▲その日に仕入れた超新鮮な魚介をたっぷり使った「おらがX丼」。千葉の房総ならではのメニューなんじゃないでしょうか ▲その日に仕入れた超新鮮な魚介をたっぷり使った「おらがX丼」。千葉の房総ならではのメニューなんじゃないでしょうか

丼の上は新鮮な地魚のパラダイス

皆さんは千葉県の房総半島へ行ったことがあるだろうか? 千葉とひと口に言っても、船橋や松戸などを擁する関東平野と、東京湾を囲む房総半島では気候も景観も地形も異なる。千葉の都心部に比べると気候も温暖だし、人もどこかのんびりとした印象だ。「マザー牧場」や「鴨川シーワールド」などが人気で、休みともなると県外から多くの人が遊びに訪れる。海に囲まれつつも、適度な山道のある房総半島はドライブ・ツーリングにも最適だ。

今回、編集部のたけだ氏と別件の取材で久々に房総半島へ行く機会があり、せっかくなのでどこか美味しいお店でもとリサーチしたのが、海鮮料理で有名な「名代亭」だった。取材終わりだったこともあり館山市方面から車で名代亭へ向かったが、東京湾アクアラインと接続する木更津金田ICからなら、ちょうど50kmくらい。だいたい1時間はかからない計算だ。

名代亭の名物はなんといっても「おらがX丼」だ。そもそも「おらが丼」は鴨川の商工会が町おこしのために始めたもので、地元産の食材を3つ以上使用していれば、おらが丼を名のることができるという比較的ゆるい縛りのご当地グルメだ。なので、季節の地元野菜を使った中華風のおらが丼や房州産の豚を使ったカツ丼風のおらが丼なんていうのもある。

現在、鴨川の50以上の店舗でオリジナリティあふれる、おらが丼を味わえるという。そんな中、名代亭の「おらがX丼」は、地元鴨川の新鮮な魚介をふんだんに使用した王道の海鮮丼だ。これは期待が高まる。オラ、なんだかワクワクしてきたぞ!

▲店の2階を覆い隠すような巨大看板はインパクト大。ぼんやりと運転していなければ必ず目に入ってくるはず ▲店の2階を覆い隠すような巨大看板はインパクト大。ぼんやりと運転していなければ必ず目に入ってくるはず

さっそく名代亭へ向かう筆者。自動車の販売店がポツポツと点在する長狭街道沿いを走ると、「おらが丼」と書かれた目立つのぼりを発見。さらに店には大きな看板が掲げてあるので、すぐに分かると思う。正直、筆者はこの段階でかなりの空腹だった。店の前の置き看板には「海鮮丼」の他、「天丼」や「寿司」の文字も。うう……オラ、腹が減って力入らねぇ……。

▲店の裏手の駐車場には、のどかな房総の田園風景が。郷愁を感じてしまい、キュンとなる。ああ、東京には帰りたくねぇよ~ ▲店の裏手の駐車場には、のどかな房総の田園風景が。郷愁を感じてしまい、キュンとなる。ああ、東京には帰りたくねぇよ~

駐車スペースに車を止め中へ。5~6台は止められる店の裏手の駐車場の他、道路を挟んだ店の向かいの郵便局の裏手にも8台ほど止めらる駐車場がある。最寄り駅(?)の安房鴨川駅から名代亭までは10km以上の距離があり、車やバイクなどではないと訪れづらいため、駐車スペースを広くとっているのだろう。

▲鴨川シーワールドの帰りに寄る家族連れや、ツーリングの途中に寄るお客さんが多いとか ▲鴨川シーワールドの帰りに寄る家族連れや、ツーリングの途中に寄るお客さんが多いとか

テーブルとお座敷合わせて18席ほどの店内には、名代亭の名物、おらがX丼を取材しに来たテレビ番組の写真や、番組レポーターのサインなどが飾られている。多くのメディアから注目を集める逸品なことは間違いない。さっそく筆者はおらがX丼を注文。たけだ氏はもうひとつの名物「名代鴨女(かもめ)丼」を頼んだ。

名代亭は板場に立つ店長の田中良和さんを中心に、家族で営んでいるというお店。昭和40年創業で、当時はお寿司屋が近辺になく、地元の人が気軽に寿司を食べられるようにと店長のお父さんが始めたのだとか。今はおらがX丼の影響で、県外から来られるお客さんが増えているという。

▲“おらが”とは鴨川の方言で「我が家」という意味。ちなみに“X”は他の「おらが丼」との差別化を図るために付けたとのこと ▲“おらが”とは鴨川の方言で「我が家」という意味。ちなみに“X”は他の「おらが丼」との差別化を図るために付けたとのこと

そんな話を田中さんとしているうちに、おらがX丼が運ばれてきた。二段重の一段目には真アジの姿造りやサザエの刺し身、二段目には、タイやマグロなどが載っている。全部で10種類以上の具を使っている「おらがX丼」は、サラダやあら汁も付いて1500円(税込)というリーズナブルなお値段だ。季節によって魚の種類などは変わるらしいが、基本的には、その日のうちに仕入れた新鮮な鴨川の地のものを使用しているという。

まずは店長一番のオススメ、真アジの刺し身から……。口に入れた瞬間に分かる新鮮さに、魚本来の旨味がしっかりと感じられて、これが美味! マグロも酢飯と良く合うし、あら汁もダシが出ていて、たまらんです。実は酢飯も地元で作られている長狭米という米を使っているのだとか。そのこだわりに脱帽。

▲見よ、このツヤ! この鮮度! 地元では甘めの味付けが好まれるそうで、酢飯はやや甘め。しかし、これが鮮魚とマッチするんですな~ ▲見よ、このツヤ! この鮮度! 地元では甘めの味付けが好まれるそうで、酢飯はやや甘め。しかし、これが鮮魚とマッチするんですな~
▲こちらは、鴨川のご当地アニメ『輪廻のラグランジェ』の放送をきっかけに考案された名代鴨女(かもめ)丼。おらがX丼では量が多いという女性向けに作ったが、実はボリュームはおらがX丼とそんなに変わらない。たけだ氏はこちらをペロリとたいらげていた ▲こちらは、鴨川のご当地アニメ『輪廻のラグランジェ』の放送をきっかけに考案された名代鴨女(かもめ)丼。おらがX丼では量が多いという女性向けに作ったが、実はボリュームはおらがX丼とそんなに変わらない。たけだ氏はこちらをペロリとたいらげていた

やばい。箸がとまらない。筆者もたけだ氏もおらがX丼&名代鴨女丼を一気にかっこむ。あっという間に満腹&大満足。ごちそうさまでした! いや、マジで美味かった。名代亭では、おらがX丼などの海鮮丼の他、ジャンボ海老天丼などの“揚げ系”メニューもオススメだとか。次に来たときには注文しよう。

ちなみに、この店の営業時間は午前11時から午後7時半までだが、食材がなくなり次第閉店してしまうという。お盆や夏休みシーズンは東京湾アクアラインで渋滞が起きやすい。せっかく首都圏から向かったのに、渋滞に巻き込まれて着いたころには店が閉まっていた、なんてことがないよう、早目に訪れるようにしたい。

お食事処 名代亭(なだいてい)
住所:千葉県鴨川市寺門186
営業時間:午前11時~午後7時30分(食材がなくなり次第閉店)
定休日:木曜日
※2015年7月1日時点の情報です。上記は変更されている可能性があります。ご了承ください

text/TOM