1.講演「個別健康最大化を目指したヘルスケアソリューション研究の推進」
(動画 18:11 〜 01:00:44)
【理化学研究所生命機能科学研究センター ユニットリーダー
大阪公立大学健康科学イノベーションセンター 副所長 水野 敬 氏】
大人ばかりでなく子どもも睡眠不足や疲労といった健康の課題を抱えており、それは学年が上がるにつれて大きくなる傾向にある。そのことは活力や学力低下、あるいは慢性疲労や不登校などにもつながるリスクがあることが調査で分かってきた。
眠りにつくためには、寝る前にブルーライトを浴びないことや就寝前の環境づくりなどの工夫が有効で、十分な睡眠時間を確保し、朝からすっきり起きて一日をスタートさせる、生活のポジティブサイクルを作っていくことが大切である。
理化学研究所健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックスでは、睡眠も考慮された総合的に健康度を測れる新規評価法(健康関数®)の開発に成功した。一定のデータから多様な健康状態を推定することが可能であり、私たちが推進する個別健康最大化プロジェクトの基盤技術である。様々な企業とアロマやサプリ、アプリなどの開発を行ってきており、これらのヘルスケアソリューション評価のために健康関数®を活用する。理化学研究所と大阪公立大学では、健康関数®やソリューション評価・開発に関心のある企業との連携、共創活動を希望している。
2.講演「スリープテック技術の事業化と将来性」
(動画 01:03:29 〜 01:29:30)
【エコナビスタ株式会社 取締役 安田 輝訓氏】
エコナビスタは家電や空調等のホームコントロール事業から始まった会社だが、現在は「ライフリズムナビ®+Dr.」が主力製品となっている。高齢者施設の見守りシステムとして、現在は150以上の施設に導入されている。
非接触のセンサーで見守りを行っているが、キーとなっているのは介護ベッドのマットレスの下に設置している睡眠センサーで、毎秒の心拍、呼吸、体動を計測する。睡眠を可視化することで室内状態、睡眠状態、睡眠習慣の把握ができ、そのことによって入居者のリアルタイムの状況把握に加え、根拠に基づいたケアプランの作成も可能となっている。施設の介護人材不足の解消や、労働の不可軽減などにもつながっている。
睡眠センサーは、高齢者施設で様々な課題解決につながっていることを紹介したが、このように「睡眠」というキーワードのない分野でも様々な活用が期待できる。介護以外の共創も可能であるため、関心のある企業などがあれば、是非お声掛けいただきたい。
◆◆◆主催者としての所感◆◆◆
睡眠は人間にとって非常に重要なものです。睡眠時間には個人差があるとはいえ、一定時間の睡眠をとらなければ、人間のパフォーマンスは落ちてしまうでしょう。スポーツ選手等からも、そのような話を聞くこともあります。本セミナーの水野氏の講演でも、学業成績との関係もあるとのお話がありました。
これも個人によって違いがありそうですが、良質な眠りを得るには環境づくりも大事になりそうです。光や日中の活動など、様々な要素との関係があると考えられます。水野氏、安田氏をはじめとした、関係者の皆様の研究開発の深化や、今後の共創の取組で、より多くの人が良質な睡眠ができるようになることを期待でき、筆者もそのような技術を利用してみたい一人です。
◆◆◆講師の紹介◆◆◆