ごくせん」を見たんです。木村拓哉さんの作品だと僕は「エンジン」が好みです。それと、2週間前に「冬のソナタ」を見ました。すごくいいドラマですね！
ELLE このインタビューもずっと日本語で答えてくださっていますが、日本語力がまったく衰えていないのは、そうやって日本のカルチャーを追い続けていたからなんですね。
ずっと日本のドラマや映画、音楽が好きですから。日本の方も同じですよね。韓国のドラマをたくさん見てくれて、自然と韓国語も覚えて。
ELLE いや、見るだけではグンソクさんのようには上手く話せるようにはなれません……。
では、もっとたくさん見てください（笑）。
※「美男＜イケメン＞ですね」歌唱シーン
ELLE 日本では「冬のソナタ」のヨン様ブームに続いて、グンソクさんも大ブームを巻き起こしました。当時は“アジアのプリンス”というキャッチフレーズを使っていましたよね。
日本でデビューする前から、「アジアのトップになりたい」と思っていたので、自分で“アジアのプリンス”と言い始めました。最初は笑われましたけれど、虚勢をはった嘘つきにならないように頑張ったら、ニュース番組でも当たり前のようにそう紹介してもらえるようになりました。有言実行です！
ELLE 今の自分にキャッチフレーズをつけるとしたら？
“結局はチャン・グンソク”。ファンのみなさんは僕のことをずっと待ってくれていたのに、軍隊とコロナがあって何年も作品に出ず、裏切られたと感じたかもしれません。他の俳優のファンになっても僕は大丈夫だよ、でも“結局はチャン・グンソク”に戻ってくるよねっていう意味です。この言葉で、自己催眠をかけていたところもあります。
ELLE でも、以前は「浮気したら許さない」と言っていたような……？
言ってましたね（笑）。うなぎ（ファンネーム）たちに「浮気したら蒲焼きだぞ！」って。今は、愛やフレンドシップを感じているうなぎたちを、僕は絶対に裏切りたくないという気持ちです。やっぱり、仕事でも家族でも、人間関係で最後に大事になってくるのは、“義理”だと思うんです。僕は、これからもうなぎとの“義理”を果たしていきたい。うなぎこそが、僕がこうして存在できる理由ですから。
※チャン・グンソクの公式Instagramでは日本滞在中の様子も度々投稿
ELLE ご自身の作品を見返すことはありますか？
最近見ることがあります。ドラマ「ファン・ジニ」での僕は、死に物狂いで頑張っていましたね。当時20歳で、この作品で子役から大人の俳優に脱皮できなければ、俳優として終わってしまう。そのくらい強いエネルギーを注いだ作品でしたし、演技に勢いを感じました。ドラマ「美男＜イケメン＞ですね」も見たんです。パク・シネさん、ホンギさん、ヨンファさんと僕、4人がすごく頑張っている姿を改めて見ると、ただただかわいかったです（笑）。あの頃はみんな子供だったのに、パク・シネさんは結婚して子供も生まれて。その間、僕は一体何をしてたんだろう（笑）。そういえば、レコーディングを終えて韓国に帰る飛行機がCNBLUEのヨンファさんと同じだったんですよ。5、6年ぶりに会いましたが、少し話しただけですぐに当時の関係性に戻れて、幸せでした。
ELLE そうやって、過去の作品を見返すのはなぜですか？
韓国ですぐに新しいドラマの撮影に入るので、どんなふうに演技をしていたのか、芝居の勘を取り戻すためです。新作では、髪を切って黒くして、初の刑事役を演じます。シリアスな物語なのでロマンスはないです、ごめんなさい（笑）。
※「ファン・ジニ」ティザー
ELLE 久々の出演作に期待が高まるばかりですが、数字的なプレッシャーはありませんか？
視聴率は全然気にしないです。今までも「前の作品より視聴率がよくなくて恥ずかしい」とか、そういったことを思ったことが一度もないです。俳優の仕事は、今まで存在しなかった人間を作り上げることが一番楽しい。なので、作品を選ぶ基準は、その役を作ってみたいと思えるか、撮影期間中、幸せな気持ちでドラマの世界観を作れるかだけ。今回も楽しく頑張っていい作品にするので、期待して待っていてください。
ELLE 最後にファッションの話を。精神的に大きな変化があったように、ファッションでも変化はありましたか？
昔はキラキラしたものを好んでいましたが、今はベーシックでありながらもディテールを感じられるものを選んでいます。同じ黒でも、素材によって色のニュアンスがすごく変わるじゃないですか。そういう違いを楽しめる年になりました。その服を着た自分を10年後に見てもダサくないかどうかも、ファッションを選ぶ時の大切なポイントです。
ELLE ということは、10年前にしていたファッションは、ちょっと恥ずかしい……？
ちょっとじゃないです。“大”恥ずかしい!! できるなら20代の写真をネットから全部消したいです（笑）。
Photo: SHOTARO YAMAGOE（Tron) Stylist：LEE MIN HYOUNG Hair：LEE SUNG JIN Makeup：JEON MINIJI Interview ＆ Text: SAKIKO KOIZUMI
PROFILE
チャン・グンソク／1987年8月4日生まれ。5歳のときに子役としてデビュー。ドラマ「プラハの恋人」以降、俳優活動を本格化させ日本映画「着信アリ」シリーズ2作目で韓国人学生役として出演。その後「ファンジニ」や、「快刀ホン・ギルドン」でその演技力も高く評価され、「ベートーベンウィルス～愛と情熱のシンフォニー～」「美男（イケメン）ですね」などで好演。歌手としては、2011 年に日本デビュー。1st シングル 「Let me cry」 は、オリコン・シングルランキング初登場 1 位を記録(初シングルでの獲得は、海外アーティスト史上初)。続く 1st アルバム「Just Crazy」 もシングル同様、オリコン・アルバムランキング初登場 1位を記録し、海外男性ソロ史上初の快挙。日本では歌手活動のほかバラエティで見せる頭の回転の速さと流暢な日本語でお茶の間の人気を獲得。最近はレシピ本を発売するなど、幅広いジャンルで活躍中。Instagram:＠_asia_prince_jks Twitter：@AsiaPrince_JKS
新曲「Beautiful」をリリース！
チャン・グンソク自ら作詞を手掛けた、"素顔のままのあなたを肯定する" 重厚で壮大なロックバラード。
＜CD 収録内容＞※通常盤/UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤 共通
01.Beautiful
02.Goes on
03.All right!!
