アメリカのトランプ大統領(2020年8月15日、ニュージャージー州ベドミンスター)。
REUTERS/Sarah Silbiger
- アメリカのトランプ大統領は、郵便投票に固執し、どうすればアメリカ人の郵便投票を「ブロック」できるかで頭がいっぱいだとワシントン・ポストが報じた。
- トランプ大統領は、郵政公社(USPS)はさらなる資金援助を受けるべきでなく、そうすれば人々は郵便投票できなくなると主張している。
- 郵便投票は広範囲にわたる不正を可能にすると大統領は主張しているが、選挙当局はこれを否定している。
- 元大統領のバラク・オバマ氏やビル・クリントン氏を含む民主党陣営は、トランプ大統領が郵便投票を攻撃することで投票を抑制しようとしていると批判している。
トランプ大統領は郵便投票に固執し、どうすれば郵便投票を「ブロック」できるか、その方法を見つけるためにかなりの時間を割いていると、ある政府高官がワシントン・ポストに語った。
この政府高官によると、大統領は「郵便投票に関する報道やその他の資料を読み、この件について自身の顧問と話し合い、こうした投票をブロックする方法を考える」ことにかなりの時間を使っているという。
トランプ大統領は最近、共和党議員らと会い、ニュージャージー州で起きた不正を例に挙げ、自身の懸念を伝えたと、同紙は報じている。ただ、選挙の専門家は、こうした不正が起きるのはまれで、不正を防止するための既存の措置がいかに効果的であるかをNPRに語っている。
ホワイトハウスのサラ・マシューズ副報道官は、ワシントン・ポストへの声明文の中でトランプ大統領は「わたしたちの選挙の安全と公正を確保するために」取り組んでいると、大統領を擁護した。
「全てのアメリカ人が公正かつ公平な選挙システムを保障されるべきだ。トランプ大統領は民主党の郵便投票を進めるためのプランが不正につながるだろうと強調している」とマシューズ副報道官は言う。
新型コロナウイルスの流行を受け、2020年は郵便投票の数が大幅に増えると予想される中、トランプ大統領はここ数週間、郵便投票に対する批判を強めてきた。
伝統的に、郵便投票は共和党よりも民主党にプラスになると見られているが、最近では複数の研究がこの見方に疑問を呈している。
トランプ大統領は郵便投票が広範囲に及ぶ不正にさらされると主張し、民主党が新型コロナウイルスの支援策の一環として要求する郵政公社への補助金を拒否している。
一方、郵便投票は大規模に改ざんされる可能性があるという主張には、全く根拠がないと専門家たちは言う。民主党陣営は、選挙結果を操作するために大統領が数千という数の投票の合法性を認めない、または投票を抑制しようとしていると批判している。
トランプ大統領は、2016年の大統領選の一般投票で民主党のヒラリー・クリントン候補が自身を上回ったのは不正投票のせいだなどと、郵政公社に対して以前から敵意を見せていたと、ワシントン・ポストは伝えている。
(翻訳、編集:山口佳美)