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涙超え 夢の女流棋士 金沢・田中沙紀さん 県出身4人目

2021年9月29日 05時00分 (9月29日 10時15分更新)
プロの女流棋士になり、活躍を誓う田中沙紀さん=金沢市泉野町のカルチャースクール石心で

プロの女流棋士になり、活躍を誓う田中沙紀さん=金沢市泉野町のカルチャースクール石心で

18年 寸前で逃し 諦めず奮起 研究重ねる

 金沢市の田中沙紀さん(26)=平和町=が女流棋士二級の資格を取得し、九月から日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属のプロ棋士となった。県出身のプロ女流棋士としては四人目。田中さんは「精いっぱい自分の将棋を指して頑張りたい」と闘志を燃やしている。 (西浦梓司)
 小学四年の頃、叔父にすすめられて将棋を始めた。当時、金沢市にあったアマチュア棋士強豪の鈴木英春さんの教室に通い、鈴木さんが考案した独創的戦術「英春流」を習得。中学・高校では毎年全国大会に出場するほどの腕前に成長した。
 鈴木さんから「プロになって、地元で将棋の普及に貢献してほしい」と言われ、本格的にプロ入りを目指すことを決意。短大二年生の時に関西研修会に入会し、毎月二回電車で大阪市に通って腕を磨いた。
 二〇一八年には、プロの仮資格となる女流三級となったが、あと一歩のところで昇級条件を満たせず取り消しに。夢をつかむ寸前だっただけにショックも大きく、「もう将棋はしない」と諦めかけた。だが、先輩の女流棋士や周囲の人からの励ましで再奮起。年齢制限目前の昨年十一月に東海研修会に入会した。
 プロとなる二級の資格を得たのは、八月八日にあった公式戦。対戦相手とはそれまで何度も手合わせしており、「落ち着いて臨めた」と振り返る。互いに飛車を右翼で使う相居飛車(あいいびしゃ)となり、安定した指し回しで勝利した。
 得意とする戦法は、銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻める棒銀などの上からの攻撃に強いとされる「菊水矢倉(きくすいやぐら)」。序盤から攻める「急戦」で、勝負を一気に決める。
 夢はタイトル獲得だが、まずは三年以内に女流初段を取るのが目標。田中さんは「将棋を通じて相手と対話できるのが、面白いところ。プロの世界は活躍し続けなくてはいけない厳しい世界なので、強くなるしかない」と力を込めた。
 県出身のプロ女流棋士には、七尾市出身の甲斐智美女流五段や珠洲市出身の井道(いどう)千尋女流二段らがいる。
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