一度見たら忘れられない! 独創的なデザインのクロスオーバーSUV

今後、これほど独特なルックスをもつSUVは出ないのではないかと思わせるほど、個性的で魅力的なデザインをしているのが、今回紹介するいすゞビークロスです。エクステリアは後にGMのデザインを手がけるサイモン・コックスがデザイン。うねるようなボディライン、スペアタイヤケース一体型のテールゲート、最大25色のボディカラー。現在でも、街中で最も目立つSUVの一台です。

現在では乗用車の生産を終了しているいすゞ自動車ですが、まだいすゞがSUVやクロカンモデルを製造していた1997年4月にビークロスは発売されました。新車時価格は295万円です。
当時のSUVとしては珍しくディーゼルエンジンの設定はありませんでした。つまり全車がガソリンエンジン。ですから今のディーゼル規制を気にする必要はありません。
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ベースとなったのはビッグホーンのショートバージョンで、ボディタイプは3ドアのみ。グレードも1グレードです。エンジンは3.2LのV6DOHC、ミッションは4AT。これに可変トルク配分システムを搭載したフルタイム4WDが組み合わされました。クロスオーバーとしてオンロードでの走行性能を重視しているため、SUVとしてはややしっかりしたサスペンションが装着されています。
そのため、運転時のアイポイントが高い割に、きびきびした操舵感が味わえるのが魅力。ワインディングではロールが少なく、高速道路では直進安定性が抜群。SUVながら、オンロードでの走りが十分が楽しめる存在なのです。

デザイン優先の設計になっているためか、使い勝手は同クラスのSUVと比べて決していいとは言えません。スペアタイヤケースの影響で後方視界は極めて悪いですし、後部座席は体格の立派な大人が座る際には我慢を強いられるでしょう。
しかし、その半面で装備は豪華。当時としては珍しかったバックモニターが装備され、後方視界の悪さを補われています。ステアリングはMOMO製、シートはRECARO製と、スポーティな走行を期待するユーザーにはたまらない社外品も標準装備。
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さらに魅力的なのが、国内販売終了間際となる1999年2月に発売された、最終限定車「175リミテッドエディション」です。これは専用アルミホイールや本革シート、シリアルナンバーが刻印されたプレートなどが付いて価格は322万円(ベースモデルに比べ17万円アップ)というお得仕様ですが、名前の通り175台限定発売という貴重なシロモノ。もっとも、そもそもビークロス自体の国内総販売台数が約1700台(登録ベース)ですから、実は10台に1台はこの限定車ということになるんですけれどね。

では「175リミテッドエディション」は見つけやすいかというと、残念ながらさにあらず。ここのところ、ビークロスそのものの数が中古車市場でめっきり減ってしまっているのです。原稿執筆時ではわずか11台。その中に「175リミテッドエディション」は見つかりませんでした。とはいえビークロス自体が希少車です。10万km前後の多走行車なら30万円台から流通していますが、おおむね50万~100万円くらいといったところです。
なかには走行距離1.9万kmの修復歴なしで98万円というものもありました。こういった程度のいいものは、まさに「即買い」しないと逃してしまいそうです。

気になった方は、下記の検索窓に「ビークロス」と入れて検索してみてください。


<渡瀬基樹>