死刑制度、日弁連は「廃止を」 弁護士5割以上は「存置すべき」、弁護士515人が回答
同性婚、夫婦別姓、少年法改正など、最近でも多くの法制度をめぐる議論や変化が「社会問題」となっている。弁護士ドットコムタイムズ編集部では、近年の社会問題に関連した法制度のあり方などについて弁護士に聞くアンケートを実施した(回答期間:8月、7、8日 有効回答人数:515人)。 5回目は、「死刑存廃」についての結果を紹介する。 ※写真は東京拘置所(iLand / PIXTA)
死刑制度、弁護士5割以上が「存置すべき」
日弁連は死刑制度に反対の姿勢を示してきた。2019年10月に公表した「死刑制度の廃止並びにこれに伴う代替刑の導入及び減刑手続制度の創設に関する基本方針」では、死刑にかわる刑罰として、仮釈放の可能性のない「終身刑」の導入するとともに、例外的に仮釈放の可能性のある「無期刑」に減刑する道を残すことを提案。一方、内閣府の世論調査(実施:2019年11月)では、「死刑もやむを得ない」と答えた人は8割をこえている。
弁護士515人に聞いたところ、「死刑制度は存置すべき」が52.8%。対して「廃止すべき」との意見は、38.9%だった。
「廃止すべき」を選択した弁護士について、代替案による内訳を見ると、「(減刑の可能性のない)仮釈放のない終身刑を導入すべき」が16.3%、「仮釈放のない終身刑を導入すべきだが、減刑の可能性は残すべき」が14.4%。「終身刑の導入はすべきでない」も4.3%いた。「存置すべき」を選んだ弁護士からは、「消極的に賛成している弁護士が多数だと思う」「内乱罪などの大規模なテロ行為については死刑は残すべき」「大量殺人などを考慮したために『存置すべき』と回答したが、死刑制度は形骸化することを望んでいる」などの意見が寄せられた。また、「社会には色んな意見がある。個別の弁護士会や日弁連などが(死刑廃止を求める)意見を発するのはやめるべきだと思う」との意見もあった。