渡辺淳一(作家)

渡辺淳一(作家)
数々の名作を発表し、人々を魅了し続けた偉大なる作家たちに注目。日本文学を彩った作家たちの原点とは何なのか。彼らが作家となるまでの過程を紐解く。第2回では、直木賞作家・渡辺淳一の原点となった恋愛と恋人の死、そして医師と作家の二足のわらじから作家として自立するまでを、渡辺の娘や担当編集者のインタビューを交えて紹介する。
  • 作家シリーズ 第2回(12月13日放送)
    「偉大な小説家の原点②」

    40年以上の作家生活で「阿寒に果つ」「失楽園」などを発表し、1970年には「光と影」で第63回直木賞を受賞した渡辺は、1933年に北海道で誕生。中学の時から短歌で文才を発揮し、同人誌に掲載されるなど作家としての片鱗を見せる。高校に進学すると、天才少女画家として注目され、肺結核を患っていた同級生の純子と出会い恋に落ちる。初めての恋にのめり込むが、純子は突然消息を絶ち、数ヵ月後に阿寒湖近くで遺体となって見つかる。この出来事が渡辺の作家人生に深い影響を与え、40歳の時にこの体験が基となった「阿寒に果つ」を発表。以後、「氷紋」や「愛の流刑地」などの恋愛小説を執筆するように。また、当初は医師と小説家の2つの顔を持っていた渡辺。しかし、日本初の心臓移植が行われた際に医師として執刀医を支持するが、後に執刀医は刑事告発される事態に。渡辺はこの問題を重く受け止め、作家一本で生きていくことを決意。1970年には「光と影」で直木賞を受賞し、1976年には心臓移植問題を基にした「小説 心臓移植」を発表する。その後も「恋愛」と「死」をテーマに次々と作品を発表し続け、2003年に紫綬褒章を受賞する。