ネタニヤフ首相、パレスチナ国家を改めて否定 バイデン大統領と協議後

マーク・ロウエン(エルサレム)、ショーン・セドン、BBCニュース

イスラエルのネタニヤフ首相

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は20日、同国がパレスチナの全領土の安全を管理し続けるべきだと改めて主張した。イスラエルとパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を主張するアメリカとの溝が深まった格好となった。

ネタニヤフ氏は19日、アメリカのジョー・バイデン大統領と電話で、パレスチナ自治区の将来について話し合った。両首脳の電話協議は約1カ月ぶりだった。

バイデン氏は協議後、記者団に対し、ネタニヤフ政権の下でも2国家解決は可能だと強調。「2国家解決にはいくつかの種類がある。国連加盟国の中には、自国の軍隊を持たない国も数多くある」と述べた。

しかしネタニヤフ氏は20日、イスラエルがパレスチナの安全を維持することと、パレスチナ国家の樹立は「相いれない」と改めて主張。パレスチナ国家との共存を求めるアメリカなどからの圧力をはねつけた。

イスラエル首相府は声明で、「ネタニヤフ首相はバイデン大統領との話し合いで、ハマスを壊滅させた後もイスラエルがガザの安全を管理し続け、今後はガザがイスラエルの脅威にならないことを確実にする必要があるとの考えを強調した。これはパレスチナの主権の要求と相いれない」とした。

ネタニヤフ氏はまた、X(旧ツイッター)への20日の投稿で、「ヨルダン以西の全地域の安全管理」についても、イスラエルが維持しなければならないと主張した。

イスラエルとパレスチナをめぐっては、今回の危機を機に、双方の指導層が交渉を再開させ、休眠状態にあった和平プロセスが動き出すと期待する向きもある。

しかし、今回のネタニヤフ氏の発言は、それに水を差す格好となった。

イスラエルで人質解放をめぐってハマスと取引すべきだと政府に求める人たち(テルアヴィヴ)

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