▲ゲリラ豪雨の原因は積乱雲。地上と上空の温度差が大きいときに発生する。最近30年間では、ゲリラ豪雨など時間50mmを上回る降雨が1.3倍に増加しているのだとか ▲ゲリラ豪雨の原因は積乱雲。地上と上空の温度差が大きいときに発生する。最近30年間では、ゲリラ豪雨など時間50mmを上回る降雨が1.3倍に増加しているのだとか

急な大雨、降り続ける? 一時的?をズバリ見通す

箱根に撮影に向かう途中の東名高速。天気予報では曇りのはずが、前車が霞むほどの大雨に見舞われました。梅雨の時期だけでなく、夏のゲリラ豪雨でもよく見る光景です。

編集部のたけだくんは「撮影、大丈夫ですかね」と心配そう。そこで、筆者がドヤ顔で一言。「あと3分も走れば、雨は上がりますよ」。実際、少し走ると小雨になり、雨は上がりました。

「すごい!『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に出てきた、未来の天気予報みたいじゃないですか」と、興奮気味のたけだくん。どうやら、雨が止む瞬間を秒単位で告げるシーンを指しているようです。しかし、私が見ていたのは天気予報ではなく、「東京アメッシュ」というサイト。

「東京アメッシュ」とは、東京都下水道局が提供する、ネットで見られる降雨情報サービス。ほぼリアルタイムで、東京都を中心に神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県などの雨の状況を確認することができます。

▲雨の状況は地図上に表示。色が濃いところほど強い雨が降っている ▲雨の状況は地図上に表示。色が濃いところほど強い雨が降っている

驚くべきは、250平方メートル毎で測定できるピンポイントな観測精度。この細かさで雨が降っている地域が表示されていたからこそ、「あと3分くらいで雨が上がるよ」なんてことが言えたんです。

▲iPhoneのアプリを利用すれば、iOSの地図上に雨の状況を表示可能。より詳しくみることができる ▲iPhoneのアプリを利用すれば、iOSの地図上に雨の状況を表示可能。より詳しくみることができる

しかし、どうやって正確に雨を観測しているのでしょうか。その秘密は、レーダーにありました。レーダーは、電波の直進性と障害物に当たると反射する性質を利用して、物体の位置や性質を識別するもの。これを雨の測定に応用したのが「レーダー雨量計」です。

これをものすごく間単に説明すると、レーダーによる反射波の中から、山などにぶつかった不要な部分を除去し、降雨からの反射波だけを抽出するといった仕組み。強く反射すると、それだけ雨が強いということです。

東京アメッシュでは、東京の港区と稲城市、埼玉、神奈川に計5つのレーダーによる観測と、約150台の地上雨量計による情報などから、降雨状況を割り出しているのだとか。

ちなみに、なぜ下水道局が運用しているかというと、このシステムはそもそも豪雨によって流れ込んでくる水をポンプ所や水再生センターなど下水道施設で適切に処理して、浸水被害を防ぐために始まったから。その前身は1988年にスタートしており、すでに30年弱の実積があるそうです。

首都圏在住者でなければ「高解像度降水ナウキャスト」を活用

ここまで読んだ方の中には、「また東京だけですか」とか「北海道は、九州は、四国はどうなる」とご立腹の方がいるかもしれません。そんな方にオススメしたのが、昨夏から気象庁が提供している「高解像度降水ナウキャスト」。

こちらも、250平方メートルの雨の状況をリアルタイムで表示してくれるサービス。しかも、「東京アメッシュ」と違い、範囲は全国。さらに、1時間先までの雨雲の動きを短時間予報で知らせてくれます。

▲高解像度降水ナウキャストも気象レーダーを使用。全国20ヵ所に設置している ▲高解像度降水ナウキャストも気象レーダーを使用。全国20ヵ所に設置している

車の撮影はほとんどが屋外。それだけに、週間天気予報はもちろん、これらピンポイントで雨雲の位置がわかるサービスには重宝しています。これからの季節のドライブや洗車に、ぜひ活用して欲しいサービスです。

text/コージー林田