米マスターカード、磁気ストライプを段階的に廃止 2033年までに

Some mastercards

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米決済大手マスターカードは12日、デビットカードとクレジットカードの磁気ストライプを2024年から段階的に廃止し、2033年までにチップを搭載したカードに移行すると発表した。

イギリスは2006年にすべてのカード決済を「チップ・アンド・ピン」方式(ICチップ読み取り機にカードを差し込み、4桁の暗証番号を入力する)に移行した。

一方でアメリカでは現在も、一部の磁器ストライプ・システムが使われている。

マスターカードは、チップ・アンド・ピンと、指紋を利用した新しい生体認証カードでより高いセキュリティを提供できると説明している。

同社によると、磁気ストライプ技術を段階的に廃止するのは、決済ネットワークでは初めてだという。

同社広報担当はBBCに対し、世界的にチップ・アンド・ピンがどれだけ受け入れられているかを考慮すると、磁気ストライプを段階的に廃止する時が来たといえると述べた。

磁器ストライプの廃止プロセスをゆっくり進めることで、各企業がチップ・アンド・ピン方式への移行を受け入れるのに必要な時間(マスターカードは「長い滑走路」と呼んでいる)を確保できる。

始まりはスパイの身分証明カード

磁気ストライプは1960年代に、米テクノロジー大手IBMが米中央情報局(CIA)職員の身分証明カードを作るプロジェクトとして誕生した。

磁気ストライプを生み出した技術者の1人、フォレスト・パリー氏には、コード化された情報が入った帯状の磁気テープをプラスチック製カードに貼り付けるというアイデアがあったものの、接合に苦戦した。

熱を加えて2つを接合するアイデアは、パリー氏の妻ドロシア・パリー氏が考え出した。始めは当時ドロシア氏が使っていたアイロンでカードとテープをくっつけた。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、様々な決済方法が求められるようになったと、マスターカードは説明する。

2021年第1四半期には、カードやスマートフォンを使った非接触型決済が、前年同期比で10億件以上に増えた。

また、顔認証や手をスキャンする認証技術など、生体認証による決済システムの試験も続いている。