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中日、遅すぎた方程式「大福マル」の確立…開幕時守護神・岡田の不振で背負った借金が最後まで響く【ドラゴンズ総括】

2020年12月18日 06時00分

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「大福マル」の愛称で救援神話を築いた(左から)中日の祖父江、福、R・マルティネス

「大福マル」の愛称で救援神話を築いた(左から)中日の祖父江、福、R・マルティネス

 シーズン後半、中日の試合で大きくクローズアップされた数字がある。6回終了時にリードした場合の連勝記録だ。実に37連勝。福、祖父江、R・マルティネスで構成する勝利の方程式の盤石ぶりを示す「救援神話」が始まったのは7月28日の広島戦(マツダ)だった。
 必然的にチーム成績も上向いた。8月から4カ月連続で勝ち越し。裏を返せば14勝21敗だった6、7月の低迷が最後まで響いたと言える。最大の誤算は開幕から守護神に指名した岡田の不振だ。7月7日からのヤクルト3連戦(ナゴヤドーム)が、今季の岡田の投球を象徴している。
 7日は同点の延長10回に登板し、4四球で勝ち越し点を献上した。9日は2点リードの9回に3安打2四球で4失点。これを最後に守護神の座を剥奪された左腕は、配置転換された中継ぎでも本調子には戻らず、9月7日に2軍落ちした。
 誤算はどうして生じたのか。さかのぼること半年。阿波野投手コーチは2月の沖縄キャンプを前にこう強調していた。「抑えは特別。失敗したからすぐに代えていいような存在ではない」。岡田と藤嶋がその座を巡って火花を散らしていた。
 当時は東京五輪の1年延期が決まる前。R・マルティネスはキューバ代表で五輪最終予選に参加するため、開幕時はいないとされていた。昨季の実績で上回る岡田はオープン戦7試合で防御率1・42。結果で守護神を勝ち取った。
 ところが、緊急事態宣言が解除されて再開された練習試合では、7試合中、3試合で失点。開幕1週間前、13日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では2点リードを逆転され、与田監督は「これが今の彼の実力」と厳しく指摘した。
 それでも、与田監督は3月に自ら出した結論を変えなかった。「岡田は空振りが取れるし、左右関係なく変化球が使える。修羅場をくぐってきた経験値もある」。昨季後半に背番号21を抑えに指名した理由を信じ、復調に期待した決断は裏目に出た。
 問題は来季。R・マルティネスはキューバ代表で離脱する可能性があり、祖父江と福の疲労回復具合も気にかかる。与田監督は「大きなけが人を出さないようにできれば2パターンぐらいつくれれば」と勝利の方程式の拡充を求める。
 今季3人に次ぐ働きをした谷元、又吉に加え、今季プロ初セーブを挙げた藤嶋や木下雄がどこまで食い込めるか。何よりも貴重な左腕として岡田の復調は不可欠。層を厚くした上で不調の選手にこだわりすぎない柔軟な起用が求められる。
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