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第444回 事業構想大学院大学長 田中 里沙さん 「コミュニケーション力を生かす」

2020年7月8日 10時36分 (7月8日 18時28分更新)
 第四百四十四回中日懇話会が七月七日、浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松であった。事業構想大学院大の学長で、広告やマーケティングに詳しい田中里沙さんが「コミュニケーション力を生かす」と題して講演した。
 世の中、誤解や風評、事実ではないことも広がる。あの会社こうらしいよ、と聞いていたのに実際は違ったとか。そもそも人と人とは分かり合えないもの。だからこそ、努力や工夫をする必要がある。
 広告、宣伝の目的は理解や共感を得ること。どんなに素晴らしい商品を出しても、どこで選ばれるかというと、究極的には好きか、嫌いか。それが世の常であることを心得ておきたい。
 外への宣伝だけではなく、社内へのメッセージも大事。ただ「売り上げを上げよう」と言うだけでは社員は動かない。意義を伝え、評価を明確にすることが、企業の活力の源泉になる。
 事業を構想する際には、まずは理想の姿を提示する。理想を時間軸の中で設定すれば、一年後にどうなっていないといけないかが見える。そのためのアイデアをどんどん考えていくという手法がいい。早い段階から、いろいろな人に仲間に入ってもらい、対話を重ねることで応援を得られる。コミュニケーションで、実現を目指していく。
 コロナ禍で先行きが不透明な時代だが、理想を掲げないとだめ。これから一体どうなるのか、何がはやるのか。誰かが提示すれば、そこに向けて動きだす。様子を見てじっとしていたら、動かない。制約や条件があった方が、想像力が発揮されることもある。
 コミュニケーションは成長のためのエンジン。その極意は対象者を深く知り、相手の視点で考えることだ。そして常に「伝わっているか」を検証してほしい。

 たなか・りさ 1966年生まれ、三重県出身。学習院大文学部卒業後、広告会社を経て宣伝会議入社。広告・マーケティング専門誌「宣伝会議」の編集長などを務める。東京や名古屋などにキャンパスがある事業構想大学院大の教授に2012年に就任し、16年から学長。


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