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250億円の歴史的豪邸、香港の高級住宅需要試す-Open House

  • 香港の著名人たちと関わりある12ベッドルームの邸宅
  • ビクトリアハーバーの広大な眺望が楽しめる

香港のビクトリアピークにある有名な豪邸が13億香港ドル(約250億円)で売りに出された。中国経済の減速と金利急上昇で圧迫されている不動産市場の需要を試すものになる。

  ピークの東山腹にそびえ立つこの邸宅に、控えめなところはほとんどない。「ビショップスロッジ」として知られる広大な2階建て邸宅には、12室のスイートベッドルームがあり、屋内スペースは約1万1500平方フィート(約1070平方メートル)。敷地は広大で、土地の少ない香港では珍しく、敷地全体で約3万1500平方フィートを占めている。

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ビクトリアハーバーを見下ろす豪邸
Source: Savills (Hong Kong) Ltd.

  広さもさることながら、この邸宅の最大の売りはビクトリアハーバーを見渡す広大な眺望とその立地だ。建物は、ピークの切り立った側面に作られた100年前の狭い遊歩道、ルガードロード(盧吉道)の上にあり、マウントオースティンロード(柯士甸山道)からも車でアクセスできる。この建物は戦後に建てられたもののため、所有者は歴史的建築物を保護する規則を気にする必要はない。

  現在の所有者であるツィム・ウィン・コン氏は玩具産業で財を成した地元の実業家で、1999年にルガードロードA/B25、26番地にあるこの邸宅を1億5000万香港ドルで購入した。

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  この邸宅が売れるかどうかは高級不動産に対する買い手の需要を測る指標として注目されている。香港を含め海外で不動産を購入する中国本土の人々のセンチメントが弱く、規則が厳しくなっているため、一部の豪邸は売れていない。

  また、香港ドルが米ドルにペッグしているため、香港の金融政策は米国に連動しており、住宅ローン金利も上昇している。全体として、中古住宅価格は2021年の記録的高値から18%下落しており、アナリストは来年も下落が続くと予測している。

  ビショップスロッジの価格は1平方フィート当たり11万3000香港ドル。香港紙スタンダードによると、4月にはビクトリアピークのマガジンギャップロード(馬己仙峽道)にあるもっと大きな敷地が、50億香港ドル、つまり1平方フィート当たり約10万香港ドルという目標額の下限で落札された。

Hong Kong Peak
1900年ごろのビクトリアピークへの道。ビショップスロッジは右奥の丘にある
Source: London Stereoscopic Company/Hulton Archive/Getty Images

  ルガードロードの物件には歴史がある。「ピークサイド」と呼ばれた元の建物は1890年ごろに建てられ、2つの敷地に分かれていた。その2年前、近くにピークトラムが開通し、中心街からのアクセスが便利で速くなった。

  それ以前は、住民は急勾配で曲がりくねった道を椅子かごに乗り、クーリーに担がれ数百メートルも進まなければならなかった。やがて草に覆われた山間部に豪華な邸宅が建ち並び、ミッドレベルズ(半山区)に代わって高級住宅街としてエリートの憧れの地となった。

  最初の居住者は、香港の歴史ある企業の創設に貢献した2人だった。アーサー・ターナー氏は構造エンジニア(SE)で、建築事務所パーマー&ターナーを設立した1人。現在もP&Tグループとして存続しているこの事務所は、1935年のHSBC本社など香港で最も有名な建物の多くを設計した。

    隣人はゴッドフリー・マスター氏で、法律事務所ジョンソン・ストークス&マスターのパートナーだった。この法律事務所は2008年にメイヤー・ブラウンと合併し、アジア最大級の法律事務所となる。

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ルガードロード25番地のエントランス
Source: Savills (Hong Kong) Ltd.

  1898年、この土地は香港の英国国教会のジョセフ・ホーア主教に売却され、ビショップスロッジと改名された。主教が妻と6人の子どもと共に住んだロッジからはビクトリアの街並みが眼下に広がっていた。優雅な列柱の建物が建ち並び、埠頭(ふとう)はにぎわいを見せていた。汽船や軍艦、帆船、ジャンク、サンパンなどが港を出入りし、その向こうには九竜の丘と峰々が広がっていた。

  しかし1906年9月18日、主教はキャッスルピーク(青山)から香港島に向かって航行中、予期せぬ台風に遭遇し命を落とした。傷心の妻は1カ月後、子どもたちを連れて香港を去り、二度と戻ることはなかった。

VICTORIA PEAK
ピークからビクトリア市街を望む。1920年ごろ
Photographer: Lionel Green/Archive Photos/Getty Images

 

  それから間もなく、香港の大富豪ロバート・ホートン卿がこの土地を購入して貸し出した。香港で最も裕福な男、そして最大の慈善家として有名になったホートン卿は1906年、欧州人しか住むことのできないピークに住む許可を香港総督から与えられ、中国人として初めてピークに住むことになった。

  旧日本軍が香港に侵攻した1941年12月、ピークでの優雅な生活は突然終わりを告げた。短時間の戦闘が行われ、その間にビショップスロッジは砲撃で破壊されたと思われる。ピークの住人は、占領期間中、収容所で過ごすことになる。一説によれば、ホートン卿は1950年、この土地を政府に明け渡したという。

 

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ライトアップされたビショップスロッジ
Source: Savills (Hong Kong) Ltd.

  売買を仲介するサヴィルズ(香港)のディレクター、ジェーソン・ウー氏によれば、この物件は地元の一族や中国本土の富裕層、不動産開発会社からの関心を集めている。「大家族でプライバシーを確保したい人には最適だ」と同氏は語った。

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原題:Open House: Historic $166 Million Mansion Tests HK Luxury Demand(抜粋)

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