欧州の感染増加は「警鐘」とWHO 世界の感染者3000万人超す
新型コロナウイルス感染者がヨーロッパ各地で増えていることについて、世界保健機関(WHO)の地域責任者は17日、「警鐘」として受け止めるべきだと述べた。世界の感染者数は同日、3000万人を超えた。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、17日(日本時間18日午前)現在、世界で確認された新型ウイルス感染者は累計約3006万人に上っている。
昨年末に中国で初めて新型ウイルスが確認されてから、94万4000人以上が死亡している。
ヨーロッパの状況については、WHOのハンス・クルーゲ欧州事務局長はデンマーク・コペンハーゲンで記者会見し、ここ2週間の間で大半の国で新型ウイルスの新規感染者が倍増したと指摘。
先週だけでも、欧州全体で約30万人の新規感染者が報告され、3月の流行ピーク時の1週間あたりの感染者数を上回ったと述べた。
そのうえで、「目の前で非常に深刻な事態が起きている」、「感染者数は検査の増加を反映しているが、警戒すべきペースでヨーロッパ中で感染が広がっていることも示している」と説明。
「私たち全員が警鐘として受け止めるべき」だと述べた。
入院者数と死者数は、スペインとフランスで増加傾向が見られるものの、欧州全体では急増はしていない。
新規感染者は若者の間で特に多い。若者は比較的、症状が深刻化しにくいものの、若者から高齢者など抵抗力の弱い人たちに広がり、深刻な病状につながることが懸念されている。
WHOによると、ヨーロッパではパンデミック(世界的流行)の発生以降、累計500万人の感染が確認されており、死者は22万8000人以上に達している。
「また反撃できる」
クルーゲ氏は、春から初夏にかけて実施されたロックダウン(都市封鎖)について、明確な効果がみられたと説明。「6月には感染者数が最低だった」とした。
ただ、「9月の感染者数は私たちに警鐘を鳴らしている」と付け加えた。
新型ウイルスの抑制については、対策が改善していると強調。「前にも反撃したし、また反撃できる」と述べた。
クルーゲ氏は今週に入り、ヨーロッパの死者数が10~11月に増加し、「厳しい状況になる」と警告していた。
<関連記事>
欧州の状況
イギリスでは、1日あたりの新規感染者数が5月中旬以降で最多レベルとなっている。集会に対する新たな規制が実施され、17日にはイングランド北東部の一部を対象とした、さらなる制限が発表された。
フランスは17日、1日あたりの感染者数が1万593人に上り、過去最多を記録。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、新型ウイルスが「再び非常に活発化している」との認識を示した。
大都市リヨンとニースは19日までに、新たな対策を示すことになっている。ヴェラン氏とジャン・カステックス首相ら数人の閣僚は、新型ウイルス対策をめぐって訴訟を提起されている。
スペインでは16日に239人の死者が出て、6月以降の1日あたりでは最多となった。新規感染者の多くは首都マドリードで確認されており、当局は同市でのロックダウンを予定している。
チェコは1日あたりの感染者数が初めて2000人を超えた。首相は感染防止ルールを守るよう国民に呼びかけた。
オランダでも1日あたりの感染者数が過去最多となっている。政府は18日に新たな対策を発表するとみられている。
- 基本情報:1分で解説 新型コロナウイルスについて知っておくべきこと
- 予防方法: 正しい手の洗い方
- 社会的距離とは: 2メートルってどれくらい? 感染対策に必要な距離
- 感染したか判断するには: 「具合が悪いんだけど、もしかして新型ウイルス?」 感染を判断する方法とは
- 心の健康:【解説】 新型コロナウイルス、心の健康はどう守る?