法定利率とは?弁護士がわかりやすく解説|2024年最新版

法定利率は、民法で定められた利率のことです。

2024年現在の法定利率は年3%となっています。

法定利率は、契約で利率が定められていない場合や、契約と関係なく支払い義務が生じる場合(不法行為の損害賠償など)などに用いられます。

この記事では、法定利率について弁護士がわかりやすく解説します。

法定利率とは

法定利率とは、法律により定められる利率です(民法404条)。

現在、法定利率は変動制となっており、3年に1度改められることになっています(民法第404条第3項)。

以前は、法定利率は、明治時代以降長らく年5%に固定されていました。

しかし近年、低金利政策のために一般的な金利は年5%を大きく下回っていたため、2020年(令和2年)4月1日から施行された改正民法で、法定利率に関する規定が変更されたのです。

これまでに定められた法定利率は、以下のようになっています(2024年1月現在判明しているもの)。

  • 令和2年3月31日まで:年5%(改正前の民法)
  • 令和2年4月1日から令和5年3月31日まで:年3%(ここから、改正民法)
  • 令和5年4月1日から令和8年3月31日まで:年3%

なお、以前は会社同士の取引や個人の商行為の利率として、商事法定利率(年6%)もありましたが、この改正で廃止され、民法による法定利率に一本化されました。

根拠条文
民法
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

引用:民法 | e-Gov法令検索

 

法定利率はどのようなケースで問題となるの?

法定利率が問題となるケースには、以下のようなものがあります。

借金の返済や代金の支払いなどが支払い期限までにできなかった場合

お金の支払いが期限までにできなかった場合、支払いが遅れたことにより権利者(「債権者」といいます。)に生じた損害を賠償するため、支払い期限の翌日からの遅延損害金を支払わなければなりません。

契約がある場合(例:借金の返済、代金の支払い)は、遅延損害金の利率について契約で定めていることも多いですが(契約で定めた利率を「約定利率」といいます。)、約定利率が定められていない場合には、法定利率により遅延損害金が発生します(民法419条第1項)。

約定利率が法定利率以下の場合も、法定利率による遅延損害金が発生します。

お金の支払いが遅れた場合の遅延損害金は、法律によって発生することが定められている(民法419条1項)ので、契約で「遅延損害金が発生します」などと定めていない場合でも、遅延損害金を請求されます。

根拠条文
民法
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

引用:民法 | e-Gov法令検索

不法行為による損害賠償責任を負っている場合

交通事故などの不法行為による損害賠償責任がある場合、損害賠償金についても遅延損害金が発生します。

この場合の遅延損害金の利率は、法定利率になります。

損害賠償金の支払い義務は「損害発生と同時に遅滞に陥る」(最高裁判所昭和37年9月4日判決民集16-9-1834)とするのが判例ですので、損害が発生した日(交通事故などの不法行為があった日)からの遅延損害金を計算することになります。

中間利息の控除を行う場合

将来取得するはずであった利益・費用が損害賠償の対象となる場合、損害賠償の額を定めるに当たり、その利益・費用が生じたはずの時までの利息相当額を控除することになります(「中間利息の控除」といいます。)。

この「利息相当額」は、損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により計算することとなっています(民法第417条の2、第722条第1項)。

根拠条文
民法
(中間利息の控除)
第四百十七条の二 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

引用:民法 | e-Gov法令検索

中間利息の控除が必要となる場面としては、交通事故などの不法行為による死亡、後遺障害などについての損害賠償のケースがあります。

このような場合には、「不法行為がなければ将来得られたであろう収入」が損害賠償の対象となります。

ただ、「将来の収入」と同じ額の賠償金を現在支払ってしまうと、現在から「将来」までの間に発生する利息を被害者側が余分に得てしまうことになり、問題だとされます。

例えば、交通事故の被害者が死亡したという場合、生きていれば5年後に得られたであろう収入(400万円とします。)も損害賠償の対象となります。

この場合に、現時点で400万円を被害者側に支払ってしまうと、5年後までに被害者側で運用して増やし、5年後の時点では400万円を超える額にできてしまいます。

そうすると、現時点で400万円を支払ったのは「払いすぎであった」ということになってしまいます。

そこで、5年間で得られるであろう利息を計算して差し引き(控除し)、現時点で支払うべき賠償金の額を計算することとされています。

これが、「中間利息の控除」です。

この「差し引く利息」を計算する際に、法定利率を用いることとなっているのです。

契約が解除された場合

売買契約などが解除され、既に受け取っていた代金などのお金を返還しなければならなくなった場合、そのお金を受け取った時からの利息も付けて返還しなければなりません(民法545条第2項)。

この利息を計算する際、法定利率を用いることになります。

 

法定利率と約定利率との違い

利息や遅延損害金を計算する際の利率には、法定利率と約定利率があります。

法定利率と約定利率の違いをまとめると、以下の表のようになります。

法定利率 約定利率
  • 法律で定められている。
  • 契約などで定めなくとも発生する。
  • 利率も法律で定められている。
  • 契約当事者の合意により定められた場合に発生する。
  • 利率は契約で定める。
  • 利息制限法などで利率の上限が定められている。

既にご説明したとおり、法定利率は法律で定められたもので、利率も法律により決められています。

また、法定利率により発生する法定利息は、契約で決めていない場合でも、法律に従って発生します。

これに対し、約定利率は契約などの合意により定められます

約定利率についてご説明していきます。

約定利率とは?

利率として用いられるものには、法定利率のほかに約定利率もあります。

約定利率は、契約などにより、当事者の合意に基づいて定められた利率です。

約定利率は、いわゆる「利息」についてだけでなく、期限までに支払いができなかた場合に発生する「遅延損害金」についても決めることができます。

約定利率を定めることが多い契約には、主に以下のようなものがあります。

  • 住宅ローン契約
  • カードローンに関する契約
  • クレジットカードの利用に関する契約
  • 売買契約(代金の支払いが遅れた場合の遅延損害金の利率)
  • 賃貸借契約(賃料・共益費などの支払いが遅れた場合の遅延損害金の利率)

約定利率の上限

お金の貸し借り(消費貸借)の利息に関する約定利率については、利息制限法により上限利率が定められています(利息制限法1条)ので、約定利率はその範囲内で設定しなければなりません。

利息制限法1条で定められた上限利率は、以下のとおりです。

元本額 上限利率
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

遅延損害金の約定利率については、利息制限法第1条の上限利率の1.46倍までとされています(利息制限法4条)。

以上が原則ですが、営業的金銭消費貸借(お金を貸す側が業として行う金銭の貸し借り)については、遅延損害金は年20%までとするとの特則が設けられています(利息制限法7条)。

そのため、貸金業者や銀行からの借入れ、クレジットカードのキャッシングの場合、遅延損害金の上限は年20%に制限されます。

遅延損害金の約定利率については消費者契約法でも上限が規定されており、消費者契約(営業的金銭消費貸借を除く。)の場合、遅延損害金の上限利率は年14.6%とする、とされています。

この規定に従い、クレジットカードのショッピング利用代金については、遅延損害金は年14.6%が上限となります。

お金の貸し借りにも消費者契約にも当たらない場合には、利息制限法も消費者契約法も適用がなく、遅延損害金の利率に上限はありません(ただし、あまりに高額な利率を設定すると、公序良俗に反するとして無効になる可能性があります(民法90条))。

以上の上限利率の規定をまとめると、以下の表のようになります。

元本の額 利息の上限(お金の貸し借りの場合) 遅延損害金の上限
お金の貸し借りの場合の原則
=利息の上限利率の1.46倍
営業的金銭消費貸借の場合 消費者契約の場合(営業的金銭消費貸借契約を除く) お金の貸し借りにも消費者契約にも当たらない場合
10万円未満 年20% 年29.2% 年20% 年14.6% 制限なし
(あまりに高額な利率を定めると、公序良俗に反するとして無効になる可能性あり。)
10万円以上
100万円未満
年18% 年26.28%
100万円以上 年15% 年21.9%


法定利率と遅延損害金との違い

法定利率と遅延損害金の違いは、以下の表のようになります。

法定利率 遅延損害金
  • 法律によってのみ定められている。
  • 利率も法律で決まっている。
  • 支払い期限に遅れた場合以外にも発生する。
  • 法律により決められる場合と、約定により定められる場合がある。
  • 支払い期限に遅れた場合に発生する。
  • 約定により定める場合には上限がある。

法定利率は、法律によってのみ定められており、契約などの約定で決まることはありません。

利率も法律で決まっています

また、法定利率による法定利息は、支払い期限に遅れた場合以外にも発生します(例:契約解除後に既に受け取っていたお金を返還する場合に、受領時からの法定利息を付すケース)。

これに対し、遅延損害金は、支払い期限までにお金の支払いができなかった場合にのみ発生します。

遅延損害金の利率は、法律で定められていることもありますが、当事者同士の契約など約定により定められることもあります。

約定により定める遅延損害金には法律により上限が設けられていることは、既にご説明したとおりです。

遅延損害金の上限については、前項の表をご覧ください。

遅延損害金については、以下のページでも詳しく解説しています。

 

 

法定利率の計算方法

法定利率の計算方法は、以下のようになります。

(支払うべき金額)×(法定利率)÷ 365日 ×(法定利息が発生していた日数)

具体例で計算してみると、次のようになります。

具体例

商品代金36万5000円を4月10日までに支払わなければならなかったが、支払いができず、10日後の4月20日にようやく支払いができた。
遅延損害金に関する約定はなく、法定利率による遅延損害金が発生した。支払うべき遅延損害金
36万5000円 × 0.03 ÷ 365日 × 10日 = 300円

上の例では、法定利息による遅延損害金が発生するのは支払い期限の翌日(4月11日)からとして計算されます。

そのため、上の例のように、4月10日に支払うべきだったお金を4月20日に支払った場合には10日分の遅延損害金が発生します。

これに対し、交通事故などの不法行為の場合は、損害が発生した日(不法行為の日)から遅延損害金が発生するものとして計算します。

そのため、4月10日に発生した不法行為により生じた損害の賠償を4月20日に支払った場合、11日分の遅延損害金が発生することとなり、上の例よりも1日分多くなります。

 

 

支払いが苦しい場合の対処法

経済状態が苦しくなり、支払うべきお金を支払うことが難しくなった場合は、状況を放置していてはいけません。

支払いができないままにしておくと、遅延損害金が発生し、さらに支払うべきお金が増えていってします。

「契約した時、遅延損害金なんて定めなかったから大丈夫」と考えるのも間違いです。

既にご説明したとおり、お金の支払いに関しては、契約で定めなくても、法定利率による遅延損害金が発生してしまいます。

また、もしかするとよく読まなかった約款や利用規約の中に遅延損害金に関する定めが置かれているかもしれません。

支払いが苦しくなった場合の対処法としては、

  • 債権者に相談する
  • 債務整理を検討する

といったものが考えられます。

 

債権者に相談する

借金が払えない場合はお金を貸してくれた相手(貸金業者など)に、代金が払えない場合は売主に、状況を話して相談してみることが考えられます。

相手もお金が全く払ってもらえないと困るので、支払期限を延長したり、分割払いにしてくれたりする場合があります

場合によっては、遅延損害金の免除や、借金・代金の減額に応じてくれるかもしれません。

ただ、こうした交渉は、一般の方には難しいところがあります。

次にご説明する債務整理も視野に入れつつ交渉を進めるためにも、債権者との交渉が必要になった場合、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。

 

債務整理を検討する

借金であっても売買代金であっても、お金の支払いが苦しくなった場合は、弁護士に相談し、債務整理を検討することをお勧めします。

弁護士に債務整理を依頼すれば、債権者からの取立ても止まりますし、債務整理の準備のためにしばらく支払いをストップすることもできます(ただし、遅延損害金が発生しなくなるわけではありません。)。

債務整理の相談については、初回無料として対応している法律事務所も多くあります。

債務整理を始めることとした場合の弁護士費用も、事前に用意することができなくても、借金などの返済をストップしている間に分割で支払うことができることとしている法律事務所が多いです。

お金の支払いに困った場合は、遅延損害金や新たな借金で負債の額が増えすぎてしまう前に対応することがとても大切です

以下でご紹介するとおり債務整理の手続きには種類があるのですが、負債額が増えすぎてしまうと選択肢が狭まってしまい、

  • 自宅や車を手放さざるを得なくなる
  • 保証人に請求が行くようになる

など、希望に沿った債務整理ができなくなる可能性が高まります。

支払いが苦しくなったときは、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

債務整理の解説、債務整理により返済負担が軽くなった実例、弁護士に債務整理を依頼するメリットなどについては、以下のページでも詳しく解説しています。

ぜひ一度ご覧ください。

債務整理の種類

債務整理には主に、自己破産、個人再生、任意整理の3種類があります。

それぞれの手続きについて簡単に解説します。

自己破産とは

自己破産とは、めぼしい財産(不動産、自動車、多額の預貯金、高価な貴金属など)を処分してお金にし、これを債権者に配分した後、残りの借金を帳消し(免責)にしてもらう手続きです。

自己破産を行う場合は、裁判所に申立てをする必要があります。

自己破産の最大のメリットは、借金がゼロになることです。

他方、自己破産のデメリットとしては、以下のものなどが挙げられます。

  • 自己破産後5〜7年間程度「ブラックリスト」に載ってしまう。
  • 持ち家や車は手放さざるを得ない場合がほとんど。
  • 保証人がいる場合、保証人が請求を受けることになる。
  • 友人・職場などへの借金も対象とせざるを得ない。
  • 一定の資格や職業に就くことを制限される。
  • 借金の原因がギャンブルや浪費だと利用できない。
  • 官報に名前が掲載される。

自己破産について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

個人再生とは

個人再生は、元本を含めた借金を一定の基準に従って減額してもらう手続きです。

借金額などにもよりますが、借金が5分の1、10分の1になることもあります。

個人再生を行う場合は、裁判所に申立てをする必要があります。

個人再生の大きなメリットは、持ち家を残しながら借金を減らせることです。

借金の原因がギャンブルや浪費でも利用できること、職業や資格に制限を加えられることがないことも自己破産と違った大きなメリットです。

個人再生のデメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 個人再生の手続き後3~5年かけて残りの借金を返済しなければならない。
  • 安定収入がないと利用できない。
  • 手続きに着手してから残りの借金の返済終了後5年程度経過するまでは「ブラックリスト」に載ってしまう。
  • 車は手放すこととなる場合が多い。
  • 保証人がいる場合、保証人が請求を受ける。
  • 友人・職場などへの借金も対象となる。
  • 官報に名前が載ってしまう。

個人再生について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

任意整理とは

任意整理は、債権者と直接交渉し、借金の減額、返済期限の延長を実現していく手続きです。

任意整理は、裁判所を通すことなく行うことができます。

任意整理では対象とする債権者を比較的自由に選ぶことができるので、

  • 住宅ローン・車のローンには手を付けず、自宅・車を残すことができる。
  • 保証人が付いている借金はそのまま返済を続けることができ、保証人に請求されないようにできる。

といったメリットがあります。

メリットとしては他に、

  • 官報に名前が載ることもない。
  • 家族などにも知られにくい。

といったものがあります。

デメリットとしては、

  • 減額できるのは利息や遅延損害金が主で、元本のカットまでは難しい。
  • 安定収入が必要である。
  • 残った借金の完済後5年程度経過するまでは「ブラックリスト」に載ってしまう。

といったことがあります。

任意整理について、詳しくは以下のページをご覧ください。

 

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まとめ

今回は、法定利率の意味、法定利率が問題となるケース、計算方法などについて解説しました。

法定利率に関しては、近年の低金利に鑑み、大きな法改正が行われたところです。

ただ、お金の支払いを怠っていると最低でも法定利率に従った遅延損害金が発生してしまうことは、改正前後を通して変わりません。

支払いができなくなってしまったときは、弁護士に相談し、必要であれば債務整理を行いましょう。

何もしないでいると、遅延損害金がどんどん増えていってしまうばかりです。

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