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盤石演出するプーチン氏、「滑稽」とロシアエリート層-不安強まる

  • プリゴジン氏の反乱、政権がいかに非効率で弱いかを露呈-関係者
  • それでもプーチン氏に代わる存在はいないとエリート層は認識
ロシアのプーチン大統領

ロシアのプーチン大統領

Photographer: SERGEI GUNEYEV/AFP

ロシアのプーチン大統領は今週、民間軍事会社ワグネルによる劇的な反乱の収束後も国内支配に揺るぎがないことを示そうとしている。

  だが、政府内や実業界幹部の有力者の多くはそう考えていない。

  ワグネルの部隊が車列を組んでモスクワまで一時200キロに迫り、首謀者のエフゲニー・プリゴジン氏らに罪を問うことなくベラルーシへの出国を許したロシアは「バナナ共和国」だと、1人は述べた。プーチン大統領の反乱への対応の誤りは、昨年のウクライナ侵攻の判断以上に衝撃的だったと話す者もいた。

Wagner
ロシア南部の都市ロストフナドヌーを一時占拠したワグネル戦闘員(24日)
Source: AP

  政権内部の関係者にとって、今回の反乱はプーチン氏がこれまで慎重に築いてきた「安定」を保証する存在だというイメージを跡形もなく打ち砕いた。70歳のプーチン氏はますます現実に疎くなり、かつてならできたような方法で事態を管理することが不可能になっていることを浮き彫りにしたと、複数の関係者は語った。関係者は注意を要する問題を話しているとして匿名を要請した。

  この関係者らによると、プーチン氏は支配体制を再び引き締めようとしているが、経済界や実業界の多くが2022年2月のウクライナ侵攻以来感じていた不安や警戒感を今回の混乱はいっそう強めたという。ロシア国内の弾圧強化につながる恐れもあると、一部は指摘した。

  「プリゴジン氏を制御できなくなりつつあることは明らかだったが、公に武装蜂起するまでには至らないと多くが考えていた。それが起きた」と、モスクワを拠点とする政治コンサルタントのエフゲニー・ミンチェンコ氏は説明。「エリート層は全員、自らの安全手段を構築しようとしている。力が物を言うことは、いまや明らかだからだ」と述べた。

  一部の関係者は、プーチン氏が事態を掌握しているように公の場で振る舞うのは滑稽に映るとし、政権がいかに非効率で弱いかという明らかな現実を上塗りしているだけだと語った。

  こうした不安な声にもかかわらず、エリート層はプーチン氏に代わる存在はいないとみていると、関係者は述べた。今回の衝撃を経てもプーチン氏を安定した指導者と見なす向きは多いという。戦争と制裁でエリート層は海外との間で残る多くのつながりが断ち切られ、安全と経済的な利益でプーチン氏の保護になお依存している。

Putin
安全保障担当幹部らと会談するプーチン氏(26日)
Photographer: Gavriil Grigorov/AFP/Getty Images

  プーチン氏はサウジアラビアのムハンマド皇太子ら友好国の指導者との電話会談を続け、事態の説明に努めている。

  だが、最も関係が緊密なベラルーシのルカシェンコ大統領ですら、プーチン氏の自信過剰を公の場で珍しくあげつらった。

  ルカシェンコ氏は27日、ロシアの反乱を収束させるため自身が合意を仲介した際の役割について、「状況が間違った方向に進んだ」と国内メディアに説明。「プーチン氏と私は事態が自然と解決するだろうと考えた。いや、正直に言うと自分はそうは思わなかったが、それは問題ではない。だが、自然には解決しなかった」と語った。

 

原題:Putin Claims He’s Back in Control. Russia’s Elite Isn’t Sure (1)(抜粋)

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