「王道へのコンプレックスが…」 ふかわりょう×カズレーザー、芸人らしくない二人が見つけた“戦い方”

対談・鼎談

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世の中と足並みがそろわない

『世の中と足並みがそろわない』

著者
ふかわ りょう [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784101047812
発売日
2023/11/29
価格
649円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ふかわりょう×カズレーザー・対談「足並みがそろわなくたって、いいんじゃない」

[文] 新潮社


ふかわりょうさんとカズレーザーさん

ふかわりょう×カズレーザー・対談「足並みがそろわなくたって、いいんじゃない」

 幼少期から世間とのズレを感じてきたふかわりょうさんと、そんなふかわさんを「尊敬している」と公言するカズレーザーさんが対談で語った「王道へのコンプレックス」とは?

 ふかわさんのエッセイ集『世の中と足並みがそろわない』(新潮文庫)の発売を記念して、お二人の初対談を公開します。

※以下は『波』(2020年12月号)に掲載された記事をもとに再構成しました。日付や年齢は掲載当時のものです。

 ***

お笑いの教科書に載っていないこと

ふかわりょう(以下、ふかわ) 前から、カズさんと一度ゆっくりお話ししてみたかったんです。僕はカズレーザーという芸人さんは、テレビに出始めたときから今までずっと、お笑いの教科書に載っていないことをまき散らしている人だと思っていて。

カズレーザー(以下、カズ) え、初っ端からどういうことですか!?

ふかわ 僕個人の感想になりますが、今注目されている「第七世代」と呼ばれる芸人さんたちは、お笑いの教科書に載っていること、例えばボケとツッコミの役割分担や、バラエティ番組で話をするときの“お約束”などをしっかり自分のなかで吸収した上で、自分たちなりの新しいカラーを出して活躍していると思うんです。でもカズさんは金髪に上下真っ赤な洋服というキャラクターも含めて、芸人という一つのくくりを破壊して活躍の場を広げる、まったく新しい存在だと感じています。

カズ いきなりこんなに褒めて頂けるなんてめちゃくちゃ嬉しいから、ここで対談終わらせちゃってもいいですか?(笑)

ふかわ まだ帰らないで(笑)。カズさんの話には続きがあって。僕自身もへそまがりなところがあるので、結果が上手くいくかどうかは別として、これまでも今でも、教科書にないことをしたいという志で仕事をしてきた。だから、勝手にシンパシーを感じているという話なんです。

カズ 実は、愛の告白だったんですね(笑)。それにしても、ふかわさんがそんなふうに思って下さっているなんて感激しました。以前テレビで共演させて頂いたときにもお伝えしましたが、ふかわさんの仕事はふかわさんしかできない仕事ばかりで代わりがいない。大げさじゃなく、ふかわさんの生き方を僕は尊敬しています。

ふかわ なんか無理やり言わせちゃったみたいだけど(笑)。

カズ でもこれは本音で、お笑いの教科書に載っていないことにトライするという意味では、多分僕は、ふかわさんのコピーをやっているんです。今回のご本で「ポスト出川」事件の詳細を拝読し、改めてその思いを強めました。

ふかわ あ、「ポスト出川」事件!

カズ ふかわさんがデビューされて10年後の30歳の頃、出川哲朗さんから「ポスト出川は、お前だからな」と言われたことをきっかけに「いじられ芸」から今のお仕事へ舵を切ったこと。その結果、芸人としての仕事は減ったけれど、情報番組のコメンテーターやMCを務めるようになったということが、今の自分の状況とリンクして、とても共感しました。

ふかわ 正直言うと、あのエピソードは、文章で読むとちょっと格好良く感じられるかもしれないけれど、怖くて逃げだしただけなの。震えて逃げただけ……。

カズ 出川さんの後継者って大役すぎますもんね(笑)。それに、もしもあのままふかわさんが「いじられ芸」を極めていかれていたら、例えばロッチの中岡(創一)さんの現在の活躍はなかったかもしれないわけですから、お笑いの歴史が大きく動いた瞬間だったとも思います。

新潮社 波
2020年12月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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