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麻倉未稀「私のヒーローは聴いてくださる皆さん」 誕生日の27日、デビュー40周年記念アルバム「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語」リリース

2022年7月17日 07時00分

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デビュー40周年記念アルバムをリリースする麻倉未稀

デビュー40周年記念アルバムをリリースする麻倉未稀

  • デビュー40周年記念アルバムをリリースする麻倉未稀
  • レコーディングに臨んだ麻倉未稀
  • 「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語」ジャケット
 「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」(1984年)などのヒット曲で知られる歌手の麻倉未稀(61)が、自身の誕生日である27日にデビュー40周年記念アルバム「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語」(キングレコード)をリリースする。2017年に乳がんが発覚してから初めてのアルバム。いまだ治療を続けているものの、パワフルな歌声は健在。次の50周年に向け、さらなる「ヒーロー物語」を紡いでいく。(近藤正規)
 麻倉は、TBS系ドラマ「スチュワーデス物語」の主題歌「WHAT A FEELING~フラッシュダンス」(83年)、高校ラグビー部を舞台にした同局系ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」、同局系ドラマ「乳姉妹」の主題歌「RUNAWAY」(85年)など大ヒット曲を連発。当時を「今、昭和の曲が好きな若い人が多いのは、あの時代はディレクターと作詞家が丁々発止しながら作っていた。すごく楽しい時代だった」とエネルギッシュな時代を振り返る。とりわけ「ヒーロー」は現在に至るまでラグビーの応援歌のように取り上げられる。麻倉が、ドラマで主演を務めた山下真司(70)とラグビーイベントに出演することもあった。代表曲である「ヒーロー」は「これからも歌えるまで歌っていく」。
 アルバムは2016年の誕生日にリリースした「Voice of Power-35th Anniversary Album-」以来。今回のアルバムは、自身の原点ともいえるドラマの主題歌を中心としたカバー曲集。「人生はどの人にも一日の中にもドラマがある。皆さんの中にそれぞれドラマがあると伝えることができれば」と語る。「ヒーロー」は当時の音源のほか、一発撮りの「40th FIRST TAKE version」も収めた。収録の予定はなかったが、ディレクターに「『ヒーロー』を生で聴きたい」と言われ披露したところ「もう録っていた」と笑う。
 さらに「主題歌というくくりだが、1曲だけ自分がこれから歌っていきたいなという歌を入れた」と言い、親交のある庄野真代(67)、石井明美(56)、沢田知可子(58)をゲストボーカルに迎え、新曲「The breath of life」も追加。直訳すると「生命力」「欠かせないもの」という意味だが、「人生には坂があるが、坂道では逆にちょっと座って少し考えたりいろんなことができる。あせって前に進むよりは、休憩しながらゆっくりと歩む方法もあるのでは。そのとき独りで座っていたとしても誰かがきっとそばにいてくれるとか。何も話さなくてもそばにいてくれるだけで、ほっとする。そういう感じのものを歌いたいなと思った」と曲に込めた思いを明かした。
 アルバムリリースの前日には記念ライブがスタート。東京、大阪、横浜の3都市で「Birthday&復活5周年」と題し、ファンに歌声を届ける。
 16年にデビューから35周年を迎え順風満帆だったが、17年乳がん発覚の悪夢が待ち受けていた。同年4月、TBS系「名医のTHE太鼓判!」のオファーで健康診断を受けたところ、左乳房にステージ2の乳がんが見つかった。「乳がんはゆっくり進むので、もう少したっていると、もしかしたらリンパ節まで転移していたかもしれない」と述懐。6月22日に左乳房全摘と同時再建手術を受けた。同月末に退院すると、約3週間後には驚異的な回復力でステージ復帰した。
 しかし、現在も「半年に1回の通院や3カ月に1回は処方せんを頂く」という。再発を抑えるためのホルモン治療は「10年というスタンスになる」。手術から5年が経過したが「あと5年くらいは治療をしなければいけない。副作用があるので、どういうふうに向き合っていくのか」と、いまだがんとの闘いは終わっていない。
 手術を受けた6月22日を自身の「セカンドバースデー」と言う。同日は歌舞伎俳優市川海老蔵(44)の妻でフリーアナウンサー小林麻央さんが乳がんの闘病の末、息を引き取った日でもある。「生と死をどうやって神様は分けるのか。生かされている私は一生懸命、一日一日を大切に生きなければ」と深く考えることになった。「がんは手術が終わってからのQOL(Quality of life=生活の質)が一番大切。どういうふうに過ごすのか。独りで考えても駄目な時は同じサバイバーの人と話をしてヒントを頂く。歌だけでなく、違う世界でも人生のヒントを頂いている」
 がんになって悲観することばかりではないとも言う。「キャンサーギフト(がんになって気づいたり得たこと)と皆さんは言う。歌を歌っていると発想の転換をしなければいけない時があるので、そのクセはついている。ここで生かせばいいんだと気づいた」。意外なことに「実は手術のおかげで歌いやすくなった」と告白。「歌うと手術箇所が痛い。痛みなく歌うにはどうしたらいいかと考え、呼吸の入れる場所を今までと違った所に入れれば痛くないと発見した。背中側に呼吸を入れると前の方に痛みが来ないと分かったんです」
 「歌ってすごいな。そういう発見ができたのはがんのおかげかな。なってしまったのは仕方がないので、ちょっと明るいことを見つけていくことを心掛けている」とあくまでも前向きだ。取材時でも、驚くほど笑い声を絶やさない麻倉。「『そんなに笑っているけど、どうしたらいい?』とよく聞かれる。私の場合は性格もあるから(笑)。もし笑えないと思ったら、ちょっと口角を上げるだけでも気分が変わる」とアドバイス。
 デビュー40年を振り返り「短いようで長く歌ってきたんだなあ。こんなに歌ってくるつもりでもなかった。とっくの昔にやめてたんじゃないかと思っていた。40年歌えているのは自信を持っていいこと」。次は50周年に向けてと水を向けると「そこまで生きているか分からないけど、生きられるように頑張ります。ハハハ」とジョークを交えつつ豪快に笑った。
 最後に、麻倉にとって〝ヒーロー〟とは?と問うと「私にとってのヒーローはやっぱり聴いてくださる皆さん。聴いてくださるからヒーローがある」と歌唱同様、力強く答えた。
 ◆麻倉未稀(あさくら・みき) 1960年7月27日生まれ、大阪府出身。81年、CMソング「ミスティ・トワイライト」でデビュー。ポップスにとどまらずジャズ、ゴスペル、ラテン、クラシックなど幅広く歌いこなす。ミュージカルなどの舞台や旅番組のリポーターなどとしても活躍。がんと向き合った経験を生かそうと、2018年に元プリンセスプリンセスのドラマー富田京子とともに「ピンクリボンふじさわ」を立ち上げる。地元・神奈川県藤沢市を中心に、乳がん検診の受診率向上や患者のサポートなど活発に活動。
◆「人生はドラマ」収録曲◆
①WHAT A FEELING~フラッシュダンス 「スチュワーデス物語」
②ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO 「スクール☆ウォーズ」
③RUNAWAY 「乳姉妹」
④NEVER 「不良少女とよばれて」
⑤愛は眠らない 「花嫁衣装は誰が着る」
⑥CHA-CHA-CHA 「男女7人夏物語」
⑦SHOW ME 「男女7人秋物語」
⑧恋におちて-Fall in love- 「金曜日の妻たちへⅢ-恋におちて-」
⑨ダンシング・ヒーロー 「マドンナ先生はロックンローラー!」
⑩PRIDE 「ドク」
⑪リバーサイドホテル 「ニューヨーク恋物語」
⑫駅 「グッドバイ・ママ」
【40周年スペシャル・トラック】
⑬ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO(40th FIRST TAKE version)
⑭The breath of life
*曲名と「」内は主題歌となったドラマのタイトル。
 ①~③は当時のオリジナル録音、それ以外はすべて新録音
◆「デビュー40周年記念LIVE」日程◆
7月26日 COTTON CLUB(東京)
8月 1日 ビルボードライブ大阪
  21日 ビルボードライブ横浜
*スペシャルゲスト:庄野真代、石井明美(大阪除く)、沢田知可子

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