【カスタムアーカイブ】新車ベースの基本カスタムがお手頃価格で手に入る、ビッグスクーターのカスタムコンプリートが人気だった時代

エアロやローダウンも施さない
カスタム入門にオススメだった新車コンプリート

各メーカーのビッグスクーターの新車が競い合うように売れていた時代には、“カスタムコンプリート”という車両が、様々な販売店から生み出されていた。ローダウンを施し、マフラーやシートを変更したり、エアロ装着といったカスタム内容はショップによって異なっていたが、新車がベースであることが基本。つまり、ライトカスタムがすでに施された新車＝カスタムコンプリートという位置づけで、各店共に買いやすい値段設定で販売されたことで、初心者にオススメのカスタム入門車だったことは間違いない。

この44スカイウェイブは、車両販売店でありながらオリジナルブランドのパーツも展開するなど、当時から積極的にビッグスクーター業界に貢献してきたピットインオートが、2007年当時に製作したものだ。エアロは装着せず、ローダウンも無し。分かりやすい変更箇所は、マフラー、シートと一部のメッキ外装パーツのみ。当時新車で販売されたばかりの電子制御CVT７速マニュアルモード付きのスカイウェイブタイプMのメーカー希望小売価格が、69万3000円。これが、ピットインオートのコンプリート車になると、税込み76万9000円で販売と、10万円にも満たない価格差で、KERKER製マフラーやオリジナルシート付きのライトカスタム車を入手できたのだから、売れないワケがなかったのだ。

ビッグスクーターに限らずカスタム＝ハードなスタイルが想像されるが、元を辿れば、カスタムの基本は、この新車カスタムコンプリートのようなパーツ変更が入り口。そしてここをきっかけにして、ユーザーがそれぞれ目指すハードな領域へと進んでいったのだ。ブームは去ったけれども、過去の基本に振り返り、頭の片隅に留めておくことも、ビッグスクーターを楽しむために忘れてはいけない要素のひとつだ。

詳細写真

ハンドルバー、ブレース装着、グリップ、ミラー変更と、基本的なカスタムが施されたハンドル周り。ショートスクリーンは純正採用されていたため、これらのパーツを変更するだけでも、カスタム感が高まっている。

シートはピットインオートによる張り替えカスタムシートへと変更。乗り心地を考慮しながらも座面を薄くし、車体との一体感を追求。表皮も高級感あるレザーを採用し、スカイウェイブ特有の重厚感を際立たせている。

マフラーはKERKER製を装着。サウンド、質感など、様々な要素が高次元でバランスされており、ピットインオートは古くからこのブランドを愛用し、世のユーザー達にその素晴らしさを伝えてきた。

プーリーアウターカバーもメッキタイプを装着。ラグジュアリー感を高めるための必需品であり、フロントフォークアウターなども含めて各部にこのカバーを採用。

メッキステップボードはメッキカバーと共に、当時のライト＆ラグジュアリーカスタムのマストアイテムだった。デイトナをはじめ、多くのメーカーから販売されていたのが懐かしい。