稲森いずみ 幾多の人生体現 日テレ系「夫婦が壊れるとき」で30年連続出演ドラマの“女王”

 凜としたたたずまいで穏やかな笑みを浮かべる稲森いずみ(撮影・佐々木彰尚)
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 女優・稲森いずみ(51)が輝きを放ち続けている。94年の女優デビューからドラマ出演を続け、4月7日スタートの日本テレビ系ドラマ「夫婦が壊れるとき」(金曜深夜0・30)では、夫に浮気され復讐していく妻・真壁陽子役で主演を務める。今作で30年続けての連続ドラマ出演となる“女王”は、幾多の人生を体現できていることに「夢がかなっている」と充実感を示している。

 穏やかな表情で、遠い記憶を掘り起こした。「夫婦が-」での主演で、30年連続ドラマ出演。芸能界を志す前の高校時代に「良い感情も悪い感情も、いろんな感情を味わいたいと思ったんですよね」と明かした稲森は、「その時は女優さんとは思ってなかったけど、夢がかなっているなと思って」と小さく笑った。

 「夫婦が-」は浮気された夫や友人に、自身が演じる陽子が聡明に、時には過激に復讐していく物語。役に共感できる部分を「嘘(うそ)が嫌いなところ。知り合いや友達が嘘をついている姿を見るのも嫌」とし「壮絶な復讐ができる人ってほとんどいないと思う。だからこそ、自分でできないことを陽子を通して味わってほしい。爽快感みたいなものを感じてほしい」とうなずいた。

 94年の「上を向いて歩こう!」で女優デビュー。歩みを進める中で転機となった作品が96年の「ロングバケーション」という。「それまでちょっと意地悪というか、主人公の彼を取っちゃうとか、そういう役が多かったのが、まったく違うほんわかしたキャラクターだったので、違う面を出せた」。国民的人気を誇った作品で、イメージを一変させる好演。今後への視界が開けた瞬間でもあった。

 日テレの連続ドラマ出演は20年の「極主夫道」以来で、主演は09年の「アイシテル~海容~」以来。同作では殺人加害者の母親役を演じ、強く記憶に残る作品になったという。役柄の重さから「1回スイッチを切ると、内容に深く落ちるためにエネルギーを使うから、ずっとオンにしてました」と撮影期間中は役を抜かなかったといい、「オフでも私なんかが外に出ちゃいけないんじゃないのかとか思って」と壮絶な役作りを述懐した。

 出演のたび「プレッシャーは毎回感じます」と話す稲森。多くの俳優と共演してきた中で、北大路欣也(80)の言葉や振る舞いが記憶に焼き付いている。

 07年の「忠臣蔵 瑤泉院の陰謀」で共演。作品では恋仲となる関係性となり、自身の意見も聞きながら衣装の色を丁寧に選ぶ姿に「すてきだな」と驚嘆。以来、気にかけてくれているといい、「欣也さん、私はいろいろやらなくていいって言ってました。やろうとするな、演技を。自然でいなさいって」。大御所からの“助言”をかみしめ続けている。

 「あまり先のことを考えずに」と走り続けた30年。自分に無理を強いてきたわけではない。「ダメ人間みたいな生活をする時もあるし、健康的な生活をする時期もある」とし「メリハリが大事」とストレスをかけずにコンディションを維持している。

 最近ではキックボクシングを始めた。剣道を習っていた少女時代「闘争心がなくて、欲がない」と怒られていたといい「一番自分にないものをやってみたら、どうなるかなと」ときっかけを告白。ただ「このー、やるぞーとかがないんですよね。やっぱり、(闘争心は)出ないですね」と苦笑いした。

 演じることの特権を「人生何個も生きられないのに、いろんな人の人生や気持ちを体験できる」とした稲森。今後も「何かは思いつかないけど、やったことない役をやってみたい」と思いをはせた。これまで何十人もの人生を体現してきた“女王”。欲はなくとも、演技への思いは衰えることはない。

 ◇稲森いずみ(いなもり・いずみ)1972年3月19日生まれ。鹿児島県出身。モデルとしての活動を経て1994年、フジテレビ系「上を向いて歩こう!」で女優デビュー。以降、「ロングバケーション」や「ビーチボーイズ」「華麗なる一族」「篤姫」など多くの人気ドラマに出演。剣道初段の腕前を持つ。血液型B。

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