テーミス像イメージ
 
法と正義を司り世界の秩序を守る女神

甲冑を身にまとい、左手の天秤を高々と掲げ、右手には鋭い剣を携えて神々しい美しさを放つ女神・・・。テーミスの名で知られるこの女神はギリシャ神話に登場する「法と正義」の女神です。

テーミスは天空神ウラノスと大地母神ガイアの娘。デルフィの神託所に住し、神のお告げを人々に伝える役割を担っていました。当時の人々にとって神のお告げは正義の基準であり、いろいろなもめごとが彼女の神託によって審判されていました。つまり、彼女の語る言葉はそのまま生活の秩序=法だったのです。このことから次第に彼女自身が法の女神として信仰を集めるようになったのです。
不安と混乱に満ちていた古代社会に、神の名のもと「法と正義」をもたらし世界の秩序を確立させたのが、この女神テーミスなのです。

 

 
天秤拡大  
審判を決する天秤・悪徳を切り裂く鋭い剣

テーミスが左手に掲げる天秤は、事の善悪をはかる「裁きの天秤」。そしてそして右手の剣は、善と悪を切り分けて社会を悪徳から守るためのもの。彼女が法と正義を司り、審判を下す女神であることを象徴しています。
また彼女が目隠しをしているのは、審判の基準が彼女の判断ではなく、神から与えられた法秩序であることを意味しています。常に神の意思に基づいた公正な裁きを行う決意を表しているのです。
このような性格から、テーミスは古くから法の守護神として親しまれてきました。タロットの「正義」のカードにもこの女神が描かれていますし、西欧の法律関係の施設には、必ずこの女神像が飾られています。人々の平和な世界への願い、秩序ある暮らしへの願いがこのテーミス像には込められているのです。

 

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