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心の回復力「レジリエンス」で苦境脱出

2020年3月28日 02時00分 (5月27日 04時41分更新)

◆静大教育学部の小林教授が有用性紹介

レジりん通信について説明する小林朋子教授=静岡市駿河区大谷の静岡大学で

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、静岡大学教育学部の小林朋子教授が、心の回復力「レジリエンス」の有用性を紹介し、その機能を高めるすべを伝える「レジりん通信」を作成し、研究室のホームページ(HP)で公開している。
 レジリエンスは、困難な出来事に遭遇し、「なんでこんな目に遭うんだ」「前向きになれない」と強いストレスを感じた状態から、徐々に心が回復する力のこと。長年、災害現場で心のケアに携わる小林教授は、二〇一三年からレジリエンスを研究する。「特別なものではなく誰でも持っている力。それを引き出してあげる環境を整えることが大事」と話す。
 通信の作成は、小中学校の休校が決定後、県内の教員から子どもたちが困惑し、不安を覚えているという声を聞いたことが契機だった。「卒業を控えていたり、受験直前だったりする子もいる。何かできないかと思った」と振り返る。
 通信は「レジりん」というキャラクターが語りかける形で、レジリエンスについて図解も交えて説明する小中学生用と、高校生以上用の二種類ある。不安を感じたら家族や友人などに話してみることや、規則正しい生活を送ることなど気をつける七つの項目を挙げている。狙いについて小林教授は「納得できない状況で不安や怒り、悔しさが湧き上がったときはその感情にとらわれず、視点を転換することが有効」と話した。
 通信の内容は、学校が長期休暇中の子どもたち向けだが、感染拡大や学校再開の状況に応じ、別バージョンの公開も検討する。
 小林教授は「新型コロナウイルスに感染した場合、レジリエンスの力は子どもだけでなく、大人にも通用する。参考にして心の予防に役立ててほしい」という。ダウンロードは「小林朋子研究室」「レジりん通信」で検索。
(細谷真里)

◆レジリエンスを働かせる生活習慣のポイント

 (1)家族や友達とのつながりを大事にする。
 (2)規則正しい生活を心がける。
 (3)ゲームやスマートフォンを使う時間を決めて、それを守る。
 (4)リラックスできることをやる。
 (5)次に学校に行ったとき、どんなことがしたいか考えてみる。
 (6)学校に行けなくなった代わりに、いつもと違ったことにチャレンジする。
 (7)家族や他の人を手伝ったり助けてみる。

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