就任1年目でチームを5年ぶりにクライマックスシリーズに導いたプロ野球広島東洋カープの新井貴浩監督(46)と、今年デビュー40周年を迎えるミュージシャンで俳優の吉川晃司さん(58)が新年にあたって、東京都内のホテルで対談した。広島出身の2人が、「広島を熱く、元気に」をテーマに、野球や音楽、平和への思いなどを語り合った。(聞き手は高本孝編集局長)

 吉川さんが新井監督のドキュメンタリー番組のナレーションを担当した縁で実現した。吉川さんはカープの躍進に「情熱とか愛みたいなもの、生きてる感が、チーム新井からひしひしと伝わってくる」と称賛。新井監督は「素でがむしゃらにやった。(声出し解禁で)お客さんに選手が力をもらった」と感謝した。

撮影・山崎亮

新井さんの愛と情熱でカープ一丸となった 吉川さん

吉川さんのかっこよさと強さが憧れでした 新井監督

 ―お二人は話をされるのは初めてですか。

 吉川さん 始球式でマツダスタジアムに伺った時に、まだ現役でいらっしゃった。2018年の日本シリーズですね。

 ―新井さんは、吉川さんにどんなイメージを持たれていましたか。

 新井さん 同じ広島生まれで広島育ちですから、小さい頃からのスーパースターですね。吉川さんがデビューされた時は、小学生でした。「ザ・ベストテン」とか見てましたね。かっこよさと強さが一緒にあるところが憧れでした。

 ―吉川さんは新井監督のドキュメンタリー番組のナレーションを担当されたということですが、昨季をどのように見ていましたか。

 吉川さん 長いこと苦労をされとるし、挫折もいろいろいろ経験されとる。それがちゃんと選手に伝わっとる。それを若い選手が受けて、本気のエネルギーが倍増されている感じが、ひしひしと伝わってきたね。野球評論家の方々はみんな最下位予想にしとったけどね。

 新井さん 前評判が低かったですからね。6位が一番多かったですかね。自分自身はそんなチームじゃない、絶対にやれると思っていたので、悔しかった。神宮球場での開幕戦前のミーティングで、みんなを鼓舞しました。(順位予想はどうあれ)俺が知っているお前たちの力は、そんなもんじゃないって。

 吉川さん みんなが一丸となってね、新井さんが愛と情熱で導かれた感じがしましたよ。

 新井さん 私の場合、引退して4年あったんですけど、コーチを経験せずいきなり監督でしたから、すごく考えました。現役時代、一緒にプレーした選手に、どういう感覚で接したらいいのか。すごく悩みました。結局、答えが出なかったので、そのまま、素でがむしゃらにやろうと。ついうれしくて、わっとやってしまって、これでよかったのかとは思います。

 吉川さん 1年目で2位ですよ。よかったに決まっとるじゃないですか。まあ、阪神が強すぎたというかね。でもまあ、これから優勝が来るんじゃないですか。そろそろ来るんですよ。いや来ます。

 新井さん 頑張ります。

 

 ―新型コロナウイルス禍で、スポーツも音楽もいろんなことを制限されてきましたが、昨年、ようやく以前のように戻りました。

 新井さん コロナ禍で入団した選手は満員のマツダスタジアムを知らなかったですからね。お客さんの声援は選手に力を与えてくれました。特にクライマックスシリーズの戦いはそうでした。

 ―吉川さんはどんな思いでコロナ禍を過ごされていましたか。

 吉川さん わしはいつもコンサートで