甲冑を身にまとい、左手の天秤を高々と掲げ、右手には鋭い剣を携えて神々しい美しさを放つ女神・・・。テーミスの名で知られるこの女神はギリシャ神話に登場する「法と正義」の女神です。
テーミスは天空神ウラノスと大地母神ガイアの娘。デルフィの神託所に住し、神のお告げを人々に伝える役割を担っていました。当時の人々にとって神のお告げは正義の基準であり、いろいろなもめごとが彼女の神託によって審判されていました。つまり、彼女の語る言葉はそのまま生活の秩序=法だったのです。このことから次第に彼女自身が法の女神として信仰を集めるようになったのです。
不安と混乱に満ちていた古代社会に、神の名のもと「法と正義」をもたらし世界の秩序を確立させたのが、この女神テーミスなのです。 |