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トトロは「宝物のような作品」 サツキ役・日高のり子さんが記憶に刻んだ名場面

2021年9月24日 05時00分 (9月27日 17時07分更新)
 スタジオジブリの代表作で、1988年に公開したアニメーション映画「となりのトトロ」。東京郊外に引っ越してきた姉妹が不思議な生き物「トトロ」らと出会い、交流するファンタジーで、今も世代を超えて愛されている。主人公の一人「サツキ」の声優を務めた日高のり子さん(59)に、当時の思い出やジブリパーク開園への思いを聞いた。

日高さんのお気に入り サツキとメイがトトロにつかまって飛ぶ場面  (c)1988 Studio Ghibli

 サツキは入院中の母親に代わり、家事や4歳の妹メイの世話に取り組む、しっかり者の小学6年生という設定。印象的なのは物語中盤で姉妹がトトロにつかまって空を飛ぶ場面という。「サツキが『私たち風になってる』って叫ぶんです。いつもはお母さん代わりのサツキがものすごく子どもらしくて。大好きなシーンです」とほほ笑んだ。
 自身にも弟が2人いる。「アフレコをした当時、私は26歳で独身。子どもの役が初めてだったので、幼い頃に弟たちと交わした会話や一緒に過ごした風景を思い出し、その思いをサツキに投影しながら演じた部分があります」

日高さんが声を担当したサツキ(左)と妹のメイ (c)1988 Studio Ghibli

 初対面の共演者と家族を演じる難しさや、説明的なせりふを省いて実写のように見せる演出手法に戸惑い、プレッシャーを感じることもあった。「通常のアニメ作品では、絵だけでは描き足りない部分を声優の声で補ってリアルに感じさせるのですが、となりのトトロは、絵だけで子どもたちが本当に生き生きとナチュラルに動いていたので、身が引き締まる思いでした」と振り返った。
 2005年の愛・地球博(愛知万博)のパビリオンの一つで、ジブリパーク開園後は「どんどこ森」エリアの中核施設となる「サツキとメイの家」を訪ねたこともある。「近くにいた親子連れが、サツキやメイのせりふを言っていて。すごくうれしい光景で感動したんです。本当にみんなが知ってくれてるって」
 「となりのトトロ」は、自身にとって「宝物のような作品」。それゆえ、散策しながら、ジブリの世界観を体験できるパークの開園を心待ちにしている。「(開園によって)トトロの世界を、ジブリという大きな枠に広げて表現するような感じがする。それぞれの作品ごとに美しい風景があるので、ジブリならではの公園になるのでは」と期待を込めた。
 (花井康子)

日高のり子さん

 ひだか・のりこ 1962年、東京都出身。児童劇団を経て80年、アイドルとしてデビュー。85年、フジテレビ系列で放送が始まったテレビアニメ「タッチ」ではヒロイン浅倉南役の声優に。NHK・Eテレ「新・ざわざわ森のがんこちゃん」など出演多数。2017年からは愛知県の魅力をPRする「LOVEあいちサポーターズ あいち緑と仲良し大使」を務める。

名フィル「こども名曲コンサート」でテーマ曲演奏 日高さんも出演

 「となりのトトロ」は主題歌が子どもたちに親しまれるなど、音楽の面でも人気を集めている。
 26日に、名古屋フィルハーモニー交響楽団が名古屋・金山の日本特殊陶業市民会館で開催する「こども名曲コンサート」でもテーマ曲などが演奏される。日高さんも登場し、司会とナレーションを務める。「ただ曲を演奏するだけじゃなくて、チューバ奏者が『トトロ』と言っているように聴かせてみたり、物語の一部をナレーションで伝えたりするので親子で楽しめる」と日高さん。「サツキのせりふも入るので、耳でジブリの世界を感じてもらえたら」
 午後2時開演。3000、2000円。25歳以下は全席一律1000円。未就学児の入場不可。(問)名フィル・チケットガイド=電052(339)5666

この記事は中日新聞の特集紙面<月刊ジブリパーク>に掲載されました

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