大学入試の試験時間が「90秒短かった」 韓国で生徒らが提訴

大学入学試験「大学修学能力試験(修能)」を受ける韓国の高校生(ソウル、11月16日)

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韓国の大学入学試験「大学修学能力試験(修能)」で、試験時間が90秒短かったとして、受験した生徒らが政府を提訴した。

生徒らは、翌年またこの試験を受けるための勉強費用として、1人あたり2000万ウォン(約220万円)を請求している。

生徒らの弁護士は、この試験監督側の過失が生徒らの残りの試験にも影響を及ぼしたと指摘している。

修能は大学入学のための共通試験で、1日で8時間かけ、複数の試験を連続で行う。世界最難度の試験とされ、競争率も非常に高い。

また、進学や就職だけでなく、将来の人間関係にも関わってくる。生徒たちの集中力を高めるため、修能の試験日には空域を閉鎖したり、株式市場の開場を遅らせたりするなどの措置がとられている。

今年の修能の試験結果は12月8日に発表された。

19日に提出された訴状によると、原告となった生徒は少なくとも39人。首都ソウルの試験場の一つで、最初の科目の国語の試験終了を知らせるベルが本来より早く鳴ったと主張している。

複数の生徒がその場で抗議したものの、試験監督者は解答用紙を回収したという。教師らは次の科目の試験が始まる前にこの問題を認識し、昼休み中に90秒の試験時間を与えたが、生徒らはマークシートの空欄を埋めることは許されたものの、すでにマークした解答を直すことは許されなかったという。

聯合ニュースは、この件で非常に動揺し、残りの試験に集中できなかったという生徒の話を報じた。中には諦めて家に帰った生徒もいたという。

生徒らの弁護士を務めるキム・ウスク氏は報道陣に対し、教育当局が謝罪していないと話した。

公共放送局KBSは関係者の話として、特定の試験会場にいた試験監督者が時間を読み間違えたと報じた。

試験時間が短くなったことで、生徒らが提訴したのはこれが初めてではない。ソウルの裁判所は4月、2021年の修能で試験時間が2分短くなり不利益を被ったとして提訴していた生徒らに対し、700万ウォン(約77万円)の損害賠償金を支払うよう命じた。

こうしたミスの代償がさらに高くなる国もある。中国では2012年、湖南省の学校で大学入試のベルを4分48秒早く鳴らした男性に執行猶予つきの禁錮1年の刑が言い渡された。