吉永小百合
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―(取材前の記者会見で)ピンヒールで歩く姿が美しかったです。ヒールはよく履くのですか?

いえいえ、今日は久しぶりです。なので緊張感を楽しんでいます。美姿勢を目指していますが、どちらかと言えば猫背なので、ジムでは毎回コーチから「もっと肩甲骨を寄せて」と指導されているんです。

―やはり定期的に筋トレをやっていらっしゃるんですね。

5年前、映画『北の桜守』でそりを引くシーンがあったんです。それがとてもきつくて。「このままじゃダメだ。鍛えないと」と思って筋力作りを意識しました。3年前から通っていますが、まだ始めたばかりでこれからです。

―もう3年、続けていらっしゃるんですよね? 

階段の登り降りが楽になってきたな、と実感している程度で、まだ新人(苦笑)。若い頃はスキーをやったり、山に登ったり、好きなことをしているだけでも筋力は維持できましたが、40代からは地味な努力を毎日続けないと維持できません。今は身体のことを学びながら、楽しくトレーニングしています。

―「バタフライで1日1km泳いでいる」と書かれた吉永さんの記事を読んだことがあります。水泳は今も続けていらっしゃるのですか?

はい。水の中では無心になれるので、疲れた時のリラグゼーションに泳いだりしています。私にとってスイミングは、心身リセットできる良き時間。実は水泳は40代で始めたんです。一から泳ぎを習いました。私、習い事が好きなんです。

―40代から始めたとは驚きです! お話を伺っていると、ひとつことを長年地道に続けて、正しい情報や正確なスキルを会得されている印象です。継続するための秘訣は何ですか?

一人だとどうしても怠けちゃうでしょ。だから私は習い事にして習慣化するんです。知りたいことや学びたいことがどんどん増えていき、コーチの指導を受けることで上達もする。それに仲間がいると一緒にがんばれます。結果、楽しく継続できます。

吉永小百合
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―スキンケアに関してはどうでしょうか? そのつや肌は、どんなお手入れ方法の継続で作られたのでしょう?

汚れはしっかり落として、肌を触りながら、「これくらいで大丈夫かな」とたっぷり保湿水を与え、うるおいのフタをするために少しオイルを与えるケアが基本です。50代からは特に、肌を甘やかさないよう、よりシンプルになりましたね。

―加齢と共に、スキンケアがシンプルになっていった? それは興味深いです。

若い頃、“メイクは肌に悪い”と思い込んでいて、撮影中は昼休みに一度メイクを落としていたほど。日に当たることが好きでしたから、メイクもスキンケアもやり過ぎていて、かえって肌に負担をかけていたと思うんです。肌って、適切な保湿ケアを続けていれば、過保護にしない方が、自らの力でのびのび元気でいてくれる気がします。

―手で触れて、肌の声を聞いて、必要なものを与える。まさに“お手入れ”ですね。

そうですね。今使っている五島の椿の葉から抽出した“椿の葉 保湿水”は、強いインパクトはありませんが、肌にどんどん入っていき、温もる。そう、じんわりと。それが好きです。日によって必要な量が違うので肌の調子もわかります。観察しながら毎日ケアしています。

kurosaki park aerial view in nakadōri jima 中通島, gotō islands 五島市
Ruben Earth//Getty Images


長崎県五島列島は、産業が少ないため、高校を卒業と同時に若者は島を離れるという。吉永さんは2011年、プライベートで五島列島を訪問した。自然と文化に惹かれ、翌年再訪。その時、家族に見送られ船で島を出る多くの若者たちの姿を目にする。心が震えたそうだ。

数年後、自生する椿で地域活性に取り組む『五島の椿プロジェクト』の話を聞き、すぐに応援すると決めた。人口減少と高齢化の著しいこの地に、椿を使った商品開発から消費までを循環させることで、産業と雇用を創出することを目指すサステナブルな取組だ。『五島の椿』は、同プロジェクトの認定パートナー企業のひとつ。自社農園で栽培した椿を使ったスキンケアを販売している。

―スキンケアのアンバサダー就任は 36年ぶりだとか。

“椿の葉 保湿水”は、島の人々が葉を1枚1枚手摘みし、蒸留して抽出された成分をそのままボトルに詰め込んだ、混じり気のない天然成分そのものなんです。使った時、その保湿力にびっくりしました。余計なものを足していない自然の美力に感動し、多くの方に使っていただきたい、と心から思ったことが、お引き受けした理由です。

椿
@五島の椿プロジェクト(写真/泊 昭雄)
椿
@五島の椿プロジェクト(写真/泊 昭雄)
五島の椿
@五島の椿
椿畑で葉摘みをする地元の人々。

―椿は世界に誇れる日本の花。花言葉は、「誇り」「謙虚な美」「高潔な理性」。偶然でしょうか、吉永さんを象徴しているかのようです。

光栄です。椿の花は冬に咲き、葉は一年中艶やかな緑色を保ちます。強かで美しい植物。今回のプロジェクトの発足で、その強さの秘密が次々わかり始め、生活に役立つ商品開発へとつながっています。このまま継続させることが今は一番大切だと思っています。

―継続といえば、原爆詩の朗読を長く続けていらっしゃいますよね。

80年代に『夢千代日記』で演じた女性を通して、原爆の現実を知り、映画で戦争に接することも多かったので、「戦争は二度としちゃいけない」と私は思っているし、そういうことは口に出してきました。これからも思ったこと感じたことは発信していきたいと思っています。ただ発言し続けるには、勉強していかないと、と届かない。なので日々できることをがんばっているつもりです。何事も、地味でも継続することが大切ですよね。

吉永小百合
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朗読35年、スイミング歴は30年。五島の椿プロジェクトへの参画は3年目に入る。“サステナブル”という言葉を一切使わないものの、吉永さんの日常はサステナビリティに溢れている。その姿勢に気負いはない。ただ、会話を通して、継続する意志が堅いことが伝わってくるだけだ。ご自身の立ち位置や役割を理解し、その“美の力”を信じ、発信を続ける凛とした生き方が、人を魅了し続ける理由だろう。

―エル読者にアドバイスをお願いします。

30代、40代は、いろいろなことに気づく、素敵な年代。思いきって色々なことに挑戦してほしいです。人生は今や100年と長いですからね。私は35歳の時、仕事を自分で選ぶという方法に切り替えました。勇気のいることではありましたが、今こうして活動を続けていますから、良い選択をしたと思っています。みなさんも思ったこと感じたことをどんどんやってください!

―最後に、吉永さんが、今やってみたい習い事はありますか?

太極拳に興味があります。あとは幼い頃習っていたピアノをもう一度習いたい。最近、街のあちらこちらにピアノが置いてありますよね? いつかそこで弾いてみたいです。

次の「習い事」も見えている吉永さんに、年齢などもう不要だろう。地道な努力を重ねて、きっと数年後、街ピアノで演奏を楽しんでいるに違いない。学びを続ける人は美しい。これこそ、サステナブルビューティのひとつの正解なのかもしれない。

PROFILE

1957年ラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビュー。1959年「朝を呼ぶ口笛」で映画初出演。主な作品に「キューポラのある街」「愛と死をみつめて」「動乱」「細雪」「天国の駅」「北の零年」「母べえ」「北のカナリアたち」「母と暮せば」「最高の人生の見つけ方」「いのちの停車場」等多数。最新作「こんにちは、母さん」は、2023年9月1日に公開される。1986年より始めた原爆詩の朗読は30年以上。また2011年東日本大震災以降は、福島の詩人達、子供の詩も読み始める。TBSラジオ「今晩は吉永小百合です」放送中(毎週日曜日22:30)。

椿
@五島の椿
「五島の椿」シリーズ。左から 椿酵母せっけん110g 3,850 椿の葉 保湿水 150ml¥3,800 椿酵母オイル(フェイス)30ml ¥4,950/以上五島の椿

問い合わせ先/五島の椿  https://www.gotonotsubaki.co.jp/