キャサリン妃とウィリアム皇太子の馴れ初めほか「ザ・クラウン」シーズン6パート２、どこまでが真実？
キャサリン妃の母キャロル・ミドルトンが娘とウィリアム皇太子をくっつけようと画策していたのは本当かもしれない。
遂に完結したエリザベス女王の治世を描いたNetflixの人気ドラマシリーズ「ザ・クラウン」。最後となるシーズン6パート2、全5話は12月14日（木）に配信開始され、ダイアナ妃の死後から2000年代半ばにかけて英王室で起きた出来事が展開された。キャサリン妃とウィリアム皇太子の馴れ初めや、ヘンリー王子のスキャンダル、チャールズ国王とカミラ妃の結婚、エリザベス女王の葬儀計画まで、史実をベースにした物語の中で、フィクションと実話の境界線はどこなのか、その真偽をチェックしてみよう。
※本文内での称号、呼び名は適宜、当時のものを使用しています。
ウィリアム皇太子はダイアナ妃の急死後、爆発的な人気を得た？
YES
1997年にダイアナ妃が事故死でこの世を去った後、遺された2人の王子には大きな注目が集まることに。特にダイアナ妃の面影を強く受け継いだウィリアム王子は熱狂的な女性ファンたちから追い回されることになった。1998年3月にカナダを公式訪問した際には10代のファンガールたちが出迎えに詰めかけ、カナダのCTVニュースは当時の様子について、「まるでロックスターが来たみたいだった」と紹介している。
ドラマ内でウィリアム王子は自分への過度の注目に困惑を示すが、それはリアルでも同じだったよう。王室記者のロバート・ジョブソンは『The New Royal Family - Prince George, William and Kate: The Next Generation』の中で「彼はそれを本当に一瞬たりとも嫌っていた」と述べている。
ダイアナ妃は他の王室メンバーとは違う場所に埋葬された？
YES
エリザベス女王をはじめ、英王室の人々の多くはウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂や、フロッグモアの王室墓地に永眠しているが、ダイアナ妃は1996年にチャールズ皇太子と離婚が成立して王室を離れていたため埋葬場所は異なる。
1997年8月31日パリで起きた交通事故での死亡後、彼女の遺体は王室専用機でイギリスに運ばれた。その後9月6日のウェストミンスター寺院での「王室国民葬」を経て、イギリス中部ノーサンプトンシャー州にあるダイアナ妃の生家スペンサー家が所有するオルソープ邸の敷地内に埋葬された。
墓が作られたのはダイアナ妃が幼少期遊んでいたという領地内の湖に浮かぶ小さな島で、ボートでしかアクセスできないようになっている。ヘンリー王子は回顧録『SPARE』の中でメーガン妃を亡き母の墓前に連れて行ったと綴っている。
モハメド・アルファイドはダイアナ妃の死について王室陰謀説を唱えた？
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YES
ダイアナ妃と一緒にパリの自動車事故で亡くなったドディ・アルファイドの父であるエジプト人富豪のモハメド・アルファイド。彼は事故後ダイアナ妃がドディの子どもを妊娠していたと主張。イギリス王室の陰謀で2人は殺されたのだという自説を声高に唱えた。
2004年、イギリス警視庁はダイアナ妃の死因について調査を開始。2006年に「パジェット作戦」と呼ばれる調査結果を発表し、ダイアナ妃の死をめぐる陰謀説を却下。事故の原因は後続の車とドライバーのアンリ・ポールの重大な過失によると結論づけた。
10年に渡って訴えを続けてきたアルファイドだが、2008年に法廷闘争を放棄して検死審決を「留保付きで」受け入れると表明している。2023年9月1日に94歳でこの世を去ったアルファイドは生涯ダイアナ妃と息子ドディの死を悔やみ続けたという。
ブレア首相は王室改革を試みた？
YES
「ザ・クラウン」シーズン6第6話では就任したばかりの英首相トニー・ブレアが国民からの圧倒的支持を獲得。その勢いでさまざまな王室改革案をエリザベス女王に提言する、というエピソードが登場する。
実際、1997年5月から2007年6月までの10年間、3期に渡ってイギリス英首相を務めたトニー・ブレアは、王室近代化を試みたと考えられている。1997年8月31日にダイアナ妃が自動車事故で亡くなったときには妃を「国民のプリンセス」と呼び、王室より率先して彼女の死を悼み、高ぶる国民感情を巧みにコントロール。当時側近らに自分たちが君主制を“救った”と豪語したという。
同年9月の米紙ワシントン・ポストは「ダイアナ妃の死後、ブレア首相は改修が必要な制度のリストに君主制を加えた。（中略）ブレア首相は、君主制の守護者であると同時に、王室を穏やかに現代へと導く人物として自分を設定しようとしている」と指摘している。
ブレアの王室改革がどれほど成功したかは不明だが、2007年の英紙テレグラフは、ブレアが首相を務めた10年間の間、彼と王室の関係は距離のあるものだったと結論づけている。また、後に「ザ・クラウン」の原作・脚本を手掛けることになるピーター・モーガンはこの時「ブレア氏の在任期間中の流行語は“近代化”だった。しかし女王は、近代化のアンチテーゼである安定と保存を重視する制度の長である。したがって、女王が彼を不安な目で扱ったのも不思議ではない」と指摘している。
キャサリン妃とウィリアム皇太子は大学入学前にも会ったことがある？
もしかしたらYES
2011年4月に結婚し、3人の子どもにも恵まれ仲睦まじく暮らしているウィリアム皇太子とキャサリン妃。2人がセント・アンドリューズ大学で知り合い、長い交際期間を経てゴールインしたことは今やだれもが知るおとぎ話だ。
「ザ・クラウン」シーズン6ではウィリアム王子とケイト・ミドルトンが大学入学前から何度か会遇しており、若い2人が次第に運命の糸を手繰り寄せていく様子を描いている。現実で2人が大学入学前に会っていたというはっきりした記録はないが、王室コメンテーターで作家のティナ・ブラウンは『The Palace Papers: Inside the House of Windsor—the Trum and the Turmoil』でその可能性を支持。ケイトは幼い頃にウィリアム王子のプレップスクール、ラドグローブ校でホッケーの試合に出場したことがあり、ウィリアム王子の交友サークルの一人が開いたハウスパーティーに招待されたこともあったという。
ウィリアム王子にはローラという恋人がいた？
NO
「ザ・クラウン」シーズン6パート2に登場するウィリアム王子の恋人で貴族出身のローラ・エアデール=カベンディッシュ=キンケイドは同ドラマが創作した架空のキャラクターだ。
名前は異なるがウィリアム王子にはキャサリン妃と交際する前後にガールフレンドが複数いたと言われている。ローズ・ファークァー、イザベラ・アンストラザー＝ガフ＝カルソープ（おそらくこれがローラの3つ並ぶ姓のインスピレーション源だろう）、オリヴィア・ハント、カーリー・マッシー=バーチ、ダヴィナ・ダックワース=チャド、ジェッカ・クレイグ、アラベラ・マスグレイヴなどが知られている。
写真／ウィリアム王子の初恋の相手だと言われているローズ・ファークァー。
キャサリン妃には過去にルパート・フィンチという男性と交際していた？
YES
前述のウィリアム王子のフェイクの元カノと異なり、「ザ・クラウン」シーズン6に登場するキャサリン妃の元カレ、ルパート・フィンチは実在の人物となる。
ケイト・ミドルトンとルパート・フィンチはセント・アンドリューズ大学で知り合ったと言われており、2001年から短期間の間交際していたことで知られている。キャサリン妃との交際についてフィンチは2006年に「それは私が話すことはない。それはケイトと私の間の問題で、ずっと前のことです」と語っている。フィンチは2011年のロイヤルウエディングにも参列しており、破局後も友好的な関係だと考えられている。
写真／ルパート・フィンチはナターシャ・ルーファス・アイザックス（右）と2013年6月に結婚している。
キャロル・ミドルトンは娘とウィリアム王子をくっつけようと画策した？
もしかしたらYES
「ザ・クラウン」シーズン6では、キャサリン妃の母親キャロル・ミドルトンが娘に対し、ウィリアム王子との交際が成就するようお膳立てし助言するシーンが何度か登場する。
王室コメンテーターで作家のティナ・ブラウンは『The Palace Papers: Inside the House of Windsor—the Trum and the Turmoil』の中でケイトが将来の国王と交わるよう画策したのはキャロルだと主張している。
「ロイヤルとの恋愛交渉において母親の賢明な助けがなければ、キャサリン妃が今日のような立場にあるとは考えにくい」
「2000年にウィリアム王子がスコットランドの小さな大学セント・アンドリューズで大学時代を過ごすというニュースが発表されたとき、キャサリン妃は突然50マイル離れたエディンバラ大学を飛び出し、セント・アンドリューズ大学に再入学した」
キャサリン妃はファッションショーで過激な衣装を着た？
YES
「ザ・クラウン」シーズン6第9話ではケイト・ミドルトンが大学内の慈善ファッションショーに出演し、黒いレースのシースルードレスでランウェイを歩くシーンが登場。ケイトの衝撃的な姿にウィリアム王子はまるで催眠術にかかったようにくぎ付けとなる。
実際に2002年に行われたランウェイショーでキャサリン妃はドラマ内とそっくりの下着が完全に透けて見える大胆なデザインの衣装を着ており、このイベントは2人が急接近する転機となったと言われている。キャサリン妃の同級生のシャーロット・トッドがデザインしたこのドレスは2011年に12万5,000ドルで落札された。
ヘンリー王子はナチスのコスプレをしたことがある？
YES
「ザ・クラウン」シーズン6第10話で描かれたのと同様、2005年、当時二十歳だったヘンリー王子はウィリアム王子の友人の誕生パーティーにナチスの制服を着て登場。翌日その写真がタブロイド紙に一面に掲載されて大騒ぎとなった。
ヘンリー王子はこのスキャンダルについて2022年のドキュメンタリー「ハリー＆メーガン」の中で「自分の人生最大の間違いの一つ」と語っている。さらに、ヘンリー王子は回顧録『SPARE』で、自分をそそのかしたのはウィリアム皇太子とキャサリン妃だったと主張。1人でコスプレショップに出向いたヘンリー王子が電話で2人にアドバイスを仰いだところ、2つに絞った候補のうちの一つだったナチスの制服を彼らが薦めたのだ、と弁明している。
エリザベス女王は戦勝記念日にリッツ・ホテルにいた？
YES
「ザ・クラウン」シーズン6第8話で描かれる、若き日のエリザベス女王の一夜だけの冒険譚。実際にエリザベス女王は1945年5月8日、ヨーロッパ戦勝記念日の夜にロンドンの街に繰り出している。ただしドラマとは違い、きちんと両親であるジョージ6世国王夫妻の許可を得て。
その夜19歳のエリザベス王女と14歳のマーガレット王女は、戦争の勝利を人々と祝うために王室メンバー16名で宮殿の外に外出。後にエリザベス女王はBBCのインタビューで、「気づかれるのが怖かったので、制服の帽子を目深にかぶりました」と語っている。一団はロンドンの街を練り歩き、ホテル・リッツに入ってコンガダンスを披露したという。
この夜はエリザベス女王にとって「人生で最も思い出に残る夜の一つになった」とか。
写真／1945年5月8日、バルコニーでヨーロッパ戦勝記念日を祝う国王一家とウィストン・チャーチル英首相。左端がエリザベス王女。
マーガレット王女は一連の脳卒中で亡くなった？
チャールズ国王とカミラ王妃の結婚式は民事婚だった？
YES
「ザ・クラウン」シーズン6最終話ではチャールズ皇太子＆カミラ・パーカー・ボウルズの結婚式が描かれる。カップルは2005年4月9日、ドラマ同様に教会ではなく公会堂で民事婚によって結ばれた。
君主がイギリス国教会のトップを兼ねるイギリス王室ではロイヤルウエディングは宗教儀式で行われることが常であり、今日のイギリス国教会ではそれぞれ離婚歴があったとしても教会での再婚を容認している。しかし、2人は国民感情を鑑みてタウンホールで行う民事婚を選択。その後祈りと奉納の礼拝をウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂で行い、結婚披露宴を開いた。新郎の母であるエリザベス女王はウィンザー・ギルドホールの式は欠席し、その後の礼拝から参加したそう。
フィリップ王配の霊きゅう車は“ランドローバー”？
YES
2021年4月9日に99歳でこの世を去ったエリザベス女王の最愛の夫フィリップ王配。大の車好きで知られ、中でも「ジャガー・ランドローバー」の“ランドローバー”を愛用していた王配は2003年から16年間かけて“ランドローバー”を自身の霊きゅう車として改造。希望通り、最期はそのミリタリー・グリーンに塗られた車で送られていった。
エリザベス女王の旅立ちの音楽は「眠れ愛しい人よ」
YES
「ザ・クラウン」のフィナーレで流れる荘厳で哀愁に満ちたバグパイプの演奏曲「眠れ愛しい人よ（Sleep, dearie, sleep）」。この曲は実際に2022年に行われたエリザベス女王の葬儀の最後に流れた曲であり、女王専属バグパイププレイヤーによって奏でられた。エリザベス女王は毎朝バグパイプの演奏で目覚めていたと言われており、生涯その音楽と楽器を愛した。
エリザベス女王の崩御から国葬に至る一連の追悼行事は「ロンドンブリッジ作戦」というコードネームで呼ばれ、1960年代より女王を含めたメンバーで水面下で周到に計画されたものだと言われており、葬儀で歌われた讃美歌などは女王が選曲したものも含まれているそう。
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