美しすぎる「ビロディド」が世界選手権で優勝 彼女のレジェンドは田村亮子

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「私にとって偉大なレジェンド」

 48キロ級と言えばなんといっても日本が誇った「やわらちゃん」こと谷亮子(43 旧姓田村・元参院議員)だ。五輪2連覇など5度の表彰台。世界選手権は6連覇を含み7度の優勝を誇る。ビロディドにとってあこがれのレジェンドという。今回、男子全日本代表の井上康生監督の計らいで谷とツーショットの場を設けてもらったという。インスタグラムでは「自分の目を信じることができない! リョウコ・タニのようになることが、子どもの頃の夢だった。彼女は7度世界チャンピオンになり、五輪では5度のメダル獲得を果たした。子どものころ、試合の映像やトレーニングを毎日見たことを覚えている。涙が出ました」。「私にとって偉大なレジェンドで、本当に彼女のようになりたかったから。この偉大な柔道家から、私の柔道における大きな夢が始まった。そして何年もたち、ここ世界柔道のため日本に来て、アイドルに会うことができた! 写真や素敵な言葉をありがとう。そしてこの出会いを企画してくれてありがとう、コウセイ・イノウエ! 本当に光栄です!」と狂喜した。

 さて、木村政彦(戦前から戦後にかけての無敵の柔道家)と山下泰裕(全日本選手権9連覇 ロス五輪金 現JOC会長)、横綱白鵬と大鵬、どっちが強いかの類だが、全盛期の谷ならビロディドに勝てただろうか。立ち技は互角だろうが寝技に持ち込まれたら「やわらちゃん」には分が悪い。かつて審判は寝技になるとすぐに立たせたが、最近はかなり寝技を続行させており、ビロディドに軍配が上がりそうだ。

文武両道

 「美人大国」ウクライナで生まれたダリア・ビロディド。父親は欧州選手権を三度制し、世界選手権でも3位、五輪にも出場した。母親も柔道家。両親は最初、娘に体操をさせていたが体操のコーチが辞めてしまったこともあり、ダリアは柔道に興味を持って始めたという。めきめき力を付け、17歳以下の世界カデット選手権、欧州選手権などで頭角を現した。

 現在は名門キエフ大学の学生。文武両道にあの美貌。「天賦を独り占めさせて不公平ではないか」と神さんに言いたくなるが「日本が大好き」というビロディドは「来年この会場で再び金メダルを取りたい」と笑顔を見せた。世界選手権ではない。もちろんオリンピックのことだ。何はともあれ、渡名喜との再戦を期待したい。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月31日掲載

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