日米比、初の3カ国首脳会談-中国進出念頭に海上訓練拡充で合意
Michelle Jamrisko、野原良明-
「日本とフィリピンを防衛する米国の決意は揺るぎない」と米大統領
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米は国際社会の「中心的役割」継続を、岸田首相が米議会で演説
岸田文雄首相とバイデン米大統領、フィリピンのマルコス大統領は11日(日本時間12日)、ホワイトハウスで初の3カ国首脳会談を開催し、自衛隊と米比両軍との海上共同訓練の拡充などで合意した。
フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海のアユンギン礁近くで、中国海警局の船がフィリピン船に衝突し、放水銃を発射するなど危険行為が相次ぐ状況を受け、今回の3カ国首脳会談では、海洋安全保障が最重要議題となった。
バイデン大統領は、東・南シナ海で威圧的行動を強める中国への懸念を念頭に日本、フィリピンとの「海洋・安全保障の関係深化」にコミットしていると発言。会談に先立ち、「日本とフィリピンを防衛する米国の決意は揺るぎない。南シナ海でフィリピンの航空機や船舶、部隊が攻撃を受ければ、相互防衛条約が発動される」と強調した。
岸田首相は「世界が複合的な危機に直面する中、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向け、同志国、同盟国との重層的な取り組みが重要だ」と述べた。
首脳会談後に発表された共同声明は「南シナ海における中国の危険かつ攻撃的な行動」に「深刻な懸念」を示し、「中国の東シナ海での威圧による一方的現状変更の試み」にも強い反対を表明した。
共同声明によれば、3カ国の人道支援・災害対応訓練を新たに立ち上げ、2025年に日本周辺で海上訓練を実施する。日米比にオーストラリアを加えた4カ国は7日に南シナ海で共同訓練を実施したが、海上自衛隊と米比海軍に他のパートナーも加えた共同訓練・演習を推進し、海上保安機関の合同訓練や海洋協議の設置も予定する。
さらに重要鉱物資源の信頼できるグローバルサプライチェーン構築を促すため、関連産業を支援し、フィリピンの民生用原子力計画を後押しするため、人材育成に関する3カ国の協力も強化する。
岸田首相が米議会で演説
首脳会談に先立ち、岸田首相は連邦議会の上下両院合同会議で演説し、自由と民主主義が世界中で脅威にさらされており、特に中国の対外的な姿勢や軍事動向は「国際社会全体の平和と安定」に対する前例のない挑戦だと述べた。
米国の支援や存在がなければウクライナの希望が消え、インド太平洋地域が厳しい現実に直面していたと指摘。国際社会で発生する問題への対処で、米国が中心的な役割を果たし続けることが必要だとも語った。
米国では、11月の大統領選を経て共和党のトランプ前大統領が再登板する可能性も指摘され、日米同盟の在り方に疑問符を投げ掛けてくることも予想される。岸田首相の議会演説は、選挙後も見据え、安全保障や経済など幅広い分野で協力が進む日米関係の重要性を米議会関係者に訴えかける狙いがあった。
原題:Biden Vows to Back Japan, Philippines as China Rattles Allies(抜粋)
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