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焼津沖、5000年で南海トラフ4回 海底地滑りで津波被害拡大

2020年8月31日 16時00分 (8月31日 16時01分更新)
 焼津市の駿河湾沿岸で地質調査などをしたところ、過去五千年間に南海トラフ巨大地震による津波に四回襲われ、うち一〇九六年の永長東海地震と一四九八年の明応地震では、海底で生じた地滑りによって被害が増大した可能性があることが分かったと、静岡大や東京大のチームが三十一日、発表した。

◆静大など調査

 チームの北村晃寿・静岡大教授(古環境学)は「海底地滑りが起きて想定以上の被害が出ることを考慮した津波対策が必要だ。調査を続け、地滑りの規模と頻度を明らかにしたい」と話した。
 チームは二〇一五年から焼津市浜当目の十二カ所でボーリング調査し、採取した津波堆積物を分析。紀元前三〇〇〇年以降、四回の津波の痕跡を見つけた。
 マグニチュード(M)8クラスの地震の発生間隔は九十〜二百七十年とされるが、紀元前三〇〇〇〜紀元後一〇〇〇年の約四千年間で確認できた津波は、紀元前八〇五〜紀元前四〇五年にあった一回だけ。かつては海岸から延びた砂の防波堤が存在し、浸水を防いでいたとみられる。
 一方で永長東海地震以降の約四百年間に、永長東海、正平(康安)、明応の三回の地震による津波が集中していた。二〇〇九年に駿河湾で発生した地震で海底地滑りが観測されたことを踏まえ、チームは永長東海地震で海底地滑りが発生して砂の防波堤が土台ごと破壊され、浸水したと結論付けた。
 古文書には、明応地震でも海底地滑りで沿岸の地形が変化したことをうかがわせる記述がある。明応地震後は、再び海岸沿いに防波堤ができ、津波を防ぐようになったとみられる。

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