胃がんステージ4(末期)からでも治る可能性をあきらめない

stomach cancer

末期、ステージ4の胃癌(胃がん)が治る確率を上げる為に知っておくべき事。

末期、ステージ4の胃癌(胃がん)が治る確率を上げる為に知っておくべき事。

胃がんは、日本人の死因の第3位(男性)第4位(女性)とされるほど、一般的な病気です(厚生労働省:2021年の人口動態統計(確定数)」による)。

一方で胃がんによる死亡率は低下しており、完治する方も増えてきています。

実際に、健康診断で発見された胃がんは、9割の方が完治しています。

もちろん、胃がんが進行しステージ4で末期となってしまった方だけを対象に考えると、余命があと数ヶ月と医師から宣告されていることも事実です。

しかし、胃がんでステージ4だから、末期がんだからといって、すべてを諦める必要は一切ありません。

がん末期だと言われても、がんが治っていらっしゃる方が少なからず存在しているからです。

胃癌(胃がん)の原因について

胃癌(胃がん)の原因について

胃がんを発症するメカニズムは、正確にはわかっていません。

しかし、胃がんになってしまうリスクを上げるものには、遺伝子、喫煙などの生活習慣、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)などがあげられています。

遺伝子

遺伝子

最近の研究で、BRCA1・BRCA2遺伝子を含む合計9個の遺伝子(APC、ATM、BRCA1、BRCA2、CDH1、MLH1、MSH2、MSH6、PALB2)が胃がんのリスクに関連していることがわかっています。

また、東アジア地域特有のALDH2(アルコール分解酵素)遺伝子多型と飲酒・喫煙習慣との組み合わせにより、胃がんのリスクが高まることが判明しています。

さらに、ピロリ菌と遺伝子の相互作用により、胃がんのリスクが高まることも判明しています。

なお、胃がんの原因にもなるCDH1遺伝子に異常があると(病的バリアントといいます)、女性では4~5割の確率で乳腺小葉がんができ、男性では前立腺がんのリスクが上がり、男女関係なく大腸がんのリスクが上昇します。

生活習慣(食事、喫煙、飲酒)

生活習慣(食事、喫煙、飲酒)

胃がんに限らず、がんは生活習慣によって大きく左右されるといわれています。

「高血圧」や「糖尿病」は生活習慣病の代表的なものですが、「がん」も生活習慣病のひとつです。

「健康増進法」などの法律でも、胃がんを含めたがん全体が生活習慣病として扱われています。

「がん」は生活習慣病ですので、煙草を辞める、塩分を控えめにし、だしなどの旨味や酸味を生かした食生活にする、偏った食事を避けタンパク質やビタミンが不足しないようにする、脂質が多くなり過ぎないように注意することが大切です。

また、日本食が胃がんには良さそうだと思いがちですが、間違っています。

実際のデータを分析すると伝統的な日本食は胃がんのリスクを高めてしまいます。日本食だけの食生活は避けるようにしましょう。

もちろん、運動不足もがんのリスクを高めてしまいます。運動不足にならないよう、気を付けましょう。

ヘリコバクター・ピロリ感染(胃炎から胃がんへの進行)

ヘリコバクター・ピロリ感染(胃炎から胃がんへの進行)

胃がんの一番の原因とされているのは、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染です。

主に幼少期に井戸水や親子間の口移しなどでピロリ菌に感染します。

衛生状態が改善したこともあり若い方ほど、ピロリ菌の感染者は少ないのですが、50歳以上となると、70%以上の方がピロリ菌に感染しています。

飲酒や喫煙といった環境の変化で、DNAの二重らせん構造が損傷し、「相同組み換え修復」と呼ばれる機能で修復しますが、ピロリ菌が持つタンパク質「CagA(キャグエー)」は、「相同組み換え修復」を破綻させ、変異の蓄積を誘発し胃がんを発症します。

なお、ピロリ菌は胃がんの危険因子のひとつとされていますが、ピロリ菌に感染している全ての人が胃がんになるわけではありません。

また、ピロリ菌を除菌したからといって、胃がんにならないとは限りません。

胃の持続的な炎症(胃炎、胃潰瘍、胃ポリープから胃がんへの進行)

胃の持続的な炎症(胃炎、胃潰瘍、胃ポリープから胃がんへの進行)

胃に炎症がある場合を胃炎といい、急性胃炎、慢性胃炎、神経性胃炎など多くの種類があります。

特に慢性胃炎が続き、悪化すると胃がんになってしまいます。

慢性胃炎の9割はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染ですので、胃がんになりやすい病気と考えて間違いありません。

胃炎は放置せずに、早めに病院やクリニックに行くことが大切です。

一方、胃潰瘍は胃がんにはなりません。

胃潰瘍と胃がんは形が似ていることから、初期は区別が難しい場合が多々あり、胃カメラで生検をして「がん」であるかどうか確認する必要があります。

胃ポリープは、胃がんに変化する可能性の低い良性の「胃底腺ポリープ」、2cmを超えているとがんになる危険性の高い「過形成性ポリープ」、がんになる前の変化(病変)と考えられている「腺腫性ポリープ(腫瘍性のポリープ)」の3種類あります。

腺腫性ポリープはがんになる可能性が高いことから、切除が望ましいとされています。

年齢と性別。高齢者や男性が胃がんになりやすい理由

年齢と性別。高齢者や男性が胃がんになりやすい理由

男性が胃がんになりやすい正確な理由は不明ですが、約2:1の割合で男性の方が女性よりも胃がんになりやすい結果が出ています。

また、年齢が上がるほど、胃がんの原因であるピロリ菌に感染しているケースが多いため、胃がんになりやすくなります。

さらに、タバコによる影響も除外できません。喫煙も胃がんの原因となりますので、タバコに暴露された時間が長いほど、胃がんを発症しやすいといえます。

1990年代後半の喫煙率は男性で50%を超えており、女性では喫煙率が15%以下でしたので、男性の方が胃がんになりやすいと考えられています。

なお、現在も男性の方が女性よりも喫煙率が高いです。

胃癌(胃がん)の種類と症状

胃癌(胃がん)の種類と症状

胃がんは、発生した場所での区別の他、目で判断する肉眼的分類、がん細胞の深達度、病理組織学的分類があります。

発生した場所で胃がんを捉える場合、胃上部、胃中部、胃下部を3つに分け、断面でも小彎(しょうわん:胃の内側)、大彎(だいわん:胃の外側)、前壁、後壁と4つに分けます。

胃がんの一般的な症状

一般的な胃がんの症状には、下記が挙げられますが、胃炎や胃潰瘍などの症状と同じですので、注意が必要です。

胃がんが進行してくると、下記の症状も現れてきます。

なお、早期胃がんの初期症状はありません。かなり進行した胃がんでも、症状がない場合もあります。

胃の粘膜がん(腺がん)の特徴的な症状

胃がんの9割以上を占めるのが、胃液の出る胃腺などの腺組織とよく似た形をしている「腺がん」です。胃の最も内側の粘膜細胞から発生します。

さらに腺がんは、「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」に分けられ、「未分化型胃がん」には、進行スピードが速い「スキルス胃がん」が含まれます。

一般的に「分化型胃がん」は男性や高齢者に多く、悪性度は比較的低く、がん細胞の形や並び方が胃の粘膜構造を残したものになります。

一方、「未分化型胃がん」は女性や比較的若者に多く、悪性度は比較的高く、広範囲にがん細胞が増殖していきます。

腺がんに特徴的な症状はありません。

なお、腺がんは「がんの組織」のことですので、胃だけではなく、肺、腸、肝臓などでも発生します。

胃の粘膜下層がん(胃腺肉腫)の特徴的な症状

胃が発生元(原発)となる悪性腫瘍には、胃がんの他に「粘膜下腫瘍」があり「悪性リンパ腫」「肉腫」「胃消化管間質腫瘍 (Gastrointestinal stromal tumor: GIST)」などに分けられます。

胃がんは胃の内側にある粘膜から発生しますが、「粘膜下腫瘍」は粘膜の下にある粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層から発生します。

GISTなどの粘膜下腫瘍には、特有の症状はありません。

なお、胃がんが粘膜の下の層まで進行したものを粘膜下層がんと呼びますので、ご注意ください。

早期胃がんと進行胃がんの症状と違い

早期胃がんは、がん細胞が粘膜層や粘膜下層に留まっている状態のことで、T1と分類されます(粘膜層までがT1a、粘膜下層までがT1b)。

早期胃がんの中でも粘膜層に留まっているT1aの状態は「粘膜内癌」といい、粘膜下層よりも深くなっている状態が「粘膜下層癌」です。

粘膜下層の下にある、筋層、漿膜下層(しょうまくかそう)まで、がん細胞が出来てしまうと進行胃がんと診断されます。

※浸潤とは、がん細胞が周囲に広がっていくことです。

早期胃がんでは、リンパ節転移の可能性が少ないことが判明しており、がん細胞が胃の深くまで到達してしまうと、リンパ節転移の可能性が高くなります。

がん細胞が、どのくらいの深さまで到達しているかを「(胃壁)深達度」といいます。

なお、胃がんは深達度のほか、肉眼的分類、病理組織学的分類があります。

早期胃がんの症状は無いことも多く、がんの進行に従って胃の痛み、不快感、体重減少や吐血など様々な症状が出てきます。

腹水を伴う末期胃がんの症状

末期胃がんに進行すると、体の水分調整機能が働かなくなるため、腹水がたまりやすくなります。

腹水がたまると、腹部の膨満感、便秘、足のむくみ、排尿障害、息切れなどの症状が現われてきます。

むくみ(浮腫)が強くなると、痛みやしびれといった症状も出現してきます。

対処する方法がありますので、症状をはっきりと伝え医師と相談するようにしましょう。

特殊な形の胃がん(スキルス胃がん)の特徴的な症状

進行が速く胃壁を固く厚くさせて、広範囲に広がっていくタイプがスキルス胃がんです。

スキルス胃がんは、未分化型であることが多く、胃の表面にわかりやすい病変がみられずに、染み込むようにがん細胞が広がることから、内視鏡検査でも発見が困難とされています。

発見が困難なため、スキルス胃がんが発見されたときには、すでにがんが進行し転移していたというケースが大半です。

スキルス胃がんの症状も通常の胃がんの症状と同じです。初期状態のとき、食欲低下や胸やけなどの症状が稀に出ることがあります。

胃癌(胃がん)のステージ別の症状と生存率、余命

胃癌(胃がん)のステージ別の症状と生存率、余命

胃がんのステージは、がん細胞の深達度と、リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無で判断されます。

胃がんの一般的な生存率

昔は、胃がんは日本の国民病とも呼ばれていましたが、年々胃がんの死亡率は減少しており、現在、早期に発見された胃がんの治癒率は非常に高く、5年生存率は9割を超えます。

一方、胃がんが進行してステージ4になると、5年生存率は1割を切ってしまいます。

胃がんの生存率から考えても、早期発見、早期治療が非常に大切です。

胃がんステージ0(0期)

ステージ0の胃がんは、がん細胞が粘膜内(上皮細胞内)にとどまっており、リンパ節に転移していない状態を指します。粘膜内癌の状態です。

胃がんがステージ0で発見されたときの生存率は、ほぼ100%です。

胃がんステージ1(I期)

胃がんのステージ1は、リンパ節転移が認められない、もしくはリンパ節転移が1〜2個で、遠隔転移が認められない状態で、深達度がT1a,T1b,T2(胃がんが筋層に入り込んでいる、または浸潤(しんじゅん)している)の場合です。

胃がんステージ1の5年生存率は、約90%です。

胃がんステージ2(II期)

胃がんのステージ2は、下記の場合です。

胃がんステージ2の5年生存率は、約65%です。

胃がんステージ3(Ⅲ期)

胃がんが胃の表面(外側)に出ており、他臓器にも、がんが及んでいるT4bの深達度で、遠隔への転移がないのがステージ3です。

リンパ節転移が無くても、ステージ3となることがあります。

ステージ3の5年生存率は、約45%です。

胃がんステージ4(Ⅳ期)・末期の胃がん

胃がんのステージ4は、深達度に関係なく、遠隔へのがん細胞の転移が認められる場合です。

ステージ4の5年生存率は、約7%です。0%ではありません。

腹水の出現。余命はどのくらい?

お腹に水が溜まることを腹水といいます。

胃がんが進行し、がん細胞がお腹の中のスペースに広がる腹膜播種(ふくまくはしゅ)になると、炎症を起こし腹水と呼ばれる水が溜まるようになります。

胃がんで腹水が出現している場合、余命は2〜3ヶ月と宣告されることが多いです。

腹水は痛みだけではなく、食欲不振にもつながり、栄養状態の悪化に伴い、腹水が更に溜まり続けますので、適切な処置が必要です。

ステージ4のダウンステージングの可能性

胃がんが発見されたときに、転移が認められステージ4と診断されても、ステージ4からステージ3などへダウンステージングする可能性もあります。

一般的にステージ4の場合は手術で切除できませんが、お薬による治療などが効いて手術できる状態になることが最近増えてきているからです。

ステージ4だからと言って諦める必要は何一つありません。

スキルス胃がんと生存率

スキルス胃がんと診断されると、余命数ヶ月から1年と宣告されることが大半です。

他の胃がんと比較すると、発見が難しく進行も速いため、どうしても生存率が低くなります。

胃がんの進行速度と自覚症状ついて。 疾患への理解

胃がんの進行速度と自覚症状ついて。 疾患への理解

胃がんの進行速度は、早期では年単位、末期では月単位と幅があります。

また、胃がんの種類によっても進行速度は変化し、スキルス胃がんは速く、分化型胃がんは遅いです。

胃の痛みなど自覚症状が出る方もいれば、自覚症状を見逃してしまう方、自覚症状が全く出ない方がいます。

さらに、胃がんは胃潰瘍と似ていることから、実際に細胞を採取して検査してみなければ、胃がんなのか胃潰瘍なのか、判断できない特徴を持っています。

胃がんの一般的な進行速度

10mm程度の大きさの一般的な早期胃がんが進行がんになるには3〜4年の歳月がかかるとされています。

ゆっくりとした進行速度に思えますが、進行がんになると1〜2年程度で生命に関わってきます。

なお、胃がんに限らずがんは、若い人のほうが高齢者よりがんの進行が速いとされていますし、がんの進行速度には個人差がありますので、ご注意ください。

胃がんが1ヶ月で進行する可能性

胃がんには、がん細胞がひとつにまとまっている分化型と、がん細胞がバラバラに拡散している未分化型があり、未分化型の胃がんには、進行スピードが速い「スキルス胃がん」が含まれます。

また、早期がんと進行がんでは1ヶ月の差はあまりありませんが、末期がんとなると月単位で進行していきます。

胃がんの進行速度と自覚症状の関係。自覚症状が現れるまでの時間は?

胃がんの初期症状は、ほぼありませんが、進行するに従って、胃痛などの自覚症状が出てきます。

早期胃がんが出来て約3〜4年で進行がんになることを考えると、自覚症状が出てくるのは胃がんになってから3、4年後と考えて良いでしょう。

自覚症状が現れるのを待ってしまうと胃がんが進行してしまいますので、待つのではなく定期的な検査で胃がんを見つけるのがおすすめです。

進行速度と余命予想の関連性

胃がんの末期になると、がんの進行速度が月単位となり、余命も数か月です。

一方、進行がんは半年単位での進行、早期がんは年単位での進行ですので、がんの進行が速くなれば速くなるほど、余命が短くなります。

胃がんが手遅れになる症状

胃がん特有の初期症状はありません。

胃潰瘍や胃痛などと同じ症状が出る方もいらっしゃいますが、末期胃がんになるまで全く症状の出ない方もいらっしゃいます。

例えば、「最近、食欲がなく、胸やけするな」と感じて検査を受けたところ、末期胃がんと診断される方もいらっしゃいます。

単なる胃痛だから大丈夫だと過信せずに、定期健診を受けて胃がんを早期発見することが、とても大切です。

自覚症状を正しく理解する

胃がんは、症状が出にくい特徴を持っています。

症状が出にくいからこそ、小さな変化に気が付くこと、定期的に検査を受けることが大切です。

毎朝、お腹を触って変化が無いかどうか、食欲や体重の変化が無いか、汗のかきやすさは変化していないかなど、ご自身の体をチェックするようにしましょう。

「いつも通りに食事をしているのに、体重減少がある」このような自覚症状が出たのなら、すぐに病院で検査を受けることが大切です。

胃癌の再発と転移しやすい部位

手術やお薬などで胃がんを治療し、がん細胞が発見できなくなった状態から、再びがん細胞が発見されたことを再発といいます。

再発した際に、胃以外の部位や臓器にがん細胞が見つかった場合は転移となります。再発の場合、転移していることが多いため、手術でがん細胞を摘出することが難しくなりお薬での治療がメインとなります。

また、ステージ4の胃がんと診断された場合は、胃以外の部位や臓器にがん細胞が既に転移している状態です。

胃がんの再発と頻出する症状

胃がんの再発と頻出する症状

例えば、胃の粘膜下やリンパ節に潜んでいた小さながん細胞が大きくなることで、再発します。

現在の技術では、微小ながん細胞を発見することはできないため、再発を完全に防ぐことは困難です。

再発の多くは、胃がんの治療後、3〜5年が最も多く、5年を超えて再発することは稀です。

胃がんで再発しやすい臓器・部位は、肝臓、腹膜、リンパ節、遠隔転移(肺、骨、脳)です。

また、胃がんが再発した際の症状ですが、腹痛や食欲不振、全身倦怠感、黄疸などがありますが、自覚症状が無かった方もいらっしゃいます。

胃がんの最も一般的な転移先とその特徴

胃がんの最も一般的な転移先とその特徴

胃がんの転移には、血流に乗ってがん細胞が転移する「血行性転移」、がん細胞がリンパ管に入ってリンパ節に転移する「リンパ行性転移」、がん細胞が胃の外側の膜を破って、がん細胞が広がる「腹膜播種性転移」があります。

血行性転移は、肺や肝臓に転移することが多いです。

リンパ行性転移は、左鎖骨の上にある左鎖骨上窩リンパ節や、卵巣に転移します。

腹膜播種性転移は、腹膜播種、腹水(癌性腹膜炎)、男性なら直腸膀胱窩、女性なら直腸子宮窩に転移することが多いです。

転移したがん細胞は、胃がんの特徴を持っていますので、胃がんに対する薬物療法を実施することが基本となります。

胃癌の症状チェックをしよう!検査方法について

早期発見と治療のための自己チェック

胃がんは、早期発見すれば完治するケースが非常に多いことから、早期発見が重要です。

毎年の健康診断を確実に受けることが、胃がん発見の第一歩といってよいでしょう。

また、ピロリ菌検査も有効です。まだ、ピロリ菌の検査を受けたことのない方は、早めに受けるようにしましょう。

胃内視鏡検査:詳細な診断には欠かせない検査方法

胃内視鏡検査:詳細な診断には欠かせない検査方法

胃がんの症状は胃潰瘍などと同じ症状ですし、肉眼での見た目も胃潰瘍と似ていることもあるため、内視鏡でがんと思われる細胞を胃カメラ(胃内視鏡検査)で採取し、検査(生検)しがんであることを確定する必要があります。

しかし、スキルス胃がんは、粘膜の下にがん細胞が潜んでいることが多く、胃カメラで胃の粘膜の検査をしても分からないことがあります。

検査の際に胃粘膜の赤みやただれなどがあった場合には、組織を採取する、時間を空けて再検査などが必要となることもあります。

バリウム透視検査:非侵襲的な胃がん検査方法

バリウム透視検査:非侵襲的な胃がん検査方法

一般的な健康診断で使用されているバリウムを服用してレントゲンを撮影する胃透視(胃X線)検査は、受けた経験のある方が大半だと思います。

胃全体の変形を捉えやすく、内視鏡検査よりもスキルス胃がんの診断に適しているメリットがあります。

しかし、胃透過検査の画像は白黒で、色の変化で病変を発見できないため、内視鏡検査の方が早期のがんを発見、診断しやすい特徴があります。

血液検査:胃がんのマーカーとなる成分について

血液検査:胃がんのマーカーとなる成分について

胃がんの腫瘍マーカーは「CEA」と「A19-9」です。

採血し腫瘍マーカーの値が上昇していると胃がんの疑いとなりますが、胃がんであってもマーカーが上昇していないこともあります。

他の検査と併用して実施することが必要です。

PET-CT検査:胃がんの広がりと進行度をチェックする

PET-CT検査:胃がんの広がりと進行度をチェックする

がん細胞は、正常細胞と比較しブドウ糖を大量に消費する性質があります。

ブドウ糖に似ている放射性検査薬剤(FDG)を体内に注入後、全身にFDGが行き渡るのを待って(約60分)、PET-CT装置を使用し、撮影を行います。

全身のがんを発見できる検査法ですが、1cm未満の小さながん細胞や、ブドウ糖をあまり取り込まないスキルス胃がんなどがあるため万能ではありません。

どちらかといえば、胃がんの発見は内視鏡検査に軍配が上がることが多いです。

胃がんの場合ですと、がんの広がりや進行度のチェックに向いています。

超音波内視鏡検査(EUS):胃がんの深達度やリンパ節転移の評価

超音波内視鏡検査(EUS):胃がんの深達度やリンパ節転移の評価

超音波内視鏡(EUS:Endoscopic Ultrasonography)は、超音波が備わった内視鏡です。

胃カメラと同じように、口から挿入しますが、胃カメラよりも1.5倍ほど太いため、麻酔を使っての検査となります。

超音波内視鏡(EUS)は、通常の内視鏡では確認することのできない組織の内部を観察することができるため、胃がんの深達度や通常の内視鏡では見えない粘膜下のがん細胞も調べることが可能です。

CT検査:胃がんの進行度や転移の確認

CT検査:胃がんの進行度や転移の確認

体全体を輪切りにしたような画像を撮影して、検査するのがCT検査です。

胃の壁ががん細胞で厚くなっていないか、お腹に水(腹水)が溜まっていないか、転移の有無について確認することができます。

MRI検査:ソフトティッシュの詳細なイメージング

MRI検査:ソフトティッシュの詳細なイメージング

MRI検査もCT検査と同じように体全体を輪切りにしたような画像や三次元の画像を得て検査します。

CT検査はX線を使用しますので被曝がありますが、MRIは磁気を使用しますので、被曝することはありません。

ただし、MRIは検査中、工事現場よりも大きい騒音が発生しますので、耳栓やヘッドホンで騒音対策を実施する必要がありますし、心臓にペースメーカーがある方は受けられないこともあります。

生検:確定診断と病理学的検査

生検:確定診断と病理学的検査

胃がんは、胃潰瘍などと似ているため、胃がんであることを確定するには、実際の細胞を採取する生検が必要です。

多くの場合、内視鏡(胃カメラ)で行うことが多く、検査と同時に疑わしい細胞を採取することもあります。

がんと疑わしい細胞を採取後、肉眼や顕微鏡を使って細胞レベルで検査するのが病理学的検査です。

病理学的検査を実施することで、正確な病名や進行の度合い、今後の見通しといったことが判明します。

ゲノム解析:遺伝的要素の評価と個別化された治療計画の策定

ゲノム解析:遺伝的要素の評価と個別化された治療計画の策定

がんのゲノム解析とは、がん組織を使用して100以上の遺伝子を同時に調べる(がん遺伝子パネル検査:がんゲノムプロファイリング検査)ことで、遺伝子の変化や遺伝子変異を解析し、一人ひとりの体質や胃がんの状態に合わせた治療を行います。

簡単にいうと、遺伝子を検査して個別化された治療を実施するというのが、ゲノム解析によるがん治療です。

なお、一部のがん治療において、がん遺伝子検査を実施し、遺伝子に合わせたお薬を使用する治療「がん遺伝子検査」がありますが、1つまたは少数の遺伝子しか検査していないことから、がんゲノム医療には含まれません。

多数(100以上)の遺伝子を検査し治療するのが、ゲノム解析(がんゲノム医療)で、1つもしくは少数の遺伝子を検査し治療するのが、がん遺伝子検査です。

腹水検査:腹水中のがん細胞の検出

腹水検査:腹水中のがん細胞の検出

腹水が溜まっている場合は、腹水が胃がんによるものかどうかを調べる必要があります。

腹水には臓器から剥がれた細胞が混入していますので、腹水を採取し細胞診(さいぼうしん)検査を実施することで胃がん由来なのかが判明します。

細胞診(さいぼうしん)検査とは、特殊な液体で採取したものを染めて、顕微鏡で観察し、正常なものと比較するものです。

胃癌治療の方法と費用感

一般的に胃がんの医療費総額は、65万円程度、3割負担で20万円程度の費用が必要とされています。

もちろん、高額療養費制度を使用することで自己負担は抑えられ月9万円程度(標準的な収入の場合)です。

しかし、転移や再発した場合、数ヶ月間にわたって限度額いっぱいの金額を自己負担する必要になることもあります。

さらに、ステージ4の胃がんでも完治できる統合医療を組み合わせるとなると、自己負担が増えますが、治る可能性が非常に高くなります。

内視鏡治療

内視鏡治療

一般に、ステージ1の胃がんの場合に用いられるのが内視鏡による治療です。

胃カメラを使って、胃がんを取り除く治療方法で内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と呼ばれます。

粘膜切除術(EMR)は、胃がんの大きさが約2cmのときに採用され、粘膜に発生したがん細胞を粘膜下層から、ワイヤーと高周波電流、生理食塩水を使って切除します。筋層より下の組織には障害を与えませんので、胃に穴を開けることを防ぐことのできる術式です。

粘膜下層剥離術(ESD)は、内視鏡を使って胃がんを粘膜下層から剥がしとる方法です。胃がん細胞の周囲に電気メスなどでマーキング、粘膜下層に生理食塩水などを注入、大きくなった部分を切除していきます。

発見された1年目の総額が12万円程度、2年目以降が年3万円程度になります。

胃がんの内視鏡治療を入院ではなく、外来(日帰り手術)で行う場合は、さらに安くなります。

手術

手術

胃がんの手術には、開腹して行う方法と腹腔鏡を使って行う方法があり、胃がんの状態により使い分けて胃がんを摘出します。

腹腔鏡下手術はロボット支援で行われることもあり、お腹を切る大きさが少ないため、低侵襲手術とも呼ばれます。

腹腔鏡下手術は、体に負担が少ない、術後の痛みが少ない、早期回復が期待できるなどメリットが多いため適応となる例が増えています。

腹腔鏡手術では開腹手術の場合と比べて治療費が高額なのですが、高額療養費制度の利用により1年目は11万円程度、2年目以降は年3万円程度の費用感となります。

胃の切除手術の場合、1年目43万円程度、2年目以降は年5万円程度の費用感になります。

薬物療法

薬物療法

胃がんを手術では取り除けない場合や、胃がんの手術後、場合によっては手術前に行われるのが抗がん剤による薬物療法です。

胃がんに対する薬物療法といっても、胃だけに作用するのではなく全身に対しての治療となります。

どのお薬を使うのかによっても費用は変わり、例えば、手術後の再発予防のために行う抗がん剤による治療では、3割負担で26万円程度の自己負担。進行がんでHER2というタンパク質が、がん細胞の表面に出ている場合は、分子標的薬トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)が用いられ、3割負担で約138万円(高額療養費制度の利用により軽減されます)です。

放射線治療

放射線治療

がんと聞くと放射線治療も選択肢のひとつと考えてしまいますが、胃がん細胞は放射線にあまり反応しません。

また、胃の周囲にあるがんではない臓器は放射線に弱いため、切除(手術)できない進行がん、抗がん剤が効かない胃がん、再発した胃がんなどに対する補助的な治療法として使用されます。

費用は使用する放射線の強さ、方法、保険適応の有無などで変化し総額で40万円〜300万円とかなり幅があります。

統合医療・自然療法

統合医療・自然療法

早期胃がんから、末期の胃がんまで幅広く、体にも負担のない治療が可能なのが、統合医療です。

多くの医師は統合医療のことを全く知らず、証拠(エビデンス)や論文を読まずに効果のないものと決めつけていますので、医師からすすめられることは非常に稀です。

実際のところ、多くの方が統合医療を選ぶことで、胃がんの苦しさや、治療の辛さなどから抜け出せるだけではなく、胃がんそのものが治癒しています。

どのように取り組むかで費用は大幅に変化しますが、多くの場合、数十万円の追加負担で済みます。

手術を受けられない胃がんの対処法

手術を受けられない胃がんの対処法

胃がんに転移がみられるステージ4の状態になると、手術は適応外になり、抗がん剤による薬物療法を実施します。

抗がん剤の効きが良く、がんが縮小し手術が出来るようになった事例が多数報告されています。

「手術を受けられないから、もうダメだ」と諦めてしまう必要はありません。

一般的には、胃がんにはあまり効果が期待できないとされている放射線治療で、改善がみられるケースもあります。

さらに、西洋医学(通常の病院での治療)だけではなく、西洋医学と東洋医学、自然療法を組み合わせた統合医療の治療を受ける方法もあります。

手術を受けられないから、人生が終わるわけではないのです。

末期胃がんと食事 – 適切な栄養摂取

末期胃がんと食事 - 適切な栄養摂取

末期胃がんでも健康な方でも「食べる」ことは、人の根源的な欲求のひとつです。

生きる幸せを感じることですので、生活の質(QOL)の維持や向上のためには、食べることは非常に大切です。

末期胃がんになると、胃での消化が難しくなるだけではなく、全身の状態が悪化するため、食欲が低下し、栄養の吸収も悪くなってしまいます。胃がんの末期では、「食事はご本人が食べられるときに、食べられる量だけ食べる」ことが基本です。

ただし、食べ物の種類や症状により、食事に制限があることもありますので、事前に担当医に確認することが大切です。さらに、食べる体力もなくなっていることもありますので、食べやすい状態に調理するなど、大きさや硬さに注意するようにしましょう。

医食同源という言葉があるように、食事はとても大切ですし、元来お薬はハーブなどの薬草にもなる食べ物から作られました。健康食品になるか医薬品になるかは法的な定めで決まるだけのものです。

末期胃がんに限らず、胃がんではどのような食事が栄養補給に適切なのでしょうか。

がん細胞は、通常の健康な細胞と比べて、3〜8倍のブドウ糖(糖類)を取り込む性質を持っています。糖類をがん細胞が取り込みやすい性質を使って全身のがんの状態を検査するのがPET検査です。

古くからある伝統の栄養指導では、ブドウ糖が枯渇すると人は生きていけないとしていました。

糖質制限が一般的になったこともあり、ご存じの方が多いかと思いますが、ブドウ糖が枯渇するとケトン体という物質が体内で作られ、エネルギーにすることができます。

このケトン体をがん細胞はエネルギーにすることができません。一方、通常の細胞であればケトン体をエネルギーにすることが可能です。

糖質を控えめにし、ケトン体をエネルギー源とすることで、がんは縮小に向かうことが判明していますが、今までの食事メニューが大きく変わってしまうこと、切り替えに体力を必要とする、栄養のバランスが崩れると倦怠感が増すなどのデメリットがありますので、主治医と相談しながら、進めていく必要があります。

好きな食べ物が食べられなくなるのは、非常に辛いです。慎重に行うようにしましょう。

胃癌(胃がん)手術ができない場合や緩和ケアを勧めらた時の選択肢

胃の末期がんで、もうこれ以上手術ができないと言われたり、ターミナルケア(終末期ケア)を医師から勧められたのなら、現代医療ではこれ以上がん治療ができなくなったというサインです。

「現代医療で手を尽くしましたが、現代医療ではもう治療することはできません。もうすぐ死ぬから死ぬ準備をしてください」という意味としてもいいでしょう。

しかし、人生を諦める必要はありません。

在宅緩和ケアで訪問医療で胃癌治療にのぞむ

在宅緩和ケアで訪問医療で胃癌治療にのぞむ

在宅看取り(自宅で死にたい)を考えている方にとって、有望な選択肢のひとつで、現在増加傾向にあります。

ホスピスや緩和ケア病棟に入院し、在宅でも対処できる痛みになってから退院し、在宅(訪問医療・訪問介護)に切り替える方法もあります。

しかし、在宅で可能な治療は限られていることもあり、緩和ケア病棟(ホスピス)と似たような形での医療と介護となる可能性が高く、胃の末期がんが治癒するとは考えられません。

緩和ケア病棟へ入院して治療にのぞむ

緩和ケア病棟へ入院して治療にのぞむ

胃がん治療を諦め、意識を保ったまま人生の最後を幸せに過ごしたいのなら、緩和ケア病棟(ホスピス)への入院がおすすめです。

人生の最後を苦痛なく尊厳をもって迎えられるようにするのが緩和ケア病棟の役割ですから、積極的な治療や延命措置はせず、余命を如何にして過ごすのかということがメインとなります。

とはいえ、胃の末期がんで緩和ケアを受けずに過ごすのは、非常に痛みが強く辛い最後(痛みと苦しみの絶望の中、亡くなる)を迎えることになりますから、緩和ケア病棟への入院も選択肢のひとつとして考えておきましょう。

>あなたや家族が緩和ケア・ホスピスをすすめられた時の対処法と検討すべきこと

現代医療以外で統合医療も組み合わせて胃癌治療にのぞむ

現代医療以外で統合医療も組み合わせて肺癌治療にのぞむ

胃の末期がんで、緩和ケアを勧められても治る唯一の可能性が、統合医療です。

胃の末期がんでターミナルケア(終末期ケア)を医師から勧められたのなら、現代医療ではがん治療が不可能という意味ですが、がん治療を諦める必要は全くありません。

視点を広げた統合医療であれば治療する方法があるのに、現代医療(保険)では治療できないと統合医療を知らない医師が勝手に判断しただけです。

残念なことに、現代医療では施しようがない末期がんに対しての現代医療以外に対しての知見が乏しい、言葉を選ばず言うならば保健医療しか知らない医師に「これ以上の胃癌治療は不可」と判断されると、医師の権威性や医師に従うべきという心理が働き多くの方は諦めてしまいます。

統合医療を組み合わせれば治る可能性のある末期の胃がんであっても方法を知らずに、がんの治療を諦めて死を待つのは、誤った選択といっていいでしょう。

>末期がんも治る時代。末期がんで余命宣告されてから治る事例も多数

もし自分や家族が胃癌(胃がん)になった時の対処方法とは?胃癌に関するご相談、不安に関するご相談を受け付けております。

一般社団法人日本がん難病サポート協会では、胃の末期がんで治療法の選択に悩んでいる方、抗がん剤を使用したくない方に対してのご相談を受け付けております。自分に合ったがん治療に対する向き合い方や治療法に出会うお手伝いを全力でサポートさせていただきます。

胃癌(胃がん)に関するよくある質問

Q1:胃がんステージ4からでも治りますか?

A1:胃がんステージ4から、完全にがんが検出できなくなった状態まで治る可能性があります。

一般的には、胃がんのステージ4の5年生存率は約7%ですが、統合医療など治療法の進歩により改善していくことが考えられています。

Q2:胃がんの末期症状で手術できないと言われました。どうしたら良いでしょうか?

A2:胃がんが末期症状のとき、いくつかの選択肢があります。がんの治療を諦めて緩和ケアを中心にする、薬物療法をメインに行う、統合医療に切り替えるなどの方法があります。

Q3:胃がんのステージ4の末期から完治できる確率はどのくらいですか?

A3:現在、胃がんステージ4の5年生存率は約7%とされていますので、100人中7人は末期胃がんから完治していると考えてよいでしょう。

Q4:胃がんの手遅れの症状は?

A4:末期胃がんなのに、自覚症状がほぼ無い方もいらっしゃいますが、急激な体重減少などは手遅れになってしまう可能性があります。胃の痛みや胸やけなどの症状がある場合は、大至急、検査を受けるようにすることが大切です。

Q5:ステージ4の胃がん末期の生存率、余命は?

A5:一般的な治療(標準治療)を選択した場合、生存率は約7%で、余命は数か月です。しかし、統合医療など標準外の治療に切り替えることで、生存率は確実に上昇し、余命も伸びていきます。

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