〝ちぐはぐ〟である。

 堂々たる洋館なのに竜がいる。天使もいるが、顔は平たんな東洋人っぽい。いわば西洋と和風の継ぎはぎパッチワークだ。それこそが擬洋風建築たるもののゆえんである。

 ここは信州。JR松本駅からバスで10分ほど、国宝松本城の北寄りにこの木造校舎は立つ。旧開智学校、1876(明治9)年の建築だから、世の中はまだ江戸時代の雰囲気を残していたはずである。