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吉永小百合「100歳でもときめく心を持つことが大事」 出演映画123本目にして初の〝おばあちゃん〟役【本紙インタビュー①】

2023年8月23日 04時00分

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主演映画「こんにちは、母さん」について語った吉永小百合

主演映画「こんにちは、母さん」について語った吉永小百合

  • 主演映画「こんにちは、母さん」について語った吉永小百合
  • 本紙の取材に応じた吉永小百合
  • 大泉洋㊧と永野芽郁㊨と共演した吉永
 女優吉永小百合(78)主演の映画「こんにちは、母さん」(山田洋次監督)が9月1日に公開される。出演映画123作目にして〝おばあちゃん〟役に初挑戦。演じた主人公は高齢ながら艶やかなファッションに身を包み、恋愛もするイキイキとした女性。このほど本紙のインタビューに応じ「高齢者であっても恋をして、100歳になってもときめく心を持っていることが大事」と笑顔で語った。(近藤正規)
 今作は、山田監督とタッグを組んで主人公の母を演じた「母べえ」(2008年)、「母と暮せば」(15年)に続く「母」3部作の集大成の作品。演じた主人公・福江について「未来志向で恋もするし、とても前向きな役。今までの母さんシリーズは耐えることが多い役だったが、今回はチャーミングな女性」と紹介。
 役作りのため、撮影前に山田監督らと下町に足を運んだ。太平洋戦争時の東京大空襲により下町は多くの家屋が焼けてしまったが、福江の店のモデルになった足袋店は残っていた。足袋店では実際に足袋をオーダーしてみた。劇中で福江が足袋のミシンを使うシーンがあり「工業用のミシンで扱いが難しいので(足袋店の)おかみさんがしょっちゅう撮影所に来て教えてくださった」と感謝。ミシンを動かしながらセリフを言わなければいけないが、おかみさんからは「ミシンを使っている時にしゃべるのは危険」と説明され、「監督にそう申し上げたが『でも、しゃべってください』と言われた」と笑う。
 近年、調査会社やマスコミが発表する「母親役が似合う女優」「母にしたい有名人」などのランキングでは1位に選ばれることが多く、母親のイメージが定着。しかし、福江は大泉洋(50)が演じた昭夫の母親だが、永野芽郁(23)が演じた昭夫の娘・舞の祖母でもある。初の〝おばあちゃん〟役に抵抗はなかったのか。シナリオができる前に山田監督から「おばあさんの役はどうですか?」と聞かれ、中学生くらいの孫だと思い「すんなり『大丈夫です』と答えた」が舞は大学生の設定。「永野芽郁ちゃんは私より背が高いので、ちょっとドギマギした」と予想より大きな孫に戸惑った様子。それでも「年を重ねると、いろいろな役をやらなければ成長できない」と前向きにとらえた。
 福江は牧師・荻生直文(寺尾聰)に恋をするが、失恋してしまう。親交のあった作家の宇野千代さんや瀬戸内寂聴さんからは「恋をしなさい。女性もいくつになっても恋をすることは大事ですよ」と聞かされていた。「私は男性から声をかけられないとダメ。自分からは積極的になれないんです」と言うと、宇野さんには「あなたはケチですね」と言われたという。多くの恋愛遍歴が伝えられた宇野さんだけに「私たち俳優として仕事をしている者は積極性が必要という意味だと思う」と解釈。「相手は憧れの歌手でも俳優でもいい。いくつになっても、ときめく心を持っているということは高齢化社会ではとても大事なことでは」
 映画やドラマが配信でも見られる時代になったが、銀幕で輝き続けるスター女優らしく、映画館で観賞してほしいと訴える。「そのためには映画館で見るといいんだよという作品を私たちが作らないと」と強調し、最後に「映画館に来て、私の母ぶりとおばあちゃんぶりを見ていただきたい」とにこやかにPRした。
 ◆吉永小百合(よしなが・さゆり) 1945年3月13日生まれ、東京都出身。57年、ラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビュー。59年「朝を呼ぶ口笛」で映画初出演。「キューポラのある街」(62年)でブルーリボン賞主演女優賞を史上最年少の17歳で受賞。「天国の駅」「おはん」(いずれも84年)などで日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を最多の4度受賞。62年、橋幸夫とのデュエット曲「いつでも夢を」で日本レコード大賞受賞。2006年、紫綬褒章受章。10年、文化功労者に選出。原爆詩の朗読活動も行う。
 ◆「こんにちは、母さん」 巨匠・山田洋次監督の90作目の映画。原作は劇作家・永井愛さんの同名の人気戯曲。東京・下町に暮らし、夫に先立たれ1人で足袋店を営む主人公・神崎福江(吉永)や、大会社の人事部長の息子・昭夫(大泉洋)、昭夫の娘で大学生の舞(永野芽郁)らを中心に等身大の家族を描いた。

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