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憧れの横綱白鵬に誘われ大相撲の道へ…「とにかく基本を丁寧に…そこは自分も大事に」期待の19歳が突き進む出世街道

2022年3月30日 06時00分

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春場所4日目の16日、北勝就(右)を押し出す向中野

春場所4日目の16日、北勝就(右)を押し出す向中野

 期待の星が初の幕下の土俵でも結果を出した。大相撲春場所で東幕下53枚目の向中野(19)=宮城野=が5勝2敗と勝ち越した。昨年夏場所の初土俵から4場所連続勝ち越し(新型コロナウイルスの感染者が出たため部屋全員が休場となった秋場所を除く)。元横綱白鵬(現間垣親方)に憧れ入門した男は、さらに上の番付を見据える。
       ◇    ◇
 潜在能力の高さを示すには十分だった。向中野は恵まれた体格を生かした前に出る相撲で白星を重ねた。それでも「5番勝てましたけど、内容はあまり良くなかったです」。目標だった優勝を果たせず、反省の弁が口をついた。
 本人はあまり言いたがらないが、場所前に左足の親指をねんざした。思うように力が入らず、踏ん張りがきかない。手負いの状態だったが、初場所に全勝で三段目優勝したことで得た「その辺の力士には負けない」という自信と、底力で難局を乗り切った。
 偉大な横綱白鵬に憧れ、宮城野部屋の門をたたいた。相撲を始めたときから、「技がうまくて、力強い」とテレビ画面越しに羨望(せんぼう)のまなざしで見詰めていた。自身も小学時代と中学時代に白鵬杯で優勝。そのとき近くで目の当たりにして、思いはさらに募った。だから入門に迷いはなかった。
 「一番強い横綱がいる。そこから誘いを受けたので決めました。横綱からも(鳥取城北高の)監督を通して、『一緒にやろう』と言っていただいたと聞きました」
 部屋では横綱の稽古を間近で見て、学ぶことばかりだった。「とにかく基本を丁寧にやっていました。そこは自分も大事にしていきたいです」。引退して間垣親方になってからも助言をもらっている。「脇が甘いので、体幹を鍛えたら、脇が開かなくなると。しっかり鍛えたいです」と言う。
 順調に番付を上げてきたが、昨年の秋場所は全休。向中野も新型コロナウイルスに感染し、不安な日々を過ごした。のどに痛みがあり、稽古をまともに再開できたのは場所の1週間前。このときも底力を発揮した。
 同学年には大器と評判の熱海富士(伊勢ケ浜)がいる。「自分の代では一番早く関取になった。早く追いつき、早く追い越したい」。ちなみに中学、高校時代と2度対戦経験があり、2度とも向中野が勝っている。能力は引けを取らない。
 5月場所はまた番付を上げ、幕下中位くらいまでくるのは確実。「課題をいろいろ克服して、相手も強くなるのでしっかり対策を取って、また勝てるようにしたい」。ひとつの目標である関取の座は近づきつつある。
▼向中野真豪(むかいなかの・しんご) 2002年9月7日生まれ、三重県伊勢市出身の19歳。180センチ、173キロ。小学3年生の時に志友館相撲道場で相撲を始める。名門・鳥取城北高をへて宮城野部屋に入門。2021年5月場所初土俵。今年初場所では三段目で全勝優勝を果たした。最高位は今年春場所の東幕下53枚目。
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