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【大相撲】「早く関取になりたい」5場所連続勝ち越しの鈴木「メンタル的にも強くなったのかな」

2022年5月25日 06時00分

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大相撲夏場所千秋楽、塚原(左)を攻める鈴木

大相撲夏場所千秋楽、塚原(左)を攻める鈴木

 2連敗スタートの逆境を見事にはね返した。大相撲夏場所で西幕下19枚目の鈴木(21)=藤島=が、4勝3敗で5場所連続の勝ち越しを決めた。序ノ口から9場所連続で勝ち越し、一時は西幕下11枚目まで駆け上がった。その後は苦しんだが、再び軌道に乗った。「早く関取になりたい」と言葉には力がこもる。
   ◇   ◇
 6番相撲は土俵際での下手投げで逆転勝ち。突き押し相撲の鈴木がめったに見られない形で白星を手にした。これで勝ち越しを決め「一時期、三段目でも負け越していた。(幕下で)19枚目は上の方。そこで勝ち越せた。メンタル的にも強くなったのかな」と興奮を隠せなかった。
 2連敗スタートは過去4度経験があったが、いずれも2勝5敗か1勝6敗と大きく負け越していた。師匠の藤島親方(元大関武双山)からの「自分の相撲が取れてないから負けるんだ」というカミナリが効いた。「師匠から言われて何か気持ちが落ち着きました」と振り返る。
 中学時代から素質を高く評価してくれた。静岡・飛龍高に何度も足を運び、熱心に誘ってくれた。「押し相撲だったし、自分に合っていると思った」。今でも藤島親方の現役時代の映像を見ることがある。「師匠は生活からストイック。人格者で人として立派です」と、尊敬してやまない人の言葉は特別だった。3番相撲から4連勝。恩師の喝に応えた。
 先を越された後輩の活躍が発奮材料にもなっている。高校の2学年下の熱海富士。大器は十両2場所目の夏場所に10勝を挙げた。2人は小学校時代から顔見知り。鈴木が静岡県富士市、熱海富士が同三島市の相撲クラブに所属し、何度も合同稽古を行っていた。ともに相撲と平行して柔道に取り組んでいたという共通点もあった。
 当時の力関係に関しては「高校までは自分の方が強かったです」と先輩として意地と力を示していた。ただ、今は立場が逆転している。「朔太郎(熱海富士)はその後、一気に強くなったので。早く追いつき、追い越したいです」。今は背中を追う身。稽古で鍛え、強くなるしかない。
 自己最高位の西幕下11枚目で臨んだ2020年九州場所ははね返された。その後は三段目まで転落したが、メンタル的に自身を追い込みすぎていたという。今はいい意味で肩の力が抜けるようになった。「立ち合い、そして、攻めの速さを磨きたい。来場所に向けて体も大きくしたいです」。名古屋場所はさらに番付が上がるはず。関取の座は確実に近づいている。
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 ▼鈴木優斗(すずき・ゆうと) 2000年7月26日生まれ、静岡県富士市出身の21歳。182センチ、139・3キロ。小学生の時に富士市のわんぱく相撲クラブで相撲を始める。静岡・飛龍高では3年生のときにインターハイ個人、団体ともに3位などの成績を残して藤島部屋に入門。19年初場所初土俵。最高位は20年九州場所の西幕下11枚目。

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