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プライスアクション短期売買法
ロレンツィオ・ダミール
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プライスアクションという言葉を聞いたことがありますでしょうか?テクニカル分析においてプライスアクション(ローソク足の値動き)は最も重要視すべき指標の一つです。インジケーターが上昇サインを示していたとしても突発的なニュースによって暴落することもあります。その際に最初に下落開始に察知する方法がプライスアクションの観察です。この書籍では需要と供給による公正価値という「価格の本質」に焦点を当てています。一段上のトレーダーを目指す方におすすめの本です。

金融市場のプライスアクション分析は、FX、先物、株式、コモディティをはじめとするどんな市場にも応用できます。基本的な考えは、鍵となる供給と需要水準を見極めて、純粋なるプライスアクションだけを見てトレードするというもの。プライスアクショントレード戦略は、あなたのトレードに大きな付加価値を与えてくれるでしょう。

価値領域、コントロールプライス、超過価格、移動する供給・需要水準といった独創的な概念が解説された本書から、まずはじめに知っておきたい価格の公正価値について紹介します。

はじめに

本書の読者は、トレードしたい市場(銘柄)についての知識があることを前提としている。トレード初心者の方は、あらかじめインターネットで、あなたがトレードしたいと思う市場についての基本的な知識を身につけてから本書を読むことをお勧めする。また、あなたが使っているトレードプラットフォームについての基礎知識も必要だ。

また本書は初心者だけでなく、良いトレーダーになるために苦労を惜しまない人にも向く。トレードで常に利益を出すためにはハードワークが必要だ。大した努力もしないで一夜にして大金持ちになるような特別な方法を求めている人はがっかりするかもしれない。しかし、そんな方法などこの世に存在しない。

トップトレーダーになりたいのであればハードワークが必要で、情熱を持ってトレードに取り組む必要がある。このことについてはなるべく早く理解してもらいたい。魔法のインディケーター探しなんてやめよう。あなたのためにすべてのトレードをやってくれて、利益を稼ぎ出してくれるような自動化プログラム探しもやめ、本当に重要なことだけを考えよう。価格が生みだすあらゆる動きを解釈して、それらを組み合わせて最良の意思決定をすることが重要なのである。

価格の公正価値

市場というものは本質的にはトレードを促進するために構築されたものである。チャートに見られるプライスアクションは、市場のこの主要な目的の結果を示したものである。簡単に言えば、あなたがチャート上で見ているものは需要と供給の原理の結果として現れたものなのである。別の言い方をすれば、需要が供給を上回ると、買い手の出来高のほうが売り手の出来高よりも多くなり、価格は上昇する。逆に供給が需要を上回ると、売り手の出来高のほうが買い手の出来高よりも多くなり、価格は下落する。また需要と供給が拮抗すると、価格の方向性はなくなり、アキュミュレーション(買い集め)が始まるか、あるいは保ち合い状態になり、私が「価格の公正価値」――その証券のファンダメンタルズを考えたときに、買い手と売り手がその証券が正しく価格付けされていることで同意する領域――と呼ぶものが形成される。

価格上昇の動きは、その証券の需要が供給を上回っていることを示している。実用的な言い方をすれば、買い注文が売り注文よりも多いということになり、そのため価格は上昇している。

この理由とは無関係に、そのとき売り手は市場に参入する確信が持てなかった。おそらくこの証券の価格は最新のファンダメンタルなニュースから評価した彼らの価格に一致しなかったのだろう。彼らはもっと高く評価されるべきだと思っていたに違いない。彼らが市場に参入するのはこの証券の価格がもっと上昇してからであり、そのときに供給が生まれる。彼らが市場に参入したのは、価格が横ばい状態の領域に入ってからである。彼らが市場に参入したため供給が増え、価格は上昇しなくなる。価格が横ばい状態のこの領域は市場が均衡状態にあることを示している。つまり、供給と需要が拮抗しているということである。このとき「市場は買い手・売り手間の取引を円滑にするという目的を果たした」ことになる。買い手と売り手はこの価格帯はこの証券にとっての公正価格であることで意見が一致し、買い手も売り手も価格をつり上げたり、つり下げたりすることに興味はなくなる。彼らは、価格がこの領域にとどまっていることに満足し、買い手は価格がこの領域の下の境界よりも下がらないようにするためにのみ市場に参入し、売り手は価格がこの領域の上の境界を上回ったときに価格をこの領域内に下げるためにのみ市場に参入する。

この時点では以下のことを理解することが重要だ――こういった振る舞いをする買い手や売り手はあなたや私のような個人トレーダーではない。どういった市場でも2つのタイプのトレーダーが存在する。短期トレーダーと長期トレーダーだ。短期トレーダーは主にあなたや私のような個人トレーダーだ。私たちは短い時間枠を基にトレードの意思決定を行い、週ごとのトレンドや月ごとのトレンドは気にしない。トレードの意思決定をするとき、株式や通貨ペアのファンダメンタルズも考えない。

短期トレーダーの対極にあるのが長期トレーダーである。彼らが興味があるのは市場の全体的な状況である。なぜなら彼らは最前線にいるわけであり、彼らの資本はリスクにさらされているからだ。常に市場を俯瞰していなければ、すぐに損失につながる。市場の全体像を把握するために、彼らは長い時間枠で考えるのだ。

価格を上げ下げする力を持つのは長期トレーダーであり、価格を横ばいに保つ力を持つのも長期トレーダーである。彼らの取引量ははんぱじゃなく大きい。市場を上げ下げするのは取引量なのである。私たちがちょっとばかりトレードしたところで、値動きに影響を及ぼすことなど絶対にない。市場を動かすのは長期トレーダーなのである。したがって、彼らの振る舞いを研究し、彼らのアクションによって価格がどう動くのかを観察し、彼らがやっていることをフォローする、つまり彼らと同じボートに乗るための概念、ルール、戦略を作るのはまったく理にかなったことなのである。

私たちがやるべきことは、「彼らの足跡を見つけて、それに付いていく」ことである。これがこれから本書で紹介するプライスアクションの概念と戦略の背景にある考え方である。

価格が横ばい状態の領域が重要だ。なぜならこの領域は価格の公正価値というものが生まれる場所だからである。価格がしばらくの間、横ばい状態を続けたあと、最終的には下方にブレイクする場合、これは供給が需要を上回り、価格が下落したために、買い手・売り手間のトレードを促進するために買い手を探している状態である。価格は需要が満たされるまで、言い換えれば、買い手の意欲が誘発されて需要が高まるまで下落し続ける。

公正価値領域とは何か

上記の話から推測されるように、公正価値領域とは、価格が長い時間とどまる領域で、供給と需要が拮抗し、買い手と売り手の両方が彼らの今の期待に一致すると思う価格帯のことを言う。

公正価値領域は2本の水平線で囲むことができる。価格は上の境界を上抜いたり、下の境界を下抜いたりすることがあるが、価格が上抜いたところや下抜いたところにはそれほど長くとどまらず、それらの水準を試しているだけということがある。

下の境界を下抜くと需要を見つけてすぐにこの価値領域まで上昇し、また上の境界を上抜くと供給を見つけてすぐにこの価値領域まで下落する。この領域はトレードの大半が行われる場所だ。価格が価値領域から少しの時間だけ逸脱して、すぐに領域内に引き戻されるとき、短い時間だけ逸脱したところを「超過価格」と言う。

チャート上で価値領域を正しく見分けられるようになるには訓練が必要だ。でも、それほど難しいこと

ではない。必要なのはチャートをたくさん見ることである。そうすればこの領域は簡単に見つけることができるようになる。

価値領域の境界を決めるときに覚えておいてもらいたいことが1つある。それは境界は厳密に線引きできるものではないということである。上の境界や下の境界は厳密な線というよりも、価格帯または価格ゾーンと考えてもらいたい。境界は必ずしも線である必要はなく、価値領域を含むような長方形で示すこともできる。価値領域は数学のように厳密に画定できるものではない。価値領域を見つけるときは、値動きに注意して、トレードの大半が発生する領域を見つける。それが価値領域になる。

チャートから時間を除いて価格だけをプロットしてみてみると、空白スペースがほとんどなく、価格が狭い領域にびっしりと詰まっているのに気づくはずだ。それはトレード活動が活発に行われている証拠である。これらの値動きは同じ価格帯の上と下を行ったり来たりして上下動を繰り返している。こうした動きが価値領域を生成するのである。買い手も売り手もこの価格帯は、今のところはこの証券の公正価値であると思っている。将来的に何らかのファンダメンタル的な動きがあって現状を変えるまで彼らはこの公正価値に満足する。価値領域を見極めて、その境界に線を引くときには上下にできるだけ空白スペースを含まないようにしよう。

「あなたのトレードプラットフォームを開こう。チャートを開いて好きにスクロールして、そのチャートの価値領域を1つひとつ確認してみよう。これは練習あるのみだ。一目見ただけで価値領域を認識できるようになるまで練習を続けよう。それほど長くはかからないはずだ」

価値領域を見つけるためのガイドライン

●トレードが集中的に発生している領域に注目する。

●その領域の上下にあるトレードがあまり活発でない領域に注目する。それが超過価格だ。

●価値領域と超過価格を正しく区別するためには、垂直方向にできるだけ空白スペースを残さないようにしよう。

●同じ価格帯で価格が上下動を繰り返す領域が価値領域である。

●水平方向の時間軸は無視しよう。すると、値動きの間の空白スペースはなくなる。これらの値動きはバルジ(突出部)を形成する。それが価値領域である。価値領域の上下にあるトレード量が少ないところでは、価格はほぼフラットになる。そこが超過価格である。

●チャート上で価値領域を見つけることに慣れてきたら、それを1つずつ右側に延長して、将来的な値動きがどうなるかを予測する。

出来高(取引量)

出来高とは、例えば株式市場であれば取引された株式の総数、先物市場であれば取引された枚数の総数、FX市場であれば取引された標準取引量の総数のことである。出来高は支持線と抵抗線を見つけるのに利用することができ、それによって値動きの強さが分かるが、価格を分析するほかの概念やメソッドと一緒に使うのがベストだ。価値領域を見つけるためのガイドラインを使えば、出来高が集中している場所を簡単に見つけることができる。

価格別出来高を見ることで、チャート上で価値領域を見つけることができるようになれば、トレードの飛躍的な進歩が望める。ヒストグラムの大きなスパイク(突出高)は出来高が多いことを示している。ヒストグラムが右側に長く突き出ているほど、その価格帯における出来高が多いことを意味する。

チャート上の価値領域とヒストグラムのスパイクが一致することや、出来高のスパイクが価値領域を貫いていることに注目しよう。FX市場のように一極集中型市場がないため厳密な取引量が分からないような市場の場合、価値領域を見ることで取引量が集中している箇所を簡単に知ることができる。

価値領域は支持線や抵抗線を見つけるのにも使うことができる。これは価値領域の1つの役割ではあるが、出来高もまたこの役割を果たしている。

超過価格

超過価格は次のように解釈することができる。

●超過価格は、長期トレーダーがたどった足跡と彼らの意図を示している。

●超過価格は供給ゾーンと需要ゾーンを明確に示している。

●その結果、超過価格は強力な支持線と抵抗線になる。また、ある価格水準がリジェクトされたことも示している。

価値領域の上に価格がとどまる時間は非常に短い。価格は価値領域を上抜いたあと、すぐに価値領域まで下落して上下動を繰り返す。そのため価値領域では、価格の保ち合いが続く。価値領域を下抜いたときも同じことが起こる。

長期トレーダー――スマートマネーとか大手機関投資家とも呼ばれる――は、あなたや私とは市場に対する見方が異なり、市場をもっと大局的にとらえる。彼らが市場に参入するうえで有利だと思う価格水準は、私たちのような短期トレーダーにとっては有利には映らないこともある。重要なのは長期トレーダーの意見である。なぜなら、彼らは価格を一定の方向に動かすトレード資金を持っているからだ。私たちはそんな大金など持っていない。でも、私たちは彼らと同じサイドにいることができるように、彼らの動きを密かに見張り、彼らのやっていることを観察することはできる。超過価格は長期トレーダーが市場に参入してくるのを見極めるための強力なツールなのである。

超過価格と同じ特徴を持ち、暗示するものも同じだが、超過価格よりも強力なものに「テール」がある。価格がとどまる時間が短い価格水準であるほど、その価格水準は将来的なプライスアクションの支持線や抵抗線になる可能性が高いということを覚えておいてほしい。価格がとどまる時間が短いということは、その価格水準はリジェクトされたことを示しているからである。

テールは、価格が価値領域を上抜いたときに、そこにとどまる時間が極めて短く、その価格水準はすぐにリジェクトされることで形成される。ここでは、供給が急激に増える。これは売り手が市場に参入したことを明確に示す売り手の足跡である。これは超過価格でもあるが、その見た目からテールまたはスパイクと呼ばれることが多い。

超過価格が完成し、価格が価値領域に引き戻されたあと、価格はまた価値領域を下にブレイクして、そのまま下落し続けるだろうと予測する理由の1つとして、価値領域の上にあるテールがある。

テールは、その価格帯が強くリジェクトされていることを示している。価値領域の下にはテールはないとき、次のような仮説を立てることができる――売り手は買い手よりも価格を価値領域に引き戻そうとする動機が強いため、売り手のほうが強い、つまり供給が需要よりも若干多い。もちろん、価格がある地点から上昇するのか下落するのかを判断するには2つ以上のテールが必要だが、この超過価格を認識するだけでも真相を見抜く力が養え、より良いトレードの意思決定をすることができる。

「価値領域を見つけるのを練習したチャートで、超過価格やテールを見つける練習をしてみよう。価値領域の上や下にある超過価格やテールを見て、そういったゾーンやテールが形成されたあと価格がどうなったか観察しよう。また、超過価格の形成と、そのあとで発生する価値領域の上または下へのブレイクとの関係は理解できただろうか」

著者
ロレンツィオ・ダミール
生計のためにトレードを始めて数年がたつ専業トレーダー。約10年前にトレードに目覚め、今では完全にとりこになっている。自分自身は「プライスアクション・スイングトレーダー」だと自認している。2012年、FX市場のトレード戦略に関するeブックの刊行を思い立ち、それ以降、8冊出版。
出版社:
パンローリング
出版日:
2018/4/15

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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