アリスはもっと体をいたわるよう助言していたが、国王は体調を崩し、1910年5月6日に崩御。アリスは彼の死の床でヒステリーを起こし、部屋から出される事態となった。
アレクサンドラ王妃は宮殿にアリスのための住居を作らなかったため、ケッペル一家は数年間旅に出ている。1925年、ジョージ&アリスはイタリア・フィレンツェ近郊にある、ガリレオ・ガリレイがかつて所有していた別荘に定住し、ウィンストン・チャーチル首相をはじめとする英国の著名人を受け入れ続けた。
ロイヤルの愛人たちが宮殿で認められていた最後の時代に生きたアリスは、1936年に国王の孫であるエドワード8世が王位を退位し、離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンと結婚したことに失望していたという。アリスはこの時、「私の時代なら、ずっとうまくやれていたのに」と語ったと伝えられている。
アリス・ケッペルは1947年に亡くなり、56年連れ添った夫のジョージもその2カ月半後に死去した。
写真:2017年、フィレンツェの教会にあるアリスの記念碑を訪ねたカミラ夫人