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9月号 よこはま動物園ズーラシアで絶滅危惧種「オカピ」の生態に迫る!  ~動物の生態から地球環境について考えよう~

最終更新日 2023年9月1日

 動物園では、様々な工夫によりたくさんの種類の野生動物を身近に感じることができます。一方、野生動物が暮らす自然界では、近年の地球温暖化や環境破壊の影響により、絶滅の危機に瀕する生物が少しずつ増加しているのも事実です。
 もしかしたら近い将来、動物園で当たり前に見られた動物たちが自然界からいなくなってしまうかもしれません。
 
 こうした状況の中、「よこはま動物園ズーラシア(以下、「ズーラシア」という。)」では、隣接する「横浜市繁殖センター」と連携しながら、絶滅の危機にある動物の保護・繁殖などに取り組んでいます。今回はその中でも、世界3大珍獣として人気の高い「オカピ」の様子を取材してきました。

オカピの概要

屋外展示場のオカピ
(提供)よこはま動物園ズーラシア

 オカピ
【体長】 2m
【体重】 オス250kg、メス330kg
【分布】 コンゴ民主共和国東部
【特徴】  熱帯雨林に生息しており、長い舌で木の葉をたぐり寄せて食べます。メスのほうがオスよりもやや体が大きく、オスには皮膚で覆われた2本の短い角があります。
お尻の縞模様が特徴です。

国内にいるオカピはわずか4頭!会えるのは市内の動物園だけ

 世界3大珍獣であるオカピの個体数は非常に少なく、絶滅危惧種(絶滅危惧IB類(EN))として指定されています。日本国内ではなんとわずか4頭しか飼育されていません。そのうち1頭は横浜市内の金沢動物園、3頭がズーラシアで暮らしています。
 また、野生のオカピは現在、コンゴ民主共和国の「イトゥリの森」という森にしか生息しておらず、その数はおおよそ10,000頭~15,000頭と言われています。「イトゥリの森」は保護地区として指定されており、国を挙げて保護活動が行われています。

屋外展示場と屋内展示場

 ズーラシアのオカピの展示場は屋外と屋内に分かれており、屋外展示場では、森の生い茂った野生のオカピの暮らしに近い環境が整備されています。また、屋内展示場では、熱帯雨林に暮らすオカピが快適に過ごせるよう、暖房による温度管理や湿度の調整が行われています。

「シマウマ」ではなく「キリン」?

オカピの後ろ姿

 オカピの名前の由来は、先住民の呼び名「森のウマ」に由来しているそうです。また、特徴的なお尻の縞模様から、シマウマなどのウマの仲間と思いがちですが、実はキリン科。高い場所の草を食べられるよう首を長くし、草原で暮らすようになったのがキリン、1000万年前から姿・形を大きく変えずに、深い森の中に残ったのがオカピと考えられています。
 また、頭蓋骨の形や、長い舌、角があるのもキリンとよく似ています。キリンはオスもメスも角がありますが、オカピはオスにのみ角が見られます。もしかしたらキリンも昔はオカピのような姿をしていたのかもしれませんね。

オカピの長い舌
オカピの長い舌 (提供)よこはま動物園ズーラシア

「森の貴婦人」とも呼ばれている

 オカピはその美しさや、優雅な立ち振る舞いから、「森の貴婦人」とも呼ばれています。まるでベルベットのような美しい毛並みは、担当者さんによるブラッシングではなく、オカピ自らが長い舌を使って毛づくろいをしているからだそうです。非常にきれい好きですね。

毛づくろいをしているオカピ
毛づくろいの様子

まだまだ謎の多い生態

 取材をしている間、オカピはあまり動くことなく、非常にゆったりとした穏やかな動物という印象を受けました。また、警戒心が強いそうで、野生では深い森の中でひっそりと暮らしています。そのため、人前に姿を見せることはほとんどなく、オカピが発見されたのも1900年頃と比較的最近です。また、単独で行動していることから、野生の生態はまだまだ分からないことが多いのだそうです。

普段は見られない貴重な獣舎も見学させてもらいました!

 今回は取材のため、一般には公開されていない貴重な獣舎の中にもお邪魔させていただきました。
 オカピは、展示場にいる時以外は裏の獣舎で過ごしています。獣舎は6つに分かれており、単独で行動するオカピ達がのびのびと過ごせるスペースになっているだけでなく、オカピが壁などに接触した際の体へのダメージを少なくするため、獣舎の壁を木製にするなどの工夫がされています。

獣舎の中にいるオカピ

冷蔵庫で新鮮な木の葉を保管

 オカピは1日に4種類の枝と干し草、草食動物用のフードを食べています。反芻動物(はんすうどうぶつ)であるオカピが自由にえさを食べることができるよう、常に干し草などが吊るされています。
 野生では100種類以上の葉を食べるオカピですが、野生にあるものと類似した葉や、オカピが好んで食べる枝などを選んで与えているそうです。
 獣舎には葉を新鮮に保管するための木の葉専用の冷蔵庫もありました。

オカピを守る活動

なぜ絶滅危惧種になってしまったのか

 オカピの数が減ってしまった原因は、美しい毛皮を狙った密猟、レアメタルの採取や木材を手に入れるための森林伐採などと言われています。貧困が課題となっているコンゴ民主共和国においては、高価なレアメタルや動物の貴重な毛皮はより価値を持ちます。
 「森を守ることは、オカピに限らずそこに住む他の動物や自然を守ることにもつながりますが、その国の貧困問題を解決しなければ、根本的な解決は難しいです。」と担当者さんは言います。

数を増やすため繁殖活動を実施

 ズーラシアでは繁殖活動にも力を入れており、日本で初めてオカピの繁殖を成功させただけでなく、これまでに4頭がズーラシアで生まれています。
 しかし、日本にいる頭数が限られていることから、相性が悪いと繁殖が難しいことも。
 今年の2月には1頭が念願の出産をしましたが、残念ながら死産となりました。繁殖センターと連携し、オカピの糞からホルモン値を調べるなどの取り組みを行いながら、引き続き繁殖に向けた活動をしていくとのことです。
 いつか、貴重なオカピの赤ちゃんを見たいですね。

獣舎で休むオスのオカピ

環境について考えできることからはじめよう

 私たちの暮らしの中で、森林伐採につながっているものはたくさんあります。日本はまさに樹木を多く輸入しており、建築物や紙など、あらゆることに伐採された樹木が利用されています。
 「オカピの住む森、食糧となる木々を守るために、例えば、紙を無駄遣いしない、再生紙を使うなど、何かできることがないかぜひ考えていただき、小さなことでも実践してもらいたいと思います。また、感じたことや実践したことを周りの人と共有してもらうことで、環境にやさしい取り組みが広がっていきます。」と担当者さんは言います。

 動物や自然と人とが共生し、遠い未来にも持続した社会であり続けるためにも、私たちは日々の暮らしの中の少しの事から、環境にやさしい取り組みを実践していくことが大切です。

オカピに会いにズーラシアに行ってみよう!

 ズーラシアは、面積約45ヘクタールの国内最大級の動物園として、平成11年(1999年)に開園。平成27年(2015年)にはエリアを拡大し全面開園となりました。3月末時点で、約100種類、530頭の動物達に出会うことができます。
 「生命の共生・自然との調和」をメインテーマに掲げ、動物たちの暮らすありのままの姿を見ることができるよう、「オセアニアの草原」「アジアの熱帯林」「アマゾンの密林」「アフリカの熱帯雨林」などの様々なエリアに分かれて動物達が暮らしています。
 今回取材したオカピの展示場は、「噴水口」から徒歩20分程度歩いた「アフリカの熱帯雨林」にあります。また、毎日、飼育担当者さんによる動物の解説「飼育員のとっておきタイム」が行われており、今回記事に掲載した内容のほかにも、たくさんのオカピの魅力・特徴などを聞くことができます。
 詳細はズーラシアの公式サイト(外部サイト)をご覧ください。


ズーラシアの園内マップ

 また、広報よこはま9月号の紙面で紹介した「秋の里山ガーデンフェスタ(9月16日~10月15日)」では、スタンプラリーに参加していただいた方に、ズーラシア、フォレストアドベンチャー・よこはま、トレイルアドベンチャー・よこはまの割引サービスを実施しています。詳しくは里山ガーデンフェスタの公式サイト(外部サイト)をご覧ください。

 ぜひ周辺施設を訪れて、自然や動物・環境について学んでみましょう。

このページへのお問合せ

よこはま動物園ズーラシア

電話:045-959-1000

電話:045-959-1000

ファクス:045-951-0777

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