セールスフォース、出資先の株価急落が利益圧迫。monday.com、nCino…企業向けクラウド有望株が苦境

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セールスフォース(Salesforce)がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じて出資してきたクラウドソフトウェア企業が軒並み株式市場の低迷の影響で苦しんでいる。

Sundry Photography/Shutterstock.com

米顧客情報管理システム大手セールスフォース(Salesforce)のベンチャーキャピタル部門はこれまで、クラウドソフトウェア分野の前途有望なスタートアップに資金を投じ、利益を生み出し続けてきた。

ところが、年初来のバリュエーション(=企業価値評価)低下の波は上場、非上場を問わず多くの企業を飲み込み、クラウドソフトウェア分野も大きな打撃に見舞われている。セールスフォースの投資先もその例に漏(も)れず、同社のボトムライン(=最終損益)にしわ寄せがおよぶ可能性が出てきている。

セールスフォースは米証券取引委員会(SEC)に提出した最新の年次報告書(2022年1月末までの1年分)に、投資先の企業価値が10%下落すると、同社の投資ポートフォリオが最大1億6500万ドルの毀損(きそん)を受けるおそれがあると記載している。

この問題について、JMP証券アナリストのパット・ワラベンスは最近の顧客向けコメンタリーで、セールスフォースのベンチャー投資を通じて得られる収益は現在の市況を踏まえると目減りする可能性が高く、他の収入源を探す必要があると指摘する。

Insiderは最近の記事で、セールスフォースが一部のポジションについて採用の先送りや募集の一時凍結を決めたことを報じたが、それも含めてワラベンスは以下のように分析する。

「景気後退入りが間近だと分かれば、営業部門向けのソフトウェア銘柄は手放し、エクスポージャー(=特定のリスクにさらす資産の割合)を分散させるのは当然で、もちろん一部の支出を取りやめるのも理にかなっています。

この環境下で自社の株価を引き上げようと思うなら、まずは利益率を上げることです」

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