米政府、イランは今やロシアにとって「一番の軍事支援国」だと

Russian President Vladimir Putin meets Iranian President Ebrahim Raisi in July.

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画像説明, 7月にテヘランで会談したロシアのプーチン大統領とイランのライシ大統領

アメリカ政府は9日、ロシアとイランが全面的な防衛協力関係を築いているとの見方を示した。国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官が述べた。ウクライナはロシアがイラン製ドローンを攻撃に使用していると非難しており、イランとロシアの軍事協力がこのところ注目を集めている。

NSCのカービー報道官は、ロシアがイランに対して前例のないレベルの軍事支援を提供していると指摘。さらに、両国が殺傷力の高い攻撃用ドローンの共同開発を検討しているという報告を米政府として確認していると明らかにした。

カービー報道官は、イランとロシアが攻撃ドローンを共同開発すれば、ウクライナやイランの近隣諸国、ひいては国際社会にとって危害をもたらすと指摘。「ロシアは、武器開発や訓練などの分野でイランと提携しようとしている」と報道官は述べ、ロシアがヘリコプターや防空システムなど「先端兵器」をイランに提供するつもりだと、アメリカ政府として懸念していると説明した。

「イランは今やロシアにとって一番の軍事支援国になった」とカービー氏は話し、「ロシアはウクライナのエネルギー・インフラ攻撃にイラン製ドローンを使い、数百万人のウクライナ人から電気や暖房、必須ライフラインを奪っている。イランの行動の結果、ウクライナの人たちは今日も実際に命を落としている」と強調した。

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カービー報道官の発言を受けて、イギリスのジェイムズ・クラヴァリー外相も、イランがロシアにとって主な軍事支援国になったと指摘。両国の関係が、世界の安全保障を脅かしているとの見方を示した。

両国の「卑劣な取引」の結果、イランは数百基のドローンをロシアに提供したと、クレヴァリー外相は説明。「引き換えにロシアは、イランの独裁政権に軍事と技術の支援を提供している。それは、中東における我々のパートナー諸国にとって、そして国際的な安全保障にとってリスクとなる」と述べた。

今後ロシアが弾道ミサイル数百基を含む兵器を大量に入手しようとする中、イランの支援は拡大するだろうとアメリカは予測しており、クレヴァリー外相もこの見方に同意した。

ウクライナは、10月17日に少なくとも8人が死亡した複数の攻撃などは、イランがロシアに提供した攻撃ドローンによるものだと非難した。これについてイランは当初、ロシアへのドローン提供を否定していたが、後に、ウクライナ侵攻開始の「はるか前」に「限定的な数」をいくつか提供していたことを認めた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、イランの言い分をうそだと非難。ウクライナ軍は連日、約10基ものイラン製ドローンを撃墜していると反論した。

Firefighters put out a blaze at a residential building hit by a Russian military strike in Bakhmut

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画像説明, ロシアの砲撃で出火する東部ドンバス州バフムートの集合住宅

その他の動き

  • ゼレンスキー大統領は、ロシア軍による連日の攻撃のため、東部ドンバス州バフムートは「燃える廃墟」と化したと非難
  • 国連によると、ウクライナに滞留する穀物の輸出についてベラルーシが、国内通過を認めたと発表。穀物はウクライナからベラルーシを経て、リトアニアの港から出荷されるという
  • 今年のノーベル平和賞を共同受賞したウクライナの人権団体「市民自由センター(CCL)」のオレクサンドラ・マトヴィチュク代表や、同じくノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」代表のヤン・ラチンスキー氏らは9日、ロシアのウクライナ軍事侵攻について、ロシアのプーチン大統領を裁く国際法廷の設置を呼びかけた
  • 国際オリンピック委員会(IOC)は、国際大会出場が禁止されているロシアやベラルーシの代表選手について、出場を認めるよう求める提案を検討すると明らかにした