ケイマン・スキームを利用した日米の投資家向けヘッジ・ファンド組成の指南

ファイナンス
范 宇晟弁護士 Harneys法律事務所

目次

  1. はじめに
  2. ゴールデン・スタンダードたるケイマン籍ファンド
    1. 租税中立性
    2. コモンローをベースによりビジネス・フレンドリーに発展
  3. 投資ビークルおよび基本的なストラクチャー
    1. ケイマンにて利用可能な投資ビークルの種類
    2. 免除会社およびユニット・トラスト
    3. 日米の投資家へ同時に訴求するマスター・フィーダーストラクチャー
  4. ミューチュアル・ファンド法
    1. 4条3項ファンドの登録要件
    2. 継続要件
  5. その他ファンド関連の主要規制法
    1. 反マネーロンダリング法(Anti-Money Laundering: AML)
    2. 金融口座に関する自動的情報交換(Automatic Exchange of Information: AEOI)
    3. 実質的所有者法
    4. ケイマン・データ保護法
    5. 証券投資事業法
    6. 経済実体法
  6. ファンド組成までの基本的な流れ
    1. 投資ビークルの初期設立
    2. 関連書類のドラフトおよび交渉
    3. 4条3項ファンド登録および上記各ケイマン法の対応
    4. ローンチ/クロージング
  7. ファンドの各関係者
    1. 税務アドバイザー
    2. 各法カウンセル
    3. ファンド・アドミニストレーター
    4. プライム・ブローカー/カストディアン
    5. 監査人
  8. おわりに

はじめに

 東京都は国際金融センター東京の実現に向けてさまざまなプロジェクトを推進しており、将来の東京市場の活性化に寄与する資産運用業者を増やすことを目的とし、独立系の資産運用業者の開業を支援している 1
 ファンドの準拠法としては、圧倒的にケイマン籍が多く、新興のファンド・マネージャーにとってもケイマン・スキームを使うことが第一の選択肢としてあげられる。
 そこで、本稿では、大手オフショア系法律事務所のパートナー弁護士である筆者が、ケイマン・スキームを利用した日米投資家向けのヘッジ・ファンド組成について概説する 2

ゴールデン・スタンダードたるケイマン籍ファンド

 ケイマンは主たる投資ファンドの法域として、世界各国のファンド・マネージャーおよび投資家に好まれている。ケイマンがファンドにおいて際立った存在感を有していることについては、たとえば下記の理由があげられる。

租税中立性

 ケイマンは非課税であり、ケイマン・エンティティにはいかなる課税(法人税、キャピタルゲイン税、所得税、源泉徴収税、資産税および相続税等)もなされない。
 これにより、ケイマン・ビークルを利用することで生じる追加的な課税は一切ない。

コモンローをベースによりビジネス・フレンドリーに発展

 ケイマン法はグローバル・スタンダードである英国コモンローを基礎としつつ、より柔軟な対応を可能としている。

(1)より柔軟なストラテジーの選択が可能

 たとえば、アセット・タイプについて制限がなく、円建て・外貨建てのいずれでもファンド持分 3 を保持でき、余剰利益のみならず、持分額から利益配当する、いわゆるたこ足配当ができる。これにより、毎月分配型のファンド、為替オーバーレイやカバードコール戦略をとるファンド等の設定ができる。

(2)スピード感

 投資ビークルの設立自体は1−2営業日で可能である。規制当局であるケイマン金融庁(Cayman Islands Monetary Authority、以下「CIMA」という。)へのファンドの登録も数週間で完了する。

(3)先端的な規制フレームワーク

 ケイマンは早期に強固なKYC(Know Your Client)、AML(Anti-Money Laundering)の立法・施行を行い、グローバルで採択されているFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)、CRS(Common Reporting Standard)にも参加し、OECDやEUの要請にも協調的であり、可能な限りOECD/EUスタンダードの法体制に合わせようとしている。
 これにより、(特に機関)投資家は自身のステークホルダーに対してケイマンを利用することを正当化しやすい。

(4)「ケイマン」というブランド

 ケイマンは主たる国際金融センターとしての地位を築き、オフショアのゴールデン・スタンダードであることから、ケイマン・スキームはファンド・マネージャー/投資家の共通認識となっている。ファンド・マネージャーは投資家に対して「なぜケイマンか?」を説明するという追加的な負担を負わない。

(5)適切な紛争処理機関および高度人材のプールが豊富

 紛争は、非常に経験豊富かつ洗練された裁判官(多くは英国本国にて高等法院以上の裁判所判事を経験)により審理され、本国ロンドンの枢密院が終審裁判所となり、本国と同水準レベルで紛争処理がなされることを期待できる。
 著名なケイマン法を取り扱う法律事務所は、主に香港・シンガポールオフィスを通じて、アジア・タイムゾーンのクライアントにタイムリーにサービスを提供している。所属弁護士は、多くが英国マジックサークル等の一流ファームからリクルートされたコモンウェルス圏 4 の有資格者であり、英語のみならず流ちょうなアジア言語にて対応可能な者も多い 5
 主要な会計事務所はケイマンオフィスを持ち、アジア主要都市のオフィスと協力して税務、監査等のサービスを提供している。

投資ビークルおよび基本的なストラクチャー

ケイマンにて利用可能な投資ビークルの種類

 ケイマン・ビークルとしては、以下のような種類がある 6

  • 免除会社(Exempted Company)
  • 免除リミテッド・パートナーシップ(Exempted Limited Partnership: ELP)
  • 分離ポートフォリオ会社(Segregated Portfolio Company: SPC)
  • LLC(Limited Liability Company)
  • ユニット・トラスト(Unit Trust)

 世界的な潮流としては、オープンエンド型のヘッジ・ファンドについては、免除会社が主要な投資ビークルとして選択される 7。他方で、日本では後述の理由からユニット・トラストが最も人気を博している 8
 そこで、本稿では、免除会社およびユニット・トラストについて解説する。

免除会社およびユニット・トラスト

(1)免除会社

 ケイマン会社法は英国会社法を基礎とし、その性質は世界各国で設立されるいわゆる “(株式)会社” に類似しているが、さまざまな面で他法域の会社に比して柔軟な制度設計が認められる。
 免除会社のステータスを有する会社については、取締役をケイマン居住者に限定する、年次取締役会/株主総会をケイマン領域内で開催しなければならないといったローカル要件はなく、ファンド・マネージャーが自身の居住地から操作することが容易である。
 投資ビークルたる免除会社は議決権を有するマネジメント株式(Management Share)とこれを有さない参加株式(Participating Share)を発行し、投資家は参加型株式を取得することになる 9

(2)ユニット・トラスト

 ユニット・トラストは、1925年英国信託法を実質的に基礎とするケイマン信託法 10 に基づく。そのコンセプトは、投資家が、信託証書(Trust Deed)に基づき、ユニット・ホルダー(Unitholder)としてその資金を信託の形態で受託者(Trustee)に出資してプールし、その対価として出資額に応じたユニットが発行され、利益分配 11 に預かるものである。
 ユニット・トラストが特に日本のファンド・マネージャーおよび投資家に好まれるのは、歴史的に用いられてきた、日本の投資信託との類似性がある、会計上や税務上のメリットがある、といった理由があげられる。
 いわゆるアンブレラ型ユニット・トラストが一般的であり、これは各サブ・トラストに共通する部分をくくりだした信託証書の「ひな形」としてマスター・トラストを作成し、これを各サブ・トラスト設立の際に貼り付けることでドラフティングの手間・時間を省略できるものである 12

日米の投資家へ同時に訴求するマスター・フィーダーストラクチャー

 日本の投資家をターゲットとする場合、投資家資金を吸収する投資ビークルはユニット・トラストを用いるのが第一選択肢となろう。他方で、ユニット・トラストは米国をはじめ他国の投資家に対しては決して一般的であるとはいえず、米国投資家への訴求には向かない。また、米国投資家については、米国税務および規制法上の要請から、一般的には米国エンティティへ直接投資する必要が生じ、多くの場合はデラウェア州準拠のLLCやリミテッド・パートナーシップが投資ビークルとして選択される 13。これに対し、日本の投資家は、不必要に米国税務、法務または規制の問題に引き込まれないよう、米国投資家と同一の投資ビークルへ投資することは控えたい。
 そこで、日米の投資家へ同時に訴求するためには、いわゆるマスター・フィーダーストラクチャーを選択することが多い(以下のストラクチャー図を参照されたい)。

スタンド・アローン(日本投資家向け)

Standalone(Japanese Investors)


マスター・フィーダー (日米投資家向け)

Master-Feeder(Japanese and US Investors)

 フィーダー・ファンドとは、メインに投資を行うファンド(マスター・ファンド)に投資することを唯一の目的として作られたファンドであり、日本および米国の両フィーダー・ファンドに集められた投資家資金をまとめてマスター・ファンドに集め、投資対象への投資はマスター・ファンドから一括して行うことになる 14
 また、一般的 15 には投資マネージャー 16 17 を選任し、投資ビークルの取締役会はその投資意思権限を投資マネージャーに委任する 18

ミューチュアル・ファンド法

 オープンエンド型ファンド、すなわち、投資家が任意に償還可能なファンドは原則としてミューチュアル・ファンド法の規制に服する。同法において、ミューチュアル・ファンドは、「会社、ユニット・トラスト、パートナーシップで[投資家の意思で償還可能な:筆者注]エクイティ持分 19 を発行し、その目的・効果は投資リスクを分散すべく投資家資金をプール 20 し、投資家をして投資対象の取得、保持、運用または処分により利益を得せしめるもの」21 と規定されている 22
 圧倒的多数のヘッジ・ファンドはミューチュアル・ファンド法4条3項に基づく登録(「4条3項ファンド」)であり、本稿の解説ではこれに限定する。

4条3項ファンドの登録要件

(1)投資可能な投資家

 各投資家は、その最低初期投資額が100,000米ドルまたはそのエクイティ持分が、CIMAが認可する証券取引所に上場していなければならない。

(2)目論見書のファイリング

 CIMAが定める必要的記載事項 23 を開示する必要があり、原則として①募集対象となるエクイティ持分の重要事項、②その他投資家のインフォームド・コンセントに資する重要事項が対象となる。

(3)関係書類の提出

 目論見書にくわえ、主として以下の書類の提出が必要である。

  1. CIMAへの申請書
  2. ビークルの認証書類 24
  3. ビークルの基本規定 25
  4. 監査人の同意書
  5. ファンド・アドミニストレーター(あれば)の同意書
  6. ストラクチャーチャート
  7. AMLオフィサーの詳細(CV等)

継続要件

(1)取締役に関する制限

 取締役 26 はフォーアイズ原則により、2名の自然人 27 が必要であり、各取締役は関連法 28 に基づき、CIMAへの事前登録を行い、これを継続する必要がある。

(2)ケイマン・ローカル監査人による監査

 各事業年度終了から6か月以内 29 に、監査済み報告書をCIMAに対して提出することが必要である。
 財務書類は、国際財務報告基準(IFRS)または日本、日本、スイスもしくはその他非高リスク国において一般的に認められている会計基準(GAAP)に従って作成および監査する必要がある。

(3)NAV計算

 純資産価値(「NAV」)計算 30、ファンド資産の分離管理 31 等につき、関連するCIMA基準を遵守する必要がある。

(4)重要事項の届出

 目論見書につき重要事項の変更が生じた場合、21日に以内にこれをCIMAに報告しなければならない。

(5)年次報告および年会費の支払い

 毎年ファンド年次報告を提出し、1月15日までにCIMAの年会費 32を支払う必要がある。

その他ファンド関連の主要規制法 33

反マネーロンダリング法(Anti-Money Laundering: AML)

 ケイマン・ヘッジ・ファンドはケイマン法において求められるAMLに適合する必要があり、投資家についてはリスクベースでの評価が必要であり、適格なAMLオフィサーを選任する必要がある 34

金融口座に関する自動的情報交換(Automatic Exchange of Information: AEOI)

 ケイマンはAEOI体制に服しており、ほぼすべてのケイマン・ヘッジ・ファンドは、米国との関係でFATCA、その他の国との関係でCRSに適合する必要があり、AEOIの登録、投資家の関連情報につきデューデリジェンスおよびケイマン税務情報局(Cayman Tax Information Authority: TIA)への報告を行う必要がある 35。TIAはかかる情報を関連する対象法域の税務当局へ自動的に報告する 36

実質的所有者法

 会社、LLCについては、免除要件に該当しない限り、そのエクイティ持分の25%以上を直接的・間接的に保有する者について、当局に報告する必要がある。

ケイマン・データ保護法

 いわばケイマン版GDPRであり、投資家からの個人情報取得およびその利用につき、インフォームド・コンセントを得る必要があり、個人情報を適切に処理しなければならない。

証券投資事業法

 ケイマンにおいて設立または登録されている証券の運用を行う投資マネージャーおよび証券の助言を行う投資アドバイザーについては、原則としてCIMAに登録し、その継続要件を遵守しなければならない 37

経済実体法

 「該当事業」を行う「該当事業体」については、ケイマン領域内において経済実体創出しなければならず、かつこれをケイマン当局に報告する必要がある。投資ファンドは該当事業体の定義から明示的に排除されており、ファンド・ビークルをケイマンにおいて保有することのみをもってケイマンにおいて経済的実体を創出すべき必要性はないという点は注意されたい。
 ファンド・マネージャーとの関係では、法的拘束力を有する投資意思決定を行う投資マネージャーがこれに該当すること、および法的拘束力を有しない助言のみを提供する投資アドバイザーがこれに該当しないことが重要である 38

ファンド組成までの基本的な流れ

 以下、日本の投資マネージャーを利用したスタンド・アローンタイプの典型的なヘッジ・ファンドについて解説する 39。本稿においては、関連する日本法については触れないため、適宜日本法弁護士に相談されたい。

投資ビークルの初期設立 40

 投資ビークルの設立そのものについては、数営業日 41 で設立の認証を取得できる。ファンド名義での銀行口座開設等総務的な作業の必要性から、多くの場合はクロージングの数か月前から先行して設立が行われる。

関連書類のドラフトおよび交渉

 主たる関係書類は下記のとおりである。

  • 目論見書
  • 実質的な基本規定
  • エクイティ持分についてのサブスクリプション契約
    サブスクリプション契約については、基本的には、各ファンド・アドミニストレーターのテンプレートを利用する。
  • サイド・レター
    ある投資家により有利な特権を設定する際に必要となる。
  • その他各種契約
    必要に応じて、投資マネジメント契約、投資アドバイザリー契約、ISDA契約、および各アウトソーシングを引き受ける各サービス・プロバイダーとの契約を締結する。

4条3項ファンド登録および上記各ケイマン法の対応

 上記のとおり、4条3項ファンド登録および上記各ケイマン法について対応する。

ローンチ/クロージング

 投資ファンドが実際に投資家を受け入れる。

ファンドの各関係者

 ファンド組成における主要な関係者は下記のとおりである。

税務アドバイザー

 ファンド・ストラクチャーは基本的にタックス主導で描かれる。税務の最適化は最重要事項であり、適切な税務アドバイザーがストラクチャリングを引っ張っていくのが通常である。

各法カウンセル

 オフショア・ファンドの仕組みに通暁している日本法カウンセルおよび日本の商慣習・ファンド実務に理解のあるケイマン法弁護士を選任するのが望ましい。
 また、米国投資家への訴求を考えている場合、適切な米国法カウンセルは不可欠である。

ファンド・アドミニストレーター

 ファンド・アドミニストレーターはファンドの存続期間にわたり、AML/KYCチェック、AEOIのレポーティング等の規制法の対応ならびに取引の記帳、NAVの評価および投資家へのレポート等の各オペレーションをサポートする。その重要性は往々にして過小評価されがちであるが、適切なファンド・アドミニストレーターはファンド・マネージャーのオペレーションの負担を和らげ、投資活動に専念させることができる。

プライム・ブローカー/カストディアン

 プライム・ブローカーは、有価証券の貸付けやレバレッジに必要な融資のアレンジを含めヘッジ・ファンドの日々のトレーディングをサポートし、しばしばファンド資産を独立管理するカストディアンを兼務する。また、ヘッジ・ファンドの立ち上げ支援や投資家紹介等も行う。ファンド・マネージャーにとって、プライム・ブローカーと適切な関係を構築・維持していくことはきわめて重要であるといえる。

監査人

 4条3項ファンドをはじめ、ミューチュアル・ファンド法の規制対象ファンドは、CIMAが認可するケイマンのローカル監査人による監査を毎年受け、これをCIMAに提出する義務を負う。いわゆる4大監査法人は、アジア・オフィスとケイマン・オフィスが内部でリエゾンすることによってこれに対応している。

おわりに

 ケイマン・スキームを利用した新興ファンド・マネージャーのヘッジ・ファンド組成の概略は上記のとおりであり、本稿を通じて国際金融センター東京の実現に貢献できれば幸いである。


  1. PR TIMES「資産運用業者向け独立開業支援セミナー「Tokyo独立開業道場」開催について」(2021年10月5日、2021年10月28日最終閲覧) ↩︎

  2. 本稿ではケイマン法についてのみ述べる。日本における投資運用業の登録等については別途日本法専門家の意見を参照されたい。 ↩︎

  3. ビークルによって株式、LP持分、ユニット等異なる。 ↩︎

  4. 英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、南アフリカが代表的である。 ↩︎

  5. 多くの場合は中国標準語や広東語であり、ビジネスレベルで日本語によるコミュニケーションが可能な者は現時点では限られている。 ↩︎

  6. 各ビークルの特徴については、拙稿「ケイマン籍ファンドの実務‐ケイマン・ユニット・トラストを中心に」金融法務事情2134号30頁および拙稿「海外籍(ケイマン)ファンド概説(1)(2)(3)」国際法務事情47巻12号1479頁、48巻1号36号および48巻2号179頁を参照されたい。 ↩︎

  7. 投資家の入れ替わりが頻繁であり、各種類株式によって画一的に処理できることがメリットであろう。 ↩︎

  8. ただし、必然性はなく、オープンエンド型パートナーシップやクローズドエンド型免除会社も可能である。 ↩︎

  9. 投資家への利益分配については、一般に剰余金配当より株式の自己取得/償還による投下資本の回収が基本的である。 ↩︎

  10. その後改正を含む ↩︎

  11. あるいは損失を負担する ↩︎

  12. あくまで「ひな形」を便宜上マスター・トラストと称しているのに過ぎず、前述のマスター・フィーダーストラクチャーのように別個の投資ビークルがあるわけではない。 ↩︎

  13. この点については、適切な米国法弁護士に相談されたい。 ↩︎

  14. これにより、別々に投資を行う場合より大きなファンド・サイズで投資が可能である。また、オペレーション・コストを下げることができる。 ↩︎

  15. 無論、理論上は投資ビークルの取締役会が自身でその投資意思決定を行うことが可能である。 ↩︎

  16. 投資マネージャーの意思決定は法的拘束力がある投資一任契約である。 ↩︎

  17. 日本の新興ファンド・マネージャーであれば、日本の投資マネージャーを選択するのが通常であろう。この点については、適切な日本法弁護士に相談されたい。 ↩︎

  18. さらには、かかる投資マネージャーに対して法的拘束力を有さない助言を行う投資アドバイザーを置く場合も多い。 ↩︎

  19. 該当するエクイティ持分はredeemable or purchasable at the option of the investorと定義される。PE/VCファンドのような、非流動資産へ投資する、いわゆるクローズド・エンド型は別途プライベート・ファンド法の規制に服する。 ↩︎

  20. そのため、単独投資家しかいないファンドはこの定義に該当しない。 ↩︎

  21. a company, unit trust or partnership that issues equity interests, the purpose or effect of which is the pooling of investor funds with the aim of spreading investment risks and enabling investors in the mutual fund to receive profits or gains from the acquisition, holding, management or disposal of investments ↩︎

  22. マスター・ファンドは必ずしもこの定義に該当しないが、典型的なマスター・フィーダーストラクチャーにおけるマスター・ファンドはみなし規定によりミューチュアル・ファンドとされる。 ↩︎

  23. CIMA 「Rule Contents of Offering Document - Regulated Mutual Funds」 ↩︎

  24. 免除会社ではCertificate of Incorporationがこれに当たる。 ↩︎

  25. 免除会社では定款、ユニット・トラストでは信託証書がこれに当たる。 ↩︎

  26. 税務やコンプライアンス等諸事情の要請から、サービス・プロバイダーから斡旋された独立取締役を取締役会の過半数とすることが多い。独立取締役は、基本的に会計士や弁護士のバックグラウンドが多く、基本的にはビジネス判断の意思形成過程が関連法、基本規定の規定を遵守しているか否かという手続面の審査を行うのみであり、これが適正であれば、ビジネス判断そのものについてはマネージング・ディレクターたる取締役の意思決定を尊重するのが通常である。 ↩︎

  27. あるいは法人取締役の取締役を通じて間接的にこれを達成する。 ↩︎

  28. Directors Registration and Licensing Act ↩︎

  29. CIMAはその裁量による期間延長ができる。 ↩︎

  30. CIMA「Rule Calculation of Assets Values-Regulated Mutual Funds」 ↩︎

  31. CIMA「Rule Segregation of Assets - Regulated Mutual Funds」 ↩︎

  32. 2021年10月1日現在、約4,300米ドルとなっている。 ↩︎

  33. より詳細な解説は拙稿「海外籍(ケイマン)ファンド概説(3)(4)」国際法務事情48巻2号179頁および同巻6号751頁を参照されたい。 ↩︎

  34. AMLチェックはファンド・アドミニストレーターへ委任され、AMLオフィサーも外部専門家へアウトソースすることが通常であるため、詳細はここでは触れない。 ↩︎

  35. AMLと同様に、基本的にはファンド・アドミニストレーターに委任することが通常であるため、詳細はここでは触れない。 ↩︎

  36. たとえば、香港居住民についてはHKIRD、イギリス居住民についてはHMRC、日本については国税庁へ関連情報が報告される。 ↩︎

  37. 上述のとおり、日本の新興ファンド・マネージャーにおいては、日本に投資マネージャーを置くのが通常であり、あえてケイマンの投資マネージャー、投資アドバイザーを置く必要性に乏しいと思われ、本稿ではこれ以上の詳細について触れない。 ↩︎

  38. そのため、投資マネージャーか投資アドバイザーかという点は決定的に重要である。 ↩︎

  39. ストラクチャーの複雑さ、投資家との交渉の程度等によりケース・バイ・ケースであるが、ローンチに至るまで3−6か月が通常見込まれる。 ↩︎

  40. ここで用いられる基本規定等は、単に設立することのみを目的としたテンプレートを用いるのが通例であり、実質的な条項はない。 ↩︎

  41. 通常設立で4−6営業日、追加費用を支払うエクスプレス設立で1−2営業日が通常見込まれる。 ↩︎

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