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世界の乳業メーカー
世界の乳業トップ10の決算は概ね好調に推移
 世界の乳業メーカーの2006年の決算は、燃料費、包装材料費などの高騰が経営の圧迫要因となっているものの、低水準の生産者乳価に支えられ、概ね好調に推移した。また、経済発展が著しいBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)向けなどを中心に、輸出に力を入れることで業績を伸ばしたケースも多くなっている。今号では、世界の乳業メーカーの売上高上位10社の決算内容を紹介する。

ネスレは10兆円目前の記録的売上高
 スイスの国際食品企業、ネスレの売上高は985億スイスフラン(約9兆8500億円。1スイスフラン100円換算)で前年比8.1%増となった。同社では「記録的な増加」としている。このうち乳製品.栄養食品.アイスクリーム部門は234億スイスフラン(約2兆3400億円)で5.3%増。全体の純益は92億スイスフラン(約9200億円)で13.8%増となった。
 同社は増収の理由について、売り上げの原動力であるブランド力を発揮したことや、多くのブランドで低脂肪など健康志向の新商品を積極展開したこと、栄養食品分野での買収、さらに、ヨーロッパにおけるチルド乳製品分野強化のための合弁企業であるラクタリス.ネスレ.プロデュイ.フレ社設立が奏功したことなどを挙げている。
 同社は今後も栄養、健康面に焦点を絞った商品展開と研究開発を強化する計画だが、07年は生乳、コーヒー、穀類のコスト上昇を懸念している。

ユニリーバは3%増収で純益26%増
 オランダ、英国に本社を置くユニリーバの売上高は、396億4200万ユーロ(約6兆4616億円。1ユーロ163円換算)で、前年比3.2%増、営業利益は54億800万ユーロ(約8815億円)で6.6%増、純益は50億1500万ユーロ(約8174億円)で26.2%増となった。販売数量が伸びたことに加え、販売単価も堅調に推移したためとみられる。このうち、アイスクリーム.飲料、冷凍食品などの食品部門は2.9%増となった。同社は「クノール」、「リプトン」、「ラーマ」、「ハートブランドアイスクリーム」など、売上高が1600億円を超える多くの「10億ユーロブランド」を世界100ヵ国で展開しており、従業員は17万9000人に上る。

米クラフトは前年並みの4兆800億円
米国最大の食品メーカーであるクラフト・フーズの売上高は340億米ドル(約4兆800億円。1米ドル120円換算)で前年並みとなった。純利益は30億米ドル(約3600億円)で14%増。同社は世界150ヵ国に進出し、従業員は9万人に上る。
 また、同社の親会社グループである大手タバコ会社のアルトリアグループは同社の株式を同グループの株主に分配したため、同社は07年4月以降、独立企業としてのスタートを切ることになった。

仏ダノンは2兆3000億円で実質10%増
 フランスのグループダノンの業績は、売上高が140億7300万ユーロ(約2兆2939億円)で前年比8.1%増、為替変動などを除いた実質ベースでは9.7%増となった。営業利益は19億1400万ユーロ(約3120億円)で10.1%増。主力商品が計画以上に伸びたためとみられる。
 ヨーグルトやデザートなどフレッシュ乳製品の売上高は79億3400万ユーロ(約1兆2932億円)で10.4%増、実質ベースで9.2%増と好調だった。売上高に占める構成比は56.3%。営業利益は11億900万ユーロ(1808億円)、14.9%増。
 主力ブランドの「Actimel」、「Activia」、「Danonino」、「Vitalinea」などが15%以上伸びた。フランスと欧州域内では1けた台の伸びだったが、ロシアの伸びが目覚ましく、南米では20%伸びた。北米でも「Activia」の投入とオーガニック商品が寄与して10%の伸びを示した。

フォンテラは新記録の1兆2800億円に
 ニュージーランドのフォンテラの07年5月期売上高は過去最高の139億NZドル(約1兆2788億円。1NZドル92円換算)で前年比6.8%増となった。この売り上げ増にはフォンテラ・グローバル・トレードとフォンテラ・イングリーディエンツ(以前は両社合わせてフォンテラ・イングリーディエンツの名称)による対外売上高99億NZドル(前年比7.3%増)を含んでいる。
 NZドル高にもかかわらず、乳製品や機能性乳成分の輸出が堅調だったため、売上高が伸びたが、それを支えた要因に、乳固形分の生産が前年比3.0%増の124万6000トンとなったことが挙げられる。この乳固形分生産量も新記録を達成した。輸出量は250万トンで16.0%、34万4000トン増えた。
 この結果、1万1600人の株主酪農家に対する最終支払い乳価は乳固形分換算で1キロ当たり4.46NZドル(約410円)、前年比8.8%高となった。

チーズのラクタリスは1兆2000億円台
 世界有数のチーズメーカーで、フランス最大の集乳量を誇るラクタリスグループの売上高は75億ユーロ(約1兆2225億円)で前年比20%増となった。世界での集乳量は800万キロリットル(前年比8%増)で、これとは別に羊乳が16万2000キロリットル(前年と同数)、山羊乳が7万4000キロリットル(同)。牛乳乳製品生産量のうちチーズは75万トンで前年比29%増、牛乳は150万キロリットルで同数、フレッシュ製品は30万トンで20%増、バター類は27万7000トンで2%増などとなっている。
 従業員はフランスが1万4300人で59%増、世界合計は2万7660人で28%増となっている。

米国最大手のディーン・フーズは101億ドル
 米国最大の乳業メーカーであるディーン・フーズの売上高は100億9856万米ドル(約1兆2118億円。1米ドル120円換算)で前年比0.7%減となったが、100億ドルを維持した。営業利益は6億5070万ドル(約781億円)で12.2%増。売り上げが微減だったこともあり、乳価安によって営業利益が大幅増となった。
 このうち乳業部門は88億2100万米ドル(約1兆585億円)で1.7%減、営業利益は6億7800万米ドル(約814億円)で5.6%増となった。
 また、オーガニック乳製品などを統括するホワイト・ウェーブ・フーズ社部門の売上高は12億7760万米ドル(約1533億円)で6.4%増、営業利益は1億3940万米ドル(約167億円)、21.3%増となり、好調な業績となった。

米DFAは低水準の乳価で11%減収
 一方、米国最大の酪農協で乳業事業も行うデアリー・ファーマーズ・オブ.アメリカ(DFA)の売上高は79億米ドル(約9480億円)で前年の89億米ドル(約1兆680億円)から11%減少した。  DFAが自工場で処理した生乳と他乳業に販売した乳量の合計は前年を3%以上上回り、約2800万トンを超える記録を更新、全米生乳生産量の34%を占めた。DFAは組合員である酪農家に乳代として49億米〜(約5880億円)を支払ったが、05年の低乳価からかなり回復したものの、低水準の乳代に変わりなく、経営責任者のリック・スミス氏も「急上昇した燃料費、人件費、飼料代を相殺するには不足のようだ」としている。  DFAは4つの地域酪農協が合併して98年に設立され、20を超える工場を所有するほか、多くの合弁会社もある。

米ランド・オ・レイクスは4%減収
 米国DFAと同じ酪農協のランド ・オ・レイクスの売上高は72億7491万ドル(約8730億円)で前年比3.7%減、純益は8867万ドル(約106億円)で31.2%減となった。  売上高の47%(前年52%)を占める乳業部門は34億1388万ドル(約4097億円)で前年比12.6%減、税引き前利益は4717万ドル(約57億円)で120倍となった。売上高が大幅に減少したのはバターとチーズ価格が安値で推移したため。大幅増益は、燃料費とエネルギーコストは高値が続いているものの、昨年は再編費用が大きかったことの反動による。  乳業部門に次ぐ売上高の飼料部門は27億1139万ドル(約3254億円)で4.8%増、税引き前利益は3671万ドル(約44億円)、0.1%増だった。

蘭フリースランドは4年ぶりに増収
 オランダのトップメーカーで酪農協系乳業のフリースランド・フーズの売上高は46億7500万ユーロ(約7620億円)前年比6%増となり、02年以来4年ぶりに増収となった。営業利益は2億5700万ユーロ(約419億円)で22%増と大幅に増加した。  増収増益となったのは、ヨーロッパ市場で激しい小売競争があったことから、売上高は36億ユーロ(約5868億円)でわずかな伸びにとどまったものの、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシアなどのアジア市場が20%増の8億7300万ユーロ(約1423億円)となったことが大きい。  同社は07年の見通しについて具体的な数字を示していないが、「西ヨーロッパの小売価格は依然として低すぎる」と警告する一方、東南アジア、中東、西アフリカでの更なる躍進については楽観している。

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