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HISTORY 〜教育学部特別支援教育 高橋 信雄 教授〜

平成26年3月末退職の教育学部特別支援教育 高橋 信雄 教授から大学での思い出を寄せていただきました。

愛媛大学での30年

愛媛のすばらしさ
愛媛で実現できたこと
学生との歩み

 block_57653_01_M昭和58年(1983)に愛媛へ赴任した。群馬の山育ちの私には、一種の海へのあこがれがあった。愛媛に来て、それが実現した。身近に、山や海があり、当時3歳少しだった息子とよく海水浴や磯遊びや魚釣りに行った。とにかく愛媛に来て一番印象的だったのは、春5月初めに、蜜柑の花の香りが街中に漂うことであった。朝、外に出てみると街中が蜜柑の香りに包まれている。最高に感激した出来事であった。また、夏には、太陽が近いと思った。夏の暑さや日差しの強さは、生まれ育った関東地方とは全く異なっていた。そして、冬には雪が降った。愛媛というと南国というイメージしかなかったので、これも大変驚いた。さらに、当時はまだ高速道路がなかったので、徳島や一本松まで行くのに7〜8時間近くかかった覚えがある。そんな自然に恵まれた愛媛での、あれやこれやの生活も早30年たった。この30年の間、専門の領域でも、ずいぶん好き勝手なことをさえてもらった想いがある。当時は、聴覚障害に関わる領域を専門とし活かせる場は、全国の6大学にしか設置されていなかった聾学校の教員養成課程だけであり、愛媛と広島大学だけが総合大学におかれていた。愛媛大学でしか実現できないこと、愛媛大学だからこそできることを考えてきた。愛媛に来て先ず始めたのは医学部との連携である。専門領域のオーディオロジー(聴覚障害学)は、耳鼻咽喉科学の知識や技能なくしては語れない。特に、赴任した当時に開発研究が終盤を迎えていた人工中耳や新たに開始した人工内耳の研究は、医学部との連携なくしてあり得なかった。補聴器外来や乳幼児の聴覚健診事業や人工内耳のリハビリなど、今でも引き続いている事業もある。そもそも、大学というところは、何か思ったときに、即実行できる環境がある。思いついたことを実現できる時間と人員がいて、一定程度の金があると言うことである。一人ではなかなか難しいが、学生という心強いそしてパワーのある実行部隊がいる。一緒に考え、取り組める仲間がいるところである。
 考えてみれば、思い切り羽をのばせた30年間で、いくら感謝してもしきれない。自分ながらよく務まったものだと感心もしているこの頃である。
 ここまでこられたのは、周囲で支えてくれた多くの同僚や先輩そして学生の皆さん、とりわけいつも元気を分けてくれた人工内耳を装用した小さな子ども達とその保護者の皆さんのおかげに他なりません。こうした全ての皆さんに心から感謝したいと思います。ありがとうございました。