イスラエル、9月に再選挙へ 連立不成立で

Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu arrives to the plenum at the Knesset

画像提供, Reuters

画像説明, ベンヤミン・ネタニヤフ首相

イスラエル議会(定数120)は29日、議会の解散を74対45の賛成多数で決定した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相の連立協議が失敗したことを受けたもので、9月17日に総選挙を行う。

イスラエルでは4月に総選挙が行われ、ネタニヤフ首相率いる右派の与党リクードは35議席を獲得。右派連立の成立を目指していたが、期限だった29日深夜(日本時間30日午前5時)に間に合わなかった。

連立が成立すれば、ネタニヤフ氏は5期目となるはずだった。イスラエルで総選挙第1党が連立に失敗したのは建国以来初めて。

<関連記事>

連立の妨げとなったのは、連立の鍵を握っていたアヴィグドル・リーベルマン前国防相が率いる極右「わが家イスラエル」との確執。

リーベルマン氏は連立の条件として、超正統派のユダヤ教神学校生徒の徴兵免除を廃止する法案の成立を訴えていた。

連立不成立を受けてネタニヤフ首相は、レウヴェン・リヴリン大統領が別の議員に組閣を要請しないよう、議会の解散と再選挙を求めた。

再選挙が決まった後の記者会見で首相は、「我々は明確な選挙活動を行い、勝利する。我々の勝利は市民の勝利だ」と述べた。

BBCのトム・ベイトマン中東特派員は、ネタニヤフ首相は超正統派の宗教政党と右派政党の間に横たわる長年の不和を埋められなかったと分析している。

一部報道では、連立を成立させるため、対立する左派に閣僚職を与える試みもあったとされるが、これは左派に拒否されたという。

ベイトマン特派員は、ネタニヤフ首相の勢力が弱まっており、対立する政治家もそれを感じ取っているのではないかと指摘した。

イスラエルで最も在職期間の長い首相に

ネタニヤフ氏は9月の総選挙まで首相職にとどまる。7月には、イスラエルで最も在職期間の長い首相になる。

イスラエルでは単一政党が議会で過半数を取ったことはなく、政府は常に連立で成り立ってきた。そのため、首相となるのは必ずしも第1党の党首ではなく、連立をまとめ、過半数の61議席以上をコントロールできる人物が選ばれる。

4月の選挙でネタニヤフ氏は元軍、人のベニー・ガンツ氏と接戦を繰り広げ、僅差で勝利した。9月も同様の選挙戦になるとみられる。

ネタニヤフ首相をめぐっては、向こう数カ月で詐欺や収賄の疑いで起訴される可能性があるほか、訴追を逃れるために自身を免責しようとしたことで批判を浴びるなど、不利な状況が続いている。

イスラエルの最高裁は、ネタニヤフ首相が辞任すべきかどうかを判断する予定だ。