ロシアのニュース編集者、地方庁舎前で焼身自殺

Irina Slavina (file photo)

画像提供, Irina Slavina/Facebook

画像説明, イリナ・スラヴィナさんは、ロシア西部ニジニ・ノヴゴロドでニュースサイトの編集長だった

ロシア西部ニジニ・ノヴゴロドでニュースサイトの編集長が2日、市内の内務省庁舎前で自分に火をつけ、死亡した。

死亡したイリナ・スラヴィナさんはフェイスブックに、「私の死の責任はロシア連邦にある」と書き残していた。

当局は、重度の火傷を負ったスラヴィナさんの遺体を発見したと確認した。

ニジニ・ノヴゴロド市内の内務省庁舎があるゴーリキー通りのベンチで、スラヴィナさんが自分に火をつけた瞬間のものとされる映像が、浮上している。

映像では、男性が駆け寄り、自分のコートで火を消して助けようとするものの、スラヴィナさんと思われる女性が繰り返しこの男性を押し返す。やがて女性は、地面に倒れた。

スラヴィナさんは今月1日、民主派組織「ロシア開放財団」の関連情報を探して警察が自分のアパートをいきなり家宅捜索したとフェイスブックに書いていた。12人がいきなり家の中に立ち入り、フラッシュドライブや自分と娘のラップトップ、自分と夫の電話などを押収したという。

ロシアの捜査当局は、スラヴィナさんが死亡したことを確認。ただし、家宅捜索との関係は否定している。捜査委員会はロシア・メディアに、スラヴィナさんは事件の容疑者ではなく、単なる関係者だと説明した。

「当局への不敬」で記事に罰金

スラヴィナさんは、ニュースサイト「コザ・プレス」の編集長だった。「ニュースと分析」と「検閲ゼロ」を掲げていたサイトは、スラヴィナさんの死亡が確認されると閲覧できなくなった。

ニジニ・ノヴゴロドでは1日、スラヴィナさんをふくめ7人が家宅捜索を受けた。いずれも、「ロシア開放財団」の捜査に関するものだとみられる。

スラヴィナさんは昨年、自分の記事が「当局に対して不敬」だとして罰金処分を受けている。

「ロシア開放財団」の創設者ミハイル・ホドルコフスキーさん(国外追放中)の助手、ナタリア・グリヤゼネヴィッチさんは、スラヴィナさんの訃報を受けて「本当に衝撃だ」と、BBCのモスクワ特派員、サラ・レインズフォード記者に話した。「彼女がしょっちゅう嫌がらせを受け、拘束され、罰金を受けていたのは知っている。とても活動的な女性だった」。

スラヴィナさんの家宅捜索は、選挙監視員などを訓練するイベントを開いた地元ビジネスマンに関するものとみられる。

グリヤゼネヴィッチさんによると、この男性が主催する民主派集会が2019年4月にニジニ・ノヴゴロドで開かれ、「ロシア解放財団」も参加。スラヴィナさんはジャーナリストとして出席していた。このビジネスマンも、スラヴィナさん自身も、「ロシア開放」の関係者ではないと、グリヤゼネヴィッチさんは強調した。

この集会を記事にしたことで、スラヴィナさんは5000ルーブル(約6700円)の罰金を言い渡されたという。

ロシア政府は昨年から、マスコミやインターネットに対する法的規制を強化している。反政府言論の封じ込めに使われるのではないかと懸念が高まる一方、ロシア政府はサイバー安全保障の強化に必要な措置だと説明している。