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「仏涅槃図」など4点 北陸初公開 七尾美術館 長谷川等伯展 

2021年5月1日 05時00分 (5月1日 10時27分更新)
2019年に長谷川信春(等伯)筆と確認された京都・知恩院蔵の「仏涅槃図」(縦228・3センチ、横151センチ、1573年)

2019年に長谷川信春(等伯)筆と確認された京都・知恩院蔵の「仏涅槃図」(縦228・3センチ、横151センチ、1573年)

  • 2019年に長谷川信春(等伯)筆と確認された京都・知恩院蔵の「仏涅槃図」(縦228・3センチ、横151センチ、1573年)
  • 長谷川等伯筆「松鶴図襖」8面のうちの4面(それぞれ縦182・5センチ、横143センチ、1602年)

 動物の描き方もテーマ


 石川県七尾美術館で恒例の「長谷川等伯展」が始まった。二〇一九年に七尾出身で室町から桃山時代に活躍した絵師長谷川等伯(一五三九〜一六一〇年)の信春時代の作品と確認された京都・知恩院蔵の「仏涅槃図(ぶつねはんず)」(一五七三年)など、北陸で初公開の四点を含む二十二点を展示する。等伯や、その流れをくむ長谷川派絵師が動物をどう描いたかもテーマにしている。
 知恩院の「仏涅槃図」は毎年二月に催される涅槃会(ねはんえ)以外で公開されるのは今回が初めて。京都に出て間もなくの三十五歳ごろの作とみられている。今回の展示では、能登地方には数多く残る涅槃図の基礎になった無分(むぶん)筆と等伯上洛(じょうらく)前の三十歳筆の涅槃図の三枚を並べて展示し、その類似性や違いを見ることができる。
 京都・南禅寺の天授庵蔵の重要文化財「松鶴図襖(しょうかくずふすま)」(一六〇二年)も今回が北陸で初公開。八面のうち四面の展示で、優しく穏やかな鶴の様子が見て取れる。孤独なフクロウとそれをからかうように飛ぶカラスを描いた「烏梟図屛風」(一六〇七年、大阪市立美術館)と比較すると、最晩年を迎えた等伯の心境を垣間見ることができるかもしれない。
 長谷川派の作品では、長谷川等哲による「千鳥図屛風」(江戸時代前期)はその迫力に圧倒される作品。金箔(きんぱく)や銀泥をふんだんに用いて、宇治川と橋、その上を舞う千鳥を描いている。JR西日本が関連施設でだけ公開してきたが、今回、六曲一双がそろって見られる機会となる。
 七尾美術館は一九九六年から毎年、等伯展を開催。昨年は開館二十五周年記念展を予定したが、新型コロナの感染拡大で秋に会期を移して所蔵品中心の展示でなんとかシリーズを継続した。今回は二十六回目となる。会期は五月二十三日まで。 (松岡等)

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