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板橋興宗さん死去 元曹洞宗管長、「猫寺」住職 93 歳

2020年7月9日 05時00分 (7月9日 09時41分更新)
猫寺として知られる「御誕生寺」の住職を務めネコを愛した板橋さん=2012年6月26日、越前市の御誕生寺で

猫寺として知られる「御誕生寺」の住職を務めネコを愛した板橋さん=2012年6月26日、越前市の御誕生寺で


 曹洞宗の管長や大本山総持寺の貫首を務めた板橋興宗(いたばし・こうしゅう)さんが五日、老衰のため死去した。九十三歳。宮城県多賀城市出身。自坊は越前市庄田町三二の一の一、御誕生寺(ごたんじょうじ)。荼毘(たび)式は九日、自坊で関係者のみで行う。後日、横浜市鶴見区の大本山総持寺で本葬が営まれる。
 金沢市の大乗寺住職、石川県輪島市の総持寺祖院住職などを歴任後、大本山総持寺貫首と曹洞宗管長に就任。後に「猫寺」として知られる越前市の御誕生寺を再興した。
 

住民もネコも慕ったお坊さま

 「猫寺」として知られる越前市の御誕生寺で住職を務めた板橋興宗さん。再興時の二〇〇二年、境内に捨てられていた四匹のネコを保護したことをきっかけに、次々とネコが寄せられるようになった。
 「ネコも大切な命」と面倒を見続けた板橋さんの人柄に引かれた地元住民らが、支援組織「瑩山(けいざん)会」をつくって寺の行事などを手伝ったり、ネコ好きの住民らが「ネコ部」を発足させて多数のネコの世話に当たったりした。地域住民の一人は「住職とは思えないくらいフランクでちゃめっ気があるお坊さまでした」と人柄をしのぶ。
 宗門最高位の管長も務めたが、退任後は大本山総持寺の開祖・瑩山禅師が生まれたとされる地で一禅僧として生きた。かわいがっているネコたちは法話にも登場させていたという。別の住民は「座禅の究極の目的は無心。ネコは言葉を持たず、いつも無心です」との言葉を思い出すと話し、地域住民やネコたちに慕われた住職の死を悼んだ。

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