英ウィリアム王子とハリー王子、フィリップ殿下を追悼
イギリス王室のケンブリッジ公ウィリアム王子とサセックス公ハリー王子の兄弟は12日、9日に99歳で亡くなった祖父エディンバラ公フィリップ殿下について語った。
ウィリアム王子は、フィリップ殿下について「たぐいまれな人だった」と述べ、「おじいさんを亡くしてさみしいですが、私たちに仕事をこなしてほしいと思っているでしょう」と語った。
一方のハリー王子は、祖父を「奉仕の精神と名誉、そして素晴らしいユーモアの持ち主」、「軽口の達人」と表現した。
イギリスは、葬儀の行われる17日いっぱいまで喪に服している。
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ウィリアム王子は声明で、「祖父の1世紀にわたる人生は、奉仕という言葉に尽きるでしょう。イギリスと英連邦、妻と女王、そして私たち家族に仕えてきました」と語った。
「祖父のようなお手本を持ったことだけでなく、大人になるまで祖父がいてくれたこと、良い時もつらいときもいてくれたことは幸運だと思います」
「妻が多くの時間を祖父と過ごせたことや、祖父が妻に見せてくれた優しさにも、これからもずっと感謝し続けるでしょう」
「私の子どもたちも、ひいおじいさんが馬車で迎えに来てくれて、その冒険心やいたずらなユーモアのセンスに触れた特別な記憶があります。そういう瞬間があったことにも、感謝し続けるでしょう」
その上で、妻キャサリン妃が「今後は、祖父が今後もそうしたいと思っていたやり方で女王を支えていくでしょう」と語った。
ハリー王子も別に出した声明で、「祖父はありのままで生きた人で、とても鋭いウィットの持ち主でした。その魅力で、どこにいても注目の的でしたし、次に何を言うか分からないのです」と振り返った。
「史上最も長く君主の配偶者だった人、受勲した軍人、王子、そして公爵として人々に記憶されるでしょう」
「しかし、昨年の悲しい出来事で愛する人や祖父母を亡くした多くの人たちと同様、私にとってはおじいさんでした。バーベキューのプロで、軽口の達人で、最後まで粋な人でした」
また、フィリップ殿下は女王の「よりどころ」で、「並ぶものがないほど献身していた」と話した。
「私たちが前に進む時、祖父がビールを片手に『早く仕事をこなせ!』とみんなに言ってくれるのが分かります」
「だからおじいさん、その奉仕に、おばあさんへの愛に、そしていつでも自分自身でいてくれたことに感謝します」
ハリー王子は声明の最後に「Per Mare, Per Terram」とつづった。これはラテン語で「海にいても、陸にいても」の意味で、フィリップ殿下とハリー王子が共に元帥を務めたイギリス海兵隊のモットーでもある。
フィリップ殿下は2017年まで64年間にわたり、海兵隊元帥を務めた。この年にハリー王子が後を継いだものの、昨年、ハリー王子が公務を引退しアメリカへ移住する際に辞任している。
議会もフィリップ殿下を追悼
イギリス連邦議会をはじめとする各国議会でも、フィリップ殿下の追悼が行われている。
下院では1分間の黙とうが捧げられた後、ボリス・ジョンソン英首相が演説。フィリップ殿下はエディンバラ公爵賞を通じて「数百万人の人生に関わった」と話した。
最大野党・労働党のキア・スターマー党首は、フィリップ殿下の人生が「現代のイギリスを形成し、必要とされていた安定をもたらした」と語った。
上院ではフロエラ・ベンジャミン女男爵が、フィリップ殿下はイギリスと英連邦に「多大な貢献」を残したと述べ、長年、文通を交わしていたことなどを話した。
スコットランド議会ではニコラ・スタージョン第一首相が追悼を指揮し、フィリップ殿下とエリザベス女王の関係は「真のパートナーシップだった」と語った。
ウェールズのマーク・ドレイクフォード第一首相はウェールズ議会で、フィリップ殿下がウェールズに「大きな多様性」をもたらしたと述べた。
北アイルランド議会では、アーリーン・フォスター第一首相が「殿下は若者たち、連合王国、そして世界の環境にとって、世代を超えた真の遺産だ」と語った。
ウィンザーでは葬儀の準備
フィリップ殿下の葬儀は4月17日午後3時から、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行われる。葬儀はテレビ中継されるが、国葬の扱いにはならない。
新型コロナウイルス対策として、葬儀の参列者は近親者30人に限られる予定。フィリップ殿下の息子や孫が参列する予定で、ハリー王子も米カリフォルニアから帰国している。一方、ハリー王子の妻メガン妃は第2子を妊娠中のため、飛行機で移動するべきでないという医師の助言に従い欠席する。
ハリー王子の報道官によると、ハリー王子は新型ウイルス対策に従い、ウィンザーにある旧居宅のフログモア・コテージに滞在している。
ハリー王子とメガン妃は3月、米著名テレビ司会者オプラ・ウィンフリー氏のインタビューで、イギリス王室を批判する発言を行った。ハリー王子とウィリアム王子が直接対面するのは、このインタビュー放映以降で初めてとなる。
ジョン・メージャー元首相は11日、フィリップ殿下の死去による「悲しみを共有すること」で、イギリス王室内のいさかいを修復する「理想の機会」が訪れたと語った。メージャー氏は1997年のダイアナ元妃の死後、ウィリアム王子とハリー王子の特別後見人に任ぜられていた。